|
昨日は、午後、印刷博物館のグーテンベルク・ルームへ。
印刷文化懇話会・神田川大曲塾の例会で、松浦広さんが
「百万塔陀羅尼と国宝・重文の印刷物について」と題して
お話をして下さった。
松浦さんは『図説印刷文化の原点』(印刷学会出版部、2012年3月)の
著者でもあり、印刷技術と印刷史の両分野に造詣の深い方である。
百万塔陀羅尼は、制作年代のわかっている印刷物として
世界最古ということで歴史的存在。小さい巻物であるという
ことから「年代のわかっている日本最古の豆本」とも
言えるので、私としてもなじみ深い。
ところが、松浦さんの話を聞いて、百万塔陀羅尼の具体的な
ことについては意外とちゃんと把握していないものだということが
よくわかった。
いくつか挙げられた実例で、びっくりしたことは次の通り。
【その1】「百万塔陀羅尼」は「お経」ではない。
「陀羅尼」は、「お経」ではなく「呪文」なのだそうだ。
専門的なことはよくわからないが、どうやら「お経」と言うと
間違いになるようだ(私もずっと「お経」と言っていた……)。
※この点については、どうやら諸説あるようですが、
松浦さんの考えとしてはこうだ、ということでご判断下さい。
【その2】「百万塔陀羅尼」は国宝ではない。
「百万塔陀羅尼」は「重要文化財」の指定を受けている。
紛らわしいのは、明治41年1月に「国宝」に指定された経緯が
あり、後、昭和25年8月の文化財保護法の施行から
「重要文化財」となった。つまり「旧国宝」というわけ。
現在は重要文化財。
【その3】10大寺に収められた「百万塔陀羅尼」のうち、
現存するのは法隆寺のもののみである。
ほかの9寺に収められたものは、焼失または散逸して、
失われている。法隆寺所蔵陀羅尼のうち、約1000基が
明治41年に民間に譲渡(実質的な売立て)されたので、
現在、博物館や個人の所蔵となっているものは、
この時に法隆寺から出されたものである。
……庄司淺水さんや八木福次郎さんなど、専門家たちまでが
これらについて誤記をしたことで、それが更に孫引きされて
多くの文献に踏襲されてしまったという。
誤記というのとは異なるが、一番すごいのは、次の文章。
「七七〇年頃、日本の聖徳太子は八年間におよぶ内戦の終結を
記念して、経典を一〇〇万部印刷するよう指示したという」
(ジョン・マン著、田村勝省訳『グーテンベルクの時代』原書房、2006年)
・「聖徳太子」の原文は「Empress Shotoku」で、正しくは「称徳天皇」
(女帝です)。ショウトク違いである。
・「八年間におよぶ内戦」の原文は「an eight/year civil war」で、
正しくは「天平宝字8年の乱(藤原仲麻呂の乱)」。
・「記念して」は誤変換だろうか、正確に記すなら「(乱の平定に
あたり鎮護国家を)祈念して」。
・「経典」→「陀羅尼」。
これは誤訳といえるが、絶句するしかない。アマゾンの
レビューでも、この翻訳者の訳のまずさについて指摘があるが、
いやはや恐ろしい。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2013年2月11日(月)朝〜晩、和本三昧!
…文庫本の解体、表紙布の裏打ち、表紙作りなど
2013年2月14日(木)製本三昧!
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2013年2月24日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…豆本を6冊作ります
2013年3月23日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります
2013年5月5日(日)朝〜晩、豆本三昧!
………………………………………………
朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉
2013年3月17日(日)版画入り豪華折本
2013年4月6日(土)和本2冊(亀甲綴じ&麻の葉綴じ)
2013年4月27日(土)布表紙のハードカバー豆本と1枚の紙で作る豆本3種
………………………………………………
*田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
|
本
[ リスト ]





「百万塔陀羅尼」は「お経」ではないとのこと。陀羅尼そのものは呪文かもしれませんが、この陀羅尼は『無垢浄光大陀羅尼経』に収録されているものなので、「お経」の一部と解釈することは可能なのでは?
2013/2/11(月) 午前 11:00 [ Araiyayo ]
なるほど、そういう解釈もできるのですね。
私は、お経のことは本当に門外漢なので、
まったくわかりませんで……。
ともかく、松浦さんは「陀羅尼経ではない」、
「お経ではない」と力説していらっしゃいました。
2013/2/13(水) 午後 6:59 [ 田中栞 ]