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日曜日、千代田区立日比谷図書文化館の中にある内田嘉吉文庫へ行った。
この文庫は、内田嘉吉(1866〜1933)氏の旧蔵書
約16000冊を公開しているもので、氏は逓信官僚として
日本の海事関係の法律整備を行ったり、台湾総督も
務めた人物である。
洋図書は1500年代から、和書漢籍は1600年代の刊行本から
収蔵されており、こうした古い書物を多数所蔵する機関としては
非常に珍しく、すべて開架で自由に手に取って見ることが
できる(「特別研究室」の席を使わなければ、無料で利用することができる)。
今、公共図書館や大学図書館でも、これほど古い時代の本を
開架にしているところは皆無のはずで、そうしたことも
和本の本当の姿に触れる機会がない原因になっている。
貴重な文化財を、すべて誰にでも自由にさわらせろ
などという暴言を吐くつもりはまったくないが、
さわることのできないものについて、正しい認識を
持つことができないのは当然である。
ここしばらく、この文庫で所蔵している本の製本形態の
調査をしていて、和漢書を刊行年の古い順からチェックしている。
日曜日はFさんが手伝ってくれて、30点(1点で5冊、10冊、81冊など
というものもあるので、冊数としては300冊以上)を調査することができた。
年代としては1632〜1850年頃のもので、和書とは言っても、
内容は中国の書物のものがほとんどで、日本人にわかるよう
訓み下し文的にした、いわば翻訳本のようなものが多い
(こういう本を「和刻本(わこくぼん)」という)。
物語などの娯楽本はなく、武士の教養を高めるための
実用本といったところ。和刻本は、内容は中国書でも
本の形は日本のものなので、和書(国書)、和本である。
一方、中国で刊行された本もあって、これは漢籍、唐本である。
「本文紙を外オモテに二つ折りして、表紙の外側(ひら)に
糸をかけて綴じた製本方法」ということでは、
日本の本も中国の本も(そして韓国の本も)同じだが、
触ってみればそれぞれ、感触がまるで違うことがわかる。
和本は、手で持つと表紙も本文紙も手に沿うように
しなやかに曲がる。柔らかいけれど丈夫でめくりやすい。
唐本も、確かに曲がるが、これはどちらかというと
「もろい」。ちょっと指先が引っかかっただけで、表紙も本文紙も
ピリッと破れてしまう危うさがある。
中国の本がもろいのは、素材の紙がもろいからである。
薄いので一見しなやかそうに見えるが、紙の繊維が
短いために、破れやすい。
和本の表紙は本文紙よりやや厚手の用紙を用いて、
背と天地と前小口の全てが折り込んで作られているので、
表紙のへりに手が当たっても、まず破損することはない。
しかし唐本の表紙は、前小口以外は裁ち切りなので、
ほんの少しの衝撃でも破れる。
この違いはもちろん、素材の紙の違いに起因している。
和紙と唐紙の違いである。
洋本と和本の、さわった感じが異なるのも、同じように
素材の紙の違いに起因している。
文具店や書道用品店で安価に販売している和本
(芳名帳のようなもの)や折本(集印帖のようなもの)に
違和感があるのは、本が洋本のように堅いことである。
使用している用紙が、純粋な和紙ではなく洋紙に
近いために堅いからで、特に表紙が堅く、糸で平綴じにした
線装本は、開け閉めの際にべこべこ音がする。
甚だしい場合は、和本なのに表紙に板紙の芯紙を入れ、
こうすると当然表紙が動かないから、洋本と同じように
溝をつける。表紙が堅いから綴じ糸も切れやすい。
……ということは、1回さわれば誰でも即座に
理解できることだが、いかんせん、「1回さわる」ということが
機会がないため実感できない。
そこで、次のような教室をすることになったので、
どうぞご参加下さい。
…… …… …… …… ……
*日本校正者クラブ*秋のイベント*
田中栞の和本教室〜本物の和本にさわってみよう、和本を作ってみよう
内容 〈1〉レクチャー/「和本」とはどういうものか
〈2〉ワークショップ/和本(半紙本)を1冊作る
講師 田中栞(東京製本倶楽部会員、日本豆本協会会長、日本出版学会理事)
日時 2013年11月23日(土)14時〜18時 ※要予約
会場 渋谷区文化総合センター大和田2階・学習室6
参加費 1000円(日本校正者クラブ会員)または1500円(日本校正者クラブ会員以外の方)
〈申込み&問合せ先〉「フルネーム」「緊急連絡時のための電話番号」を
明記の上、下記へお申し込み下さい。
折り返し、当日のことについてお知らせします。
田村和子 miyamame※zaw.att.ne.jp(※を@に代えてご送信下さい)
田中栞 電話045-431-1260 ※問合せは田中へ、電話でお願いします。
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参加のお申し込みを、お待ちしています。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜
…豆本を6冊作ります
2014年1月25日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2014年1月26日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2013年11月24日(日)朝〜晩、和本三昧!
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*田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表
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朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉
2013年11月30日(土)15:30〜18:30
消しゴム版画で作る年賀状
2014年2月1日(土)・2月8日(土)15:30〜18:00〈2回で完結です〉
豆帳簿〜本格丸背本を作ろう
2013年12月14日(土)13:00〜16:00
版画三昧の豪華折本
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2013年11月12日
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