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以前話題にしたことがあるが、林望著『謹訳源氏物語』全10巻
(祥伝社、2010〜2013)は、その製本形態について、
巻末に次のように記している。
本書は「コデックス装」という新しい造本法を採用しました。
背表紙のある通常の製本形態とはことなり、どのページも
きれいに開いて読みやすく、平安朝から中世にかけて日本の
貴族の写本に用いられた「綴葉装(てつようそう)」という
古式床しい装訂法を彷彿とさせる糸綴じの製本です。
この本は糸かがりの並製本であるが、背表紙や背貼素材がなく、
折丁の背やかがり糸が剥き出しのままであるということが特徴である。
刊行開始から3年経って本書は完結し、最近ではネット検索すると
製本会社のサイトなどでも「コデックス装」という語が
ヒットするようになってきた。
この言葉、語感は良いのだが「コデックス」というのが
冊子全般を示して背表紙の有無とは関係がないために、
この形態の製本構造のイメージにストレートに結びつかない
という難点があった。
この製本形態を示す言葉としては、やはり「背表紙がない造本形態」
であるとわかる言葉にするべきである。
そこで、雉虎堂の八嶋浅海さん発案で「バックレス製本」
という言葉が作られた。
これが今までの経緯であるが、今月、著者の林望氏と
この語についてやり取りすることができ、氏から
「無背装(むはいそう)」という語はどうか、という
新たな提案を受けた。
和本の形状を表す語で、「包背装(ほうはいそう)」という語がある。
これは、和本がもともと背表紙のない造本のものが多いなかで、
背部分を包んである形態のものを指して言う。
たとえばこの画像のように、背の部分を覆った上に、表と裏の
表紙をそれぞれ別々に貼り付ける。背が包まれているので
「包背装」と称するのである。
「無背装」なら、ちょうどこの「包背装」に相対する語にもなるので、
これはなかなか良い用語であると思う。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜 …豆本を6冊作ります 2014年1月25日(土)朝〜夕、豆本三昧! 放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2014年1月26日(日)朝〜晩、製本三昧! 放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
*ワークショップ「1日丸背豆本&函教室」 …憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります 2014年2月16日(日)朝〜晩、豆本三昧! …………………………………………… *通信講座「消しゴム版画を楽しむ」朝日カルチャーセンター *田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉 2014年2月1日(土)・8日(土)15:30〜18:00〈2回で完結〉 豆帳簿〜本格丸背本を作ろう ……………………………………………………………………
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製本
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日曜日、千代田区立日比谷図書文化館の中にある内田嘉吉文庫へ行った。
この文庫は、内田嘉吉(1866〜1933)氏の旧蔵書
約16000冊を公開しているもので、氏は逓信官僚として
日本の海事関係の法律整備を行ったり、台湾総督も
務めた人物である。
洋図書は1500年代から、和書漢籍は1600年代の刊行本から
収蔵されており、こうした古い書物を多数所蔵する機関としては
非常に珍しく、すべて開架で自由に手に取って見ることが
できる(「特別研究室」の席を使わなければ、無料で利用することができる)。
今、公共図書館や大学図書館でも、これほど古い時代の本を
開架にしているところは皆無のはずで、そうしたことも
和本の本当の姿に触れる機会がない原因になっている。
貴重な文化財を、すべて誰にでも自由にさわらせろ
などという暴言を吐くつもりはまったくないが、
さわることのできないものについて、正しい認識を
持つことができないのは当然である。
ここしばらく、この文庫で所蔵している本の製本形態の
調査をしていて、和漢書を刊行年の古い順からチェックしている。
日曜日はFさんが手伝ってくれて、30点(1点で5冊、10冊、81冊など
というものもあるので、冊数としては300冊以上)を調査することができた。
年代としては1632〜1850年頃のもので、和書とは言っても、
内容は中国の書物のものがほとんどで、日本人にわかるよう
訓み下し文的にした、いわば翻訳本のようなものが多い
(こういう本を「和刻本(わこくぼん)」という)。
物語などの娯楽本はなく、武士の教養を高めるための
実用本といったところ。和刻本は、内容は中国書でも
本の形は日本のものなので、和書(国書)、和本である。
一方、中国で刊行された本もあって、これは漢籍、唐本である。
「本文紙を外オモテに二つ折りして、表紙の外側(ひら)に
糸をかけて綴じた製本方法」ということでは、
日本の本も中国の本も(そして韓国の本も)同じだが、
触ってみればそれぞれ、感触がまるで違うことがわかる。
和本は、手で持つと表紙も本文紙も手に沿うように
しなやかに曲がる。柔らかいけれど丈夫でめくりやすい。
唐本も、確かに曲がるが、これはどちらかというと
「もろい」。ちょっと指先が引っかかっただけで、表紙も本文紙も
