小説 幸せのカタチ

[ リスト | 詳細 ]

高校の時にかいた恥ずかしい小説です。無視してくださって結構です。
記事検索
検索

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 次のページ ]

エピローグ 二人の未来

  由美もじぶんのたばをほどいて眺める。ふとテーブルの真ん中に一つの通帳が残った。



 「なにこれ?」直樹が尋ねる。
 由美もきがついて無かったようだ。直樹は中を開いた。毎月1万ずつ入金されている。
 結婚してからは2万づつだ。時々まとまったお金も入っている。
 名前は交互だ・・・・

 ナオキ 
 

 ユミ 


 ナオキ 


 ユミ 


 ナオキ 
  

 ユミ


 ・・・・・・・・。

 「これ・・・・」日付は毎月25日だ。
 付き合って1年目くらいだっただろうか。一緒にいつか旅行に行こうといって貯め始めたお金。存在を忘れていた。入金は2冊目に入っている。


 最後のページには234万680円。直樹は由美を見た。由美も直樹を見た。
 こんなになるまで一緒にいたのに。あのころだれがこんな結末を予想しただろうか?幸せな毎日を送っていた。そうついこの間まで。たとえ一緒に毎日を過ごして無くても。たとえお互いが過ちをおかしていたとしても。二人は愛し合っていたのに。

 二人はゆっくりと通帳を眺めた。

 「どこいく?」



 窓は薄明るい太陽の光がカーテンに反射して白くひかっていた。

 

 直樹が戻ると由美は印鑑と一緒に沢山のものを持って座っていた。直樹は印鑑を押すと、用紙を由美に渡す。
 「明日提出して置くわ。これからについてちょっと話しておきましょ。」直樹も頷く。
 「このマンションはお前が住んでくれ。俺にはこんな大きな家は要らないし、慰謝料代わりだ。」
 「そう?一緒に買ったものは一つずつにしましょ。」それは小さなアパートでも借りるつもりの直樹には不本意ではあったが、由美の有無を言わせぬ雰囲気にのまれ頷いた。
 「別に処分してもいいわ。それはお互いの自由だし。そうでしょ?」
 「ああ。」
 「このバカラのグラスはあなたのね。どうぞ。」由美は飲みかけのグラスを押しやった。
 直樹は紙にバカラと書く。壁に掛かっているラッセンの絵。
 「これはお前が・・・。」由美は絵をみやると自分のかみにラッセンと殴り書きをした。
 
 分けるもの、処分するもの。由美は決断が早い女だ。直樹は改めてそれを思い出しながら予定をたてた。時間をみて不動産屋にもいかないといけないだろう。部下に手伝わせて・・・。大量の荷物をどう処分するか考えていた。おおきすぎるベッド。大きすぎるテレビ。一人暮らしにむかないものばかりだ。直樹は由美の手元にある通帳を見た。
 
 「ああこれ?」由美は直樹の視線に気付いた。通帳の束だ。
 「はいあなたの。」まとめて保管してあった通帳だ。直樹名義の通帳が渡される。今だいたいどのくらいあるのかしりもしない。カードで買い物する直樹は改めて通帳を見た。こまかく引き落とし額がかかれている。由美がこまめに記帳していてくれていたのだ。今更になって気が付く由美の細やかな愛情。直樹は胸が詰まった。

31離婚届

                            7
 
 どのくらいの時間がたっていたのだろう。由美はもう泣いていなかったし、いつもの冷静な由美に戻っていた。直樹もゆっくり目を閉じたまま考えているようだ。たまにそっと目が開いて、視線がぶつかった。由美はそっと立ち上がると自室に入り大きなファイルをもってきた。それをそっと直樹に差し出す。
 
 「何?」
 「何じゃないわ。離婚届。昔淋しくって一度書いたことがあるの。結局離婚する方が淋しいと思ってあなたに渡すことはなかったけど。」

 直樹は驚いた。由美の持ってきた離婚届の妻の欄は埋まっていた。
 「もうだいぶ前に書いたけど日付入れてないし大丈夫でしょ?印鑑もとってくるわ。」直樹に反論の隙を与えず由美は部屋に戻った。

