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 中巻 冒頭の詞書である。「おとどはつゆおかしたることなきにかかるよこさまのつみにあたるを」
と始まる。下巻冒頭にも、また中、下巻には途中にも詞書はある。上巻に詞書がなかったのは何故?
はじめからなかったのか、それとも・・・

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 場面は、伴大納言善男の政敵、左大臣源信の屋敷である。太政大臣藤原良房の進言により、天皇は源信への処罰を撤回された。
 処分撤回の使者が到着するのを、てっきり主人逮捕の知らせと勘違いして邸内に駆け込む家人の姿。


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 このあと手入れの行き届いた左大臣屋敷の風景が続くが省略。
 庭に荒薦(あらごも)を敷いて座り、無実を天道に訴える源信の姿。冤罪への怒り、やるせなさ、切実さが表れる後姿。・・・この絵巻では、他に伴大納言、それに藤原良房の3人は後姿で描かれる。


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 絶望から喜びへ
 仕える女房たちは、逮捕のときが来たと絶望の淵に沈み、泣く者、悲嘆にくれる者。しかし放免の知らせを持ってきたとわかり、一転喜びに包まれる。絵巻は画面の右から左に進行する。少しづつ、表情が明るく変わり、左の奥方と子どもとおぼしき姿はうれし泣きである。


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 こうして、事件は未解決となり、迷宮入りとなったかと思われた。

 七条通りの子どもの喧嘩
 下町の七条通りのあたり。子供どおしの取っ組み合いの喧嘩がはじまった。
 そこへ片方の父親が血相を変えて駆け寄り、相手の子供を殺さんばかりに蹴飛ばした。子供の喧嘩に親が出てきたぞと人だかりができてしまう、ひと目を憚り母親はわが子を家に連れ込む。
 
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 上記の場面は、「異時同図法」という描き方を用い、ひとつの場面に時間経過による複数の姿を描いている。取っ組み合う子供、飛び出す親、下の場所で相手を蹴り飛ばす姿。蹴飛ばされる子供、母親に手を
引かれ左上の入り口に駆け込もうとする様子という、あっという間の出来事の経過を表現している。日本絵画でその一番優れたものだという。



秘密の暴露と広がるスキャンダル

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ところが、喧嘩の相手を蹴飛ばした横暴な親は実は伴大納言の家来の出納というお役目の人物。隣家のいじめられた子供の親の舎人は、応天門炎上の際、放火直後の伴大納言とその一味の姿を目撃していたのである。
 事のあまりの重大さに目撃内容を秘密にしていた舎人夫婦であったが、出納のあまりにもひどい仕打ちに堪忍袋の緒が切れた。夫婦は決死の表情で放火事件目撃を暴露している。
 往来の人々の表情も一変する。国家的大事件の真相が今、目の前で明らかにされている興奮。
 これもやはり、大スクープに大騒ぎする現代の姿とどこに違いがあるでしょうか?

 (中巻おわり)





 
 

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