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和本の表紙には、本文紙より厚い紙が使われているが、
素材が和紙であることに違いはない。
ただ、表紙の芯紙(表紙用紙に覆われているので、外側からは見えないが、
実は内側に貼り付いている紙)に専用紙が登場するのは、
和本の本文(もちろん題簽〈だいせん〉等も含めて)が版木によって
印刷され、ある程度たくさんの部数が作られるようになる、
つまり日本の出版文化が盛んになる江戸時代からである。
その初期の頃は、まだそうした専用紙がなく、他の和本の
本文紙などのいらないもの(反故紙〈ほごがみ〉)を貼り重ねることで
芯紙としていたようだ。
貼り合わせた紙には、他の貴重な本の本文紙があったりして、
それを調べていくと、書物の様々な背景が浮き彫りになる
可能性があり、いわば文字通り「裏打ち」する史料となるわけだ。
そんな調査分析の実態をまとめたのが渡辺守邦氏(国文学
2012年12月)である。この本は、13日に東京堂書店の2階で
たまたま見つけて購入した。
取り上げられる本(表紙の中の紙を解体抽出する本)は
慶長(1596〜1615)・寛永(1624〜1645)といった江戸初期の
ものであることから、反故紙にも古いものが使われている
可能性がある(もちろん、今日に至るまでの間に、後世の材料によって
修復されている場合は、それが残っているとは限らないが)。
本書では、解体作業と取り出した反故紙の身元調査や、
取り出した反故紙をその後どうするのかといった
悩ましい事態に取り組む様子が記されている。
そういえば、和本には、もう一か所、反故紙の潜んでいる
可能性のある箇所がある。
それは和本の下綴じである「こより」の部分である。
私もかつて江戸期の和本を数百冊解体したことがあるが、
その際、こよりが文字の書かれている反故紙であった記憶が
ある。ただ、私が解体した本は写本(手書きの本)がほとんどで
あったせいか、こよりも版本の中身ではなく、手書きのもの
ばかりであった。写本の書き損じまたは文書類の書き損じや
不要となったものを使ったのではないかと思われる。
こよりは、本の厚みや大きさにもよるが、1冊あたり
通常2か所、寸法としては1本がせいぜい4×2㎝程度の
小さなもの。厳密に言うと、更にもう一か所、
反故紙の潜んでいる可能性のある箇所がある。
それは角布〈かどぎれ〉の裏打ち紙である。こちらはもっと
小さく、たぶん3×1.5㎝程度の小さなもの(2箇所)になる。
どちらも史料的価値は低そうだが、何かの手がかりには
なるかもしれない。
和本の修復に携わる人なら、このようなことに遭遇するのは
日常茶飯事のはずだから、尋ねてみればすぐわかることだろう。
いずれにせよ、『表紙裏の書誌学』は、普通に書物と
接している人には思いもよらない、「表紙の芯紙」という
奥深い部分に焦点を当てた、前代未聞の一冊と言える。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
…豆本を6冊作ります
2013年3月23日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2013年3月24日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります
2013年5月5日(日)朝〜晩、豆本三昧!
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2013年5月6日(月・休)朝〜晩、和本三昧!
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朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉
2013年3月17日(日)版画入り豪華折本
2013年4月6日(土)和本2冊(亀甲綴じ&麻の葉綴じ)
2013年4月27日(土)布表紙のハードカバー豆本と1枚の紙で作る豆本3種
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*田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表
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