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日時 10月7日(日)11:00〜16:00
会場 東京卸商センター(浅草橋)
主催 日本豆本協会
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本の箱についてである。
書店で売っているハードカバーの本が函入りの場合は、
本が函からスライドして出てくる、いわゆる「サック函」
というものが普通である。
武井武雄刊本作品の洋装本が収められているのは、
多くが「夫婦箱(めおとばこ)」というもの。和本は、
帙(ちつ)だったり「たとう」だったり。
本を収める容れ物には、こうして何種類かあるが、
先日、古書店から購入したものは、プラスチックの
ケース(被せ箱)に入っていた。
本は『あこがれ荘』(ウジェーヌ・ダビ著、鈴木力衛訳、三笠書房、昭和30年12月)。
1000部限定の第615番本である(いつも思うのだが、
1000部も作って「限定」というのも、なんだかなあ)。
表紙装画と本扉を手がけたのは、佐野繁次郎。
今回取り上げるのは、これのハコである。
ご覧のように、妙なプラスチックケースに入れられている。
「妙な」としか言いようがないのは、この薄いケースが、
「良いところが一つもない」物体だからだ。
本のはこ、といっても「函」とか「箱」とか書くのさえ
ためらわれる、もうこれは「ハコ」としか表記したくもない付属物だ。
ビニールカバーとかプラスチックとか、こうした素材は、
年月とともにみすぼらしく劣化する。こういうことが
あきらかなのにもかかわらず、何ゆえ、こうしたものを
採用しようと決めたのだろう。
発行後50年以上経っていることもあり、この薄い
プラスチックケースの角は切れたり割れたりしており、
汚れも目立ち、(しつこく繰り返すが)本当に、良いところが一つもない。
実は、書肆ユリイカの出版物にも、この類のケースに
入っているものがある。
『サボテン』(栗田勇、書肆ユリイカ、昭和30年)の限定版である。
薄冊のハードカバー本で、これがやっぱり、プラスチックケースに
入っている(今、ケースつきの画像が出てこないが)。
このケース、被せ箱なのだが、プラスチックが経年劣化により
反ってしまったせいか、いまひとつうまくはまらず、
持っていても気持ちが悪い。
買って届いて最初に手にしたとき、「なんじゃこのケースは?
旧蔵者が、何かくっつけでもしたのか?」と思うくらい、
ガタガタして合わなかった。
今気がついたが、奇しくもこの2点、発行年が同じである。
この年、何かこのプラスチックケースをつけるのが流行ったのだろうか。
発行者が、この本は50年後に、こういうみすぼらしい状態に
なることを発想しなかったのか、はたまた、50年も保存される
ことを考えていなかったのだろうか。いやいや、かりにも
「限定版」と銘打つ本で、それはないだろう。
いずれにせよ、こうした素材を使用するのは、作った当初は
面白いかも知れないが、50年後にも存在していてほしいと
願う本の場合、使うことは得策ではない。
プラスチックとかビニールとかでも、50年経っても
劣化しない(特に、縮みの点について)ものが開発されれば
いいのだが、考えてみれば、そもそも、こうした素材自体が、
50年もつことを前提にしていないものなのだ。
こんなこともあって、武井武雄刊本作品でも、プラスチック類を
用いたものは、購入をためらうのである。
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日本豆本協会 創立1周年 記念企画
限定販売「特製しおりセット」(限定50部)
収められ、別冊解説書(中村利夫(組版レイアウト))つき。
販売価格 4000円(日本豆本協会会員は3500円)(送料別途180円)
*申込・問合せ先(田中栞)メールkoubaido※cam.hi-ho.ne.jp(※を@に代えてご送信下さい)
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〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
…豆本を6冊作ります
2012年9月23日(日)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2012年8月12日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります
2012年9月9日(日)朝〜晩、豆本三昧!
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2012年9月16日(日)朝〜晩、和本三昧!
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2012年9月8日(土)布表紙の豆和本
2012年8月18日(土)布表紙のハードカバー豆本
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本
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こんばんは。
よ〜く分かります。
プラスチック・ケースは使い方によってはモダンでシャレた感じになるかもしれませんが、やはり劣化は避けられませんね…。
マルセル・デュシャンの挿画本でもプラケースのものがあります。
ビニールカバーは縮んでしまって、気付かずにいると表紙が圧迫されてシワシワ状態になってしまう事がありますね。
2012/8/9(木) 午後 10:51 [ - ]
ビニールカバーも、ほんとうに、良くないです。
縮みだけでなく、湿気もはらんで表紙にべったり
くっついたひには、取り返しがつきません。
こういう本は、美本を探すのが難しいです。
2012/8/9(木) 午後 11:55 [ 田中栞 ]
相当以前のオヤカタの文章で、廉価版の書物については規格をいくつかに統一して、同じプラケースに入れてしまえばいい というのがありました。もちろん、とにかく廉価版の話。今回の話は、作った当座はきれいで保つと思ったのでしょうか。
2012/8/10(金) 午前 8:57 [ ykom ]
昔ながらの素材でないものは、保存の観点から見ると
難しいものがありますね。
そういうことで言うと、フロッピーケースとかMDケースとかも
50年後にどうなるのか、いささか心配です。
たしかワープロが出始めの頃、このケース入りの小型本なども
作った気がします。
2012/8/11(土) 午前 4:53 [ 田中栞 ]