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24日夕方、東京古典会が主催する「書誌学入門」の講演会を
聴きに行った。
会場は東京古書会館の7階会議室。会場はみるみる満席になり、
どうやら8階の部屋にも来場者が入った模様(ビデオを使用して、
講演の様子を中継(?)したと思われる)。
東京古典会メンバーの古本屋さんたちが多数来ていたことは
想像がつくが、そうでない一般の研究者や学生、また古典籍を
収蔵する機関の関係者も来場していたのではないかと思う。
定員70名と聞いていたが、実際はもっとたくさんの来場者がいた
のではないか。
講師は慶應義塾大学附属研究所斯道文庫(しどうぶんこ)の
堀川貴司氏。堀川氏は大阪生まれで、国文学研究資料館や
鶴見大学を経て、斯道文庫教授に。『書誌学入門』(勉誠出版、
2010年3月)の著書がある。
堀川氏の話はこれまでに聞いたことがなかったので、
どういう内容になるのか興味があった。
講座は氏が用意したA4判9枚のレジュメにしたがって進み、
和本の造本形態、中身の構成、各所のチェックポイント、
江戸期の和本の影響(中国や朝鮮との関係)、江戸から明治前期に
かけての和本の歴史的な変遷について述べられた。
会場のテーブル上には堀川氏所蔵の和本23点が並べられていて、
その後は実物の和本を示しながらの話に。
自らの所蔵本を持って来るとなると、当然のことながら
自分の研究分野の本になるわけで、堀川氏が専門とする
漢詩文やそれに関連した本が中心である。それでも、
1600年代から1800年代に至るまで、見るべき特徴のある本が
セレクトされていて、表紙の姿や用紙原料、使用書体、
蔵書印や江戸期の研究者のことまで話は及んだ。
講演の後、本を実際に見せてもらうこともでき、
熱心な来場者がテーブルに群がるの図。
会場入口で割引販売されていた『書誌学入門』などを購入し、
せっかくなので署名もしてもらう。
それにしても、和本に興味を持つ人が多いことにちょっと驚く。
『書誌学入門』だけでなく、昨年の斯道文庫記念展に合わせて
製作された大判の『図説書誌学』(勉製出版、2010年12月、
A4判224頁、3675円)もよく売れていて、割引販売していた
こともあるだろうが、会場に持ち込まれた分は完売していた。
もっとも、古本屋さんは普段でも割引価格で買えるのだし、
学会の会員であれば、学会開催会場では割引販売するのが普通だから
(少なくとも、私が学会販売に行っていた十数年前はそうだった)、
なにもここで買わなくても良いのである。
とすると、ここで買ったのは、古本屋さんでも学会員でも
ない一般人である可能性が高いということになる。
昔も今も、学術書は売れないとどこの出版社もこぼすが、
こういう需要をもっと、購買層に引っ張ってくることが
できればいいのに、と思う。
帰りの東横線の車内で『書誌学入門』を読んでみたが、
従来の入門書とは様相が異なり、大変わかりやすい。
これまで定番だった長澤書誌学の入門書『古書のはなし』
(冨山房、1976年)が、ガチガチの学術研究文献に思えるほど平易である。
今回のレクチャーもわかりやすかったが、やはりなんでも
自分の思いや研究などを「ただ書く」だけではダメで、まったくの
初心者に様々な補足説明をしつつ、優しく導いてあげるスタイルに
しなくてはならないようだ。
和本の目録づくりのための書誌事項を記載していく方法に
ついても、項目ひとつひとつを写真入りで記述していて、
これを見るとなんとなくできそうに思える(実際はそうはいかないが)。
こういう本を見ると、これまでの「入門書」は、ある程度の
基礎知識を既に持っている人のための本であったのだと、つくづく思う。
長澤規矩也氏の時代と違って、和本の基礎知識どころか、
もはや触ったことのない人の方が圧倒的に多くなった現在では、
ここから書いてあげないといけないのだ、という認識を
書き手はもつ必要がある。
単なる学位取得のための論文執筆であるなら、こんな心構えは
必要ないが、少なくとも本を作って売ろうとするならば、データを
右から左へ移動するというだけではなく、構成も文体も全面的に
作り直さなくてはならない。
元データを活用できる便利な時代になったのだから、
著者も出版者も、このくらいの手間はかけるべきである。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
…本かがり上製本・和本など5種類作ります 2011年7月2日(土)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…豆本を4種類作ります
2011年7月3日(日)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります
2011年6月5日(日)朝〜晩、豆本三昧!
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2011年(日程調整中)朝〜晩、和本三昧!
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2011年05月27日
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