 直樹は離婚届を広げた。妻の欄がきれいにうまっている。日付と年齢があいたままだ。どこまでも用意周到な由美らしいなと思いながらボールペンを持つ。
 
 名前。もう一緒の名前を使うこともないのだろうと思うと何故かこみ上げるものがあったし、年齢を書き込むとお互い年をとったなとおもった。まだ若いと思っているが、由美と出会ってからの時間の長さに改めて気が付いた。直樹の両親は由美のことをひどく気に入っている。なんて親父にいおうか。直樹も部屋に印鑑をとりにもどった。

30激昂した妻

 
 「今日一日考えたよ。一人で家にいるのは淋しいな。」
 「・・・そうね。」
 「家に一人だったことはほとんど無かったんだよな。俺。」
 「いつからすれ違ったんだろうね。」
 「ごめんなぁ。」
 

 「何がゴメンなの?」由美は直樹の謝罪がひどくかんに障った。


 「浮気してゴメンなの?それとも家に帰らなかったこと?」いきなり怒り出した由美に戸惑ったが直樹にも分からなかった。ただ謝って責任を果たしたかっただけ。由美にはそんなふうにしか映らない。

 「謝るならなんでもっと愛してくれなかったのよ。あたしはずっとあなたを愛してたわ。たとえ不倫しても、今夜あなたが帰ってくるかもしれない。そう思って毎日夕食を用意していたのよ。」
 
 直樹はときたま帰宅して夕食があることに疑問を持ったことがなかった。由美は毎回自分のもつくっていたのだ。直樹は口をつぐんだ。由美の寂しさを考えたことはなかった。
 
 「あたしの時間をかえしてよ。毎晩二人分作る夕食。残り朝食べる気持ち。あなたにわかる?分からないでしょ。」
 いままで思っても口に出したことのない怒り、決壊したダムの用に言葉があふれ出た。もうは愛してるとは思えなかった。自分の中で冷めてしまったんだろうか。一気に直樹に思いをぶちまけた。もう言葉にも成らない。
 
 直樹はじっときいていた。由美にこんな想いをさせたのは自分なんだと。今は昔とは違ったカタチではあるかもしれないが由美を愛していたし、由美には幸せになって欲しいという想いもある。しかしいつも気丈な由美が今泣いて何かを求めているのに自分は何もしてやれない。そんなもどかしさからか直樹は由美の手を握るとテーブルにつくように促した。由美もすこし落ち着いたのかおとなしく椅子に座った。

 大きく深呼吸しながら泣きはらした目を伏せる由美を見るのは痛々しかった。こんな由美を見たことがなかった。でもこれが本当の由美なのかもしれない。

 直樹もうっすら涙を浮かべながら下を向いていた。もっと早くこうやって話し合えたはずなのに。どうしてこんなにこじれるまでほっておいたのだろう。直樹は重たく長い沈黙を破ることが出来ないで居た。由美もどこか暴れちぎった自分を恥じるような表情で黙っている。

29昔の二人

 

 おかしな光景だ。離婚する二人が、一体いつ頃からだろうか?一緒に家で飲むことなど無かったのに、今晩酌している。何に乾杯なんだろうか。二人に明るい未来などないのに。だからといって今幸せがあるわけでもなかった。

 過去に置いてきたのだろうか?それとも幸せを燃料に生きてきたんだろうか?だとしたら電池切れだ。由美はそんなことを思いながらビールを冷蔵庫から出した。

 「久しぶりね、一緒に飲むの。」
 「本当だな。」
 「むかしよく飲みにいったわね。」由美はなにげなくそういった。

 確かに学生の間はよく一緒に飲みに出かけた。お互い就職してからはたまにレストランにいった。直樹からのプレゼントも高額になっていった。高額だったが昔もらった何気ないもののほうが嬉しかった。気持ちがこもっていたんだろう。
 
 由美は買ってきたサラダをひらいて食べようとした。食欲はないがあさからほとんど何も食べてない。体が食べ物を求めていた。少しフォークで刺すと口にはこんだ。薬品臭いレタスだ。トマトを噛んだ。甘酸っぱい汁が口に広がる。嫌いなものを仕方なく食べるような様子でサラダをつまむ由美を、直樹はじっと見ていた。
 
 由美は間違いなく美人だ。美人特有の冷たさはたまに感じたが、でも優しく、気遣いのできる女性だと今でも思う。由美が他に男を求めるのは当然だとも思ったし、それでも由美のことはまだ思っている自分が居た。

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事