ピリッと破れてしまう危うさがある。
中国の本がもろいのは、素材の紙がもろいからである。
薄いので一見しなやかそうに見えるが、紙の繊維が
短いために、破れやすい。
和本の表紙は本文紙よりやや厚手の用紙を用いて、
背と天地と前小口の全てが折り込んで作られているので、
表紙のへりに手が当たっても、まず破損することはない。
しかし唐本の表紙は、前小口以外は裁ち切りなので、
ほんの少しの衝撃でも破れる。
この違いはもちろん、素材の紙の違いに起因している。
和紙と唐紙の違いである。
洋本と和本の、さわった感じが異なるのも、同じように
素材の紙の違いに起因している。
文具店や書道用品店で安価に販売している和本
(芳名帳のようなもの)や折本(集印帖のようなもの)に
違和感があるのは、本が洋本のように堅いことである。
使用している用紙が、純粋な和紙ではなく洋紙に
近いために堅いからで、特に表紙が堅く、糸で平綴じにした
線装本は、開け閉めの際にべこべこ音がする。
甚だしい場合は、和本なのに表紙に板紙の芯紙を入れ、
こうすると当然表紙が動かないから、洋本と同じように
溝をつける。表紙が堅いから綴じ糸も切れやすい。
……ということは、1回さわれば誰でも即座に
理解できることだが、いかんせん、「1回さわる」ということが
機会がないため実感できない。
そこで、次のような教室をすることになったので、
どうぞご参加下さい。
…… …… …… …… ……
*日本校正者クラブ*秋のイベント*
田中栞の和本教室〜本物の和本にさわってみよう、和本を作ってみよう
内容 〈1〉レクチャー/「和本」とはどういうものか
〈2〉ワークショップ/和本(半紙本)を1冊作る
講師 田中栞(東京製本倶楽部会員、日本豆本協会会長、日本出版学会理事)
日時 2013年11月23日(土)14時〜18時 ※要予約
会場 渋谷区文化総合センター大和田2階・学習室6
参加費 1000円(日本校正者クラブ会員)または1500円(日本校正者クラブ会員以外の方)
〈申込み&問合せ先〉「フルネーム」「緊急連絡時のための電話番号」を
明記の上、下記へお申し込み下さい。
折り返し、当日のことについてお知らせします。
田村和子 miyamame※zaw.att.ne.jp(※を@に代えてご送信下さい)
田中栞 電話045-431-1260 ※問合せは田中へ、電話でお願いします。
…… …… …… …… ……
参加のお申し込みを、お待ちしています。
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…豆本を6冊作ります
2014年1月25日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2014年1月26日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2013年11月24日(日)朝〜晩、和本三昧!
……………………………………………
*田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表
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朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉
2013年11月30日(土)15:30〜18:30
消しゴム版画で作る年賀状
2014年2月1日(土)・2月8日(土)15:30〜18:00〈2回で完結です〉
豆帳簿〜本格丸背本を作ろう
2013年12月14日(土)13:00〜16:00
版画三昧の豪華折本
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東京製本倶楽部の第19回勉強会。参加メンバー11名で、
カロリング製本のサンプルを作ってみる。
規定の穴の開けられた木の板に、折丁(12折)を
綴じつけていく。
支持体は1箇所2本で、曲がり針を使って糸をからげる。
綴じが終わったところ。支持体を表紙板に通して
始末する。
全員が七転八倒した花布編み。手順の写真は撮った
ものの、複雑すぎて図はとても描けず、ノートは
白紙状態である。おそらく二度とできないだろう。
このあとのタグ(花布の上に出ている革部分)の
「まつり縫い」(ブランケットステッチにクロスステッチを
掛け合わせたみたいな、これまた複雑な刺繍的方法)は、
デモンストレーションは見たが、誰もそこまで
たどり着けなかった(「花布編み」での疲労が
激しかったこともある)。
綴じとか材料の裁断とかいうことより、今回は装飾縫いの
糸の運針に負けた製本作業だったと言える。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜 …本かがり上製本・和本など4冊作ります 2013年11月10日(日)朝〜晩、製本三昧! 放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…豆本を6冊作ります 2013年10月20日(土)朝〜夕、豆本三昧! 放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
