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「アゲハ蝶の白地図」(五十嵐 邁著、世界文化社2008年)は、なんと言えばいいのか、
一言で言うととても誇らしい本である。
東大卒、大手建設会社に入社、38年間勤務し取締役も務めた。
幼年時代から蝶に魅せられ、サラリーマン生活のかたわら、蝶の調査研究の夢を失わず、会社勤めのなかで日本鱗翅学会理事を務めながら、日本の蝶研究をアマチュアリズムを通じて世界の一流に高めたとされているという。
そんな方が満を持して刊行された貴重な一冊には、アジアから中東にかけての蝶についての、生涯を通じた長い謎解きの物語が満載されていて、手に取るだけで期待と興奮が湧きあがる、きわめて稀なよろこびと誇りに満ちている。
本を読む楽しみ、その最高の幸福で満ちていると掛け値なしで言うことができる一冊だ。
奇跡のような蝶の数々、貴婦人のようなブータンシボリアゲハも、獰猛なテングアゲハも、目に沁みるような瑠璃色のオオルリオビアゲハの産卵も、過酷で美しい自然と貧しく心優しい人々の生活を通じて、私たちに世界と人間の意味についてまで語りかけてくるかのようであり。
幼年時代からの熱狂的な昆虫への耽溺のあまり、周りの人々や社会との不調和、乖離にまで陥ったという著者の人生は、「蝶の白地図」つまり心の空白地帯を求め、探し続ける中で、いつか自然や神や周囲の人々によって大きな収穫を得ることとなってゆく。
ひたむきであること、純粋であることを正々堂々と貫いてこられた姿に、私たちは世界全体への賛歌をよろこびとともに実感することができるだろう。
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