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浅田次郎の長編小説「中原の虹」の1巻から4巻を読破しました。大体、1冊4日程度かけましたでしょうか。一気に読みたい気分と、一気に読むなんてもったいない!という相反する思いとせめぎあいながらの読破です。
できたらこの本の姉にあたる「蒼穹の昴」をまず読まれることをお薦めしますね。主要登場人物の多くが両作品で重なっており、やはり姉にあたる「蒼穹の昴」で語られるストーリーを踏まえると、感動が増すと思います。
「中原の虹」の主人公は清王朝末期に活躍した張作霖。あやぞうは学校の世界史レベルの知識しかしらなかったその人物を、浅田先生が非常に魅力ある、理想の男性像として描いています。彼の行動原理は「没法子(中国語で「仕方ない、どうしようもない」という意味)」と決していわず、どうしようもないことを何とか打開する、というもの。神も仏も運命も信じず、全ての行動・決断を自分に帰して行動します。これは浅田先生のおそらく全作品に通じるテーマ「限りある命を持つ人間が神の定めた運命に必死に抗おうとするとき、人間は神を超える」ということが最も素直に反映されているキャラクターだと思います。人生に起こる全てのことは偶然や運命のせいではなく、全て自分の決断の積み重ね、すなわち必然である、浅田先生の強い信念を感じることができました。人生に起こる理不尽なこと、苦難に対しあきらめるのではなく、抗い続け、前に進み続けようとする人間は美しい。この小説は、その美しい生き方を全うしようする全ての人への賛歌です。
というわけで、とにかくかっこいいんですよ、主人公張作霖が。あまりにかっこよすぎてちょっとあやぞうの好みではないのです。この小説における張作霖は(笑)。
この小説の中では他にも多くの歴史上の人物が活き活きと描かれていますが、あやぞうのお気に入りはやはり「袁世凱」ですね。これまた袁世凱、学校の授業程度の知識しかないのですが、辛亥革命後、清朝を滅ぼし、孫文を退け皇帝に立つ男です。この小説では混乱した中国へ欧米や日本からの侵略を防ぐため、いやいやながら皇帝に立つという設定になっています。
【中原の虹第4巻抜粋】
袁世凱「何もかも俺一人でやらねばならぬのか。ひとりで兵を養い、ひとりで国を葬り、今またひとり で新しき国を建てねばならぬ俺に、手を差し伸べる者はいないのか。」
(そこにかつての上司だった李鴻章(日清戦争で清朝政府代表として戦後処理をした清朝の軍人)の霊が 現れます。)
李鴻章「泣くではない。人が怪しもうぞ。おまえはよくやった。実によくやった。いっときはおまえし かおらぬかと嘆きもしたが、やはりわしの目に狂いはなかった。よくやったぞ。」
(そして、李鴻章の霊に励まされ、袁世凱は玉座につきます。)
結局、袁世凱は皇帝の座についた後すぐに中国国内から総スカンをくらい、すぐに退位し、亡くなってしまうのですが…。はっきりいって能力のない袁世凱が、必死に自分に課された運命や時代の流れに抗いながら、葛藤する姿。そしてかつての上司、李鴻章だけが理解し、褒めにきてくれる…。袁世凱の姿は滑稽かもしれませんが、一方で美しく、切なく思えて仕方がありませんでした。あやぞう、上記のシーンを読みながら、電車の中で号泣いたしました…。
そのほかにも書ききれないくらい、滑稽で、真摯で、精一杯己に課された運命と戦い続ける魅力あるキャラクターがたくさん登場します。
全ての人間は強く願えば、強く・美しく活きることができる。その人間一人一人の生き方が、神や仏が語る仁慈の教えそのものになる。人間に生まれて、そして浅田先生の本を日本語で読むことができる日本人に生まれてよかったと思いました。
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なるほど。読書に没頭すると言うことは、こうゆうことだったのかと思い知らされました。浅田ワールドに身心を奪われ、掠め取られた「アヤゾウ」さんをうらやましく、ねたましく思っています。 電車の中で「号泣」している姿を思い浮かべながら、早春のみずみずしい若芽のような、柔軟でやさしい魂に、こころを込めて賞嘆の誠を捧げて乾杯!人間って面白くて不思議な生き物なんですよね。
2007/12/5(水) 午後 10:51
ただし様、そうなんです。人間は面白くて不思議、だからこそ愛おしいんですよね。
2007/12/7(金) 午後 7:46 [ あやぞう ]
あれから一年が経ちました。光陰矢の如し、誰が言ったかこの言葉、より強く身に染みる様になって来ました。今年もフロリダです。
2007/12/19(水) 午前 11:25 [ AN ]
A.N様、ありがとうございます!そうですね。もう一年になりますね…。あやぞうの分までフロリダで楽しんできてください!
2007/12/22(土) 午後 6:51 [ あやぞう ]
Dear Ayazo,
How was your Oshogatsu ? I like historical novels, too. However, sometimes, to read a book, especially such the full-length novel needs courageous efforts. Don't you think so ?
Martin
2008/1/6(日) 午後 4:31 [ mar*in*ewma*55 ]
げんきか〜。私は一つ山をこえみたいだよ。
まら近くあいたいねえ。
2008/3/9(日) 午後 9:08 [ はと麿 ]
はと麿様、コメントありがとう。全然更新できてなくてねぇ。。。と、いってもひっじょ〜に充実した日々を過ごしています。
2008/3/11(火) 午前 0:15 [ あやぞう ]
充実してるみたいだね。近々会うことは出来ないかね?女二人で飲み会したよ〜。
2008/4/20(日) 午後 10:04 [ はと麿 ]
じゅうじつしてる?私はそこそかな。また、うちに遊びにきてね。
2008/7/25(金) 午後 11:18 [ はと麿 ]