*ワークショップ「一日和本教室」 …和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります 2013年11月24日(日)朝〜晩、和本三昧! …………………………………………… *ワークショップ「本格帳簿製本」/恩田教室 2013年11月9日(土)、16日(土)、23日(土) …………………………………………… *通信講座「消しゴム版画を楽しむ」朝日カルチャーセンター *田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉 2013年11月30日(土)15:30〜18:30 消しゴム版画で作る年賀状 2014年2月1日(土)・2月8日(土)15:30〜18:00〈2回で完結です〉 豆帳簿〜本格丸背本を作ろう 吉祥寺産経学園〈東京・吉祥寺〉豆本教室 2013年12月14日(土)13:00〜16:00 版画三昧の豪華折本 ……………………………………………………………………
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恩師からもらった合巻(江戸期)のばらばらに
なっているのを1冊、綴じ直してみた。
といっても、本文紙のへりは、使い込んだ辞書の
ように、丸まったり折れ曲がったりしているので、
ここをきれいにしなくてはまとまりにくい。
丁寧にするなら、それぞれの傷んでいる部分に
薄い和紙を貼って、元の寸法に裁断してから綴じ直すが、
そこまでの時間はかけられないので、
「しわ伸ばし」だけをする。
4つの角を裏表とも、ずらして広げ、目打ちの先で
折れ曲がりをひとつずつ直してから、アイロンがけする。
ちなみに、このベビーアイロンは、泉孝次さんの遺品である。
4年以上愛用しているが、壊れることもなく役に立っている。
綴じ糸は、蜜蝋を引いてアイロンがけする。
糸は絹の穴糸を使用。
綴じ穴の位置が揃っているかどうか、
目打ちを通して探っておく。
綴じる。
糸の始末。
裏表紙の綴じ穴部分の
「ささくれ」を穴に押し込み、きれいに整える。
できあがり。
きれいに開くようになりました。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜 …本かがり上製本・和本など4冊作ります 2013年11月10日(日)朝〜晩、製本三昧! 放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
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日本出版学会の出版技術・デジタル研究部会の企画で、研究社印刷へ行く。
本日(9月28日(土))は、5月に開いた見学会と同じ内容の2回目。
同じ内容でも、参加者が違うと興味の対象が微妙に
異なるので、進行が変わって面白い。そしてどちらの回も
なのだが、参加者に有識者が多いため、しゃべり出すと
止まらない。放っておくと8名の自己紹介だけで1時間に
及びそうで、たびたび話を私が中断させなくてはならない
羽目に(笑)。
ともあれ、辞書の校正刷りや活版時代のものなどを
見せてもらってから、大きな印刷機が稼働しているフロアへ行く。
製本前の本文紙がたくさん積まれているのを
見るだけで幸せになってしまう。
親切な職人さんが、刷り上がった用紙を下さるというので
喜んでいたら、「折ってあげますよ」と言うではないか。
1枚64頁で2折分が印刷されているので、まずはペーパーナイフで
半裁してから、トンボを合わせつつ手際よく折り始めた。
当たり前のことだが、1枚32頁が、折り上がったときに
きちんと頁が連続するように折らなくてはいけない。
そのためには、くるくると回転させながら折っていく(と言っても、
動画ではないのでわからないと思うが)。それも、
トンボをきちんと合わせながら。
折丁を作るのは、大変に難しい。紙が何枚も重なるため、
漫然と折るだけでは中央部分に皺が寄るし、トンボも合わなく
なるが、熟練した職人が行うと、とてもきれい!(これも当たり前)
要所要所を手のあちこちの部位を活用して 押さえ込んでいる、その手の配置が「職人わざ」なのだ。
ところで、最初に用紙の裁断に用いたペーパーナイフは、
自作したものだという。用紙の結束テープに金属製のものがあり、
それを利用して、各自、自分用のペーパーナイフを作るのだそうだ。
「自分用の」というところが、ルリユールのへらみたいで、
いかにも職人らしい。持ち手の部分に巻いてあるのは、活版の
組版を縛るのに用いていたタコ糸であるに違いない。
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…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2013年11月10日(日)朝〜晩、製本三昧!
放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
…豆本を6冊作ります
2013年10月20日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります
2013年11月24日(日)朝〜晩、和本三昧!
……………………………………………
2013年11月9日(土)、16日(土)、23日(土)
……………………………………………
*田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表
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朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉
2013年10月5日(土)15:30〜18:30
ハードカバー豆本と、1枚の紙で作る豆本3冊
2013年12月14日(土)13:00〜16:00
版画三昧の豪華折本
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