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昭和時代以前の本になじんできた人間にとって、
携帯小説の単行本というのは、一種、衝撃的な存在で
あるようだ。私も初めて見たときは驚いたが、最近は
すっかりなれてしまった。
横組みの本文組版の話をすると長くなるので
それはさておいて、本日話題にするのは外装に
ついてである。
ピンク1色の刷り色の表紙にピンクの見返し、というのは
昭和時代でもできたことだが、明るい水色の
花布とスピン(栞ひも)! なんてファンシーなの!
この色の栞ひもは、製本工房リーブルでも見たことがない。
それで、先日訪れた大進堂の一角に、花布と栞ひもが
積んである棚があって、あまりに美しかったので
写真に撮ってきたのだった。
水色やピンク、薄紫など、これまで見たことのないような
色の栞ひもがたくさんあり、花布も、きらきら輝く
金糸の縞模様など、驚くような品揃えである。
もっとも、上製本の仕事が激減している昨今、たとえ
製本会社であっても、実際はこんなに在庫していたところで
使い切れるものではないらしい。それでも、クライアントから
「こういう花布で」と指示が来れば、あらたに仕入れて
使わざるを得ないのだから、気の毒である(花布は使わないが、
栞ひものほうは、分けて欲しいくらいである)。
私のような部外者は、こういう光景を目にすると、
ついうっとりしてしまうが、この美しい花布の山には、
そういう背景が潜んでいることも、出版業界人なら
知っておいたほうが良さそうである。
〜〜〜〜〜・・ご・・案・・内・・〜〜〜〜〜〜 …豆本を6冊作ります 2013年6月8日(土)朝〜夕、豆本三昧! 放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
…本かがり上製本・和本など4冊作ります 2013年6月9日(日)朝〜晩、製本三昧! 放課後講座*『泉孝次蔵書票作品集』の折本ワークショップ
*ワークショップ「1日丸背豆本&函教室」 …憧れの丸背豆本とリボン付きの貼函を作ります 2013年11月23日(土)朝〜晩、豆本三昧!
*ワークショップ「1日和本教室」 …和本2種(麻の葉綴じ・綴葉装)と帙を作ります 2013年11月24日(日)朝〜晩、和本三昧!
……………………………………………… 朝日カルチャーセンター湘南〈神奈川・藤沢〉 2013年7月7日(日)消しゴム版画で手ぬぐい作り(大小2本作成) ……………………………………………… *通信講座「消しゴム版画を楽しむ」朝日カルチャーセンター *田中栞の「豆本・製本ワークショップ」予定表 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |
製本
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宮田製本所の宮田四郎さんに案内してもらって訪れた大進堂で、
手作業で雑誌の合本をしている職人さんがいて、話を
聞かせてもらったのが15日のことである(上の画像)。
そうしたところ、昨日(17日)、明治大学図書館の
「ご自由にお持ち下さいコーナー」を偵察に行ったら、
たまたま雑誌合本が置いてあったので、
1冊もらってきた(クロス装の丸背上製本)。
雑誌の合本も、製本のひとつの分野と言えるほど、
様々な方法がある。
以前、ナカバヤシ(「フエルアルバム」で有名)の
工場見学に行ったとき、図書館製本の部門で、雑誌の
背近くのひらを、何本もの糸で複雑に縫い込んで、
複数冊の雑誌をひとつにまとめる方法など、丈夫さを
追求した製本方法を見せてもらった記憶がある。
もらってきたこの本の製本は、一体どうなっている
のだろうか。早速壊してみる。
元の本は無線綴じだったようだが、今回の図書館製本で新たな
綴じは加えておらず、背表紙部分を断裁して接着剤で
まとめただけ。
そうはいっても、背のケアは頑強である。
接着剤(ホットメルトか)の上には、寒冷紗ではなく
目の詰まったクロス様の布をあて、その上に
クラフト紙を3重に貼り重ねてある。
寒冷紗代わりの布は、丸背の耳から2センチ幅で
左右に出っ張らせてあり、これを、くるみ表紙と
見返しの間にサンドイッチする形でくっつけている。
少し前に東京製本倶楽部勉強会で「ライブラリースタイル製本」を
実践してみたのだが、このときは、かがりの支持体にしたテープを
紙で覆ってこの布と似たような形状に作り、その部分を
表紙板紙(2枚貼り合わせ)の間にサンドイッチして、
がっつり合体させていた、
そこまでのがっつり感はないものの、通常の
くるみ製本(見返しの外側に表紙を貼って合体させただけ)にくらべて、
この布の存在は心強さがある。
ちなみに、花切れの芯は、紙紐。このくらいの分厚さと
力強さのある製本では、この花布がちょうどいい。
豆本にこの花布を使ったら、本体は花布の堅さに
負けてしまって、剥がれてしまうのだが。
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宮田製本所の宮田四郎さんに案内してもらって
2社目に訪れたのが向原紙工・石橋製本工場である。
ここでは折りの工程を行っていた。
作業していたのがコミック本の本文紙で、
これは判型が小さいので全紙1枚には64頁分が
印刷されている。折り機にかけるためには、
まず16頁分ずつ(つまり4分割)に裁断する必要がある。
しかし、工場に運ばれてきた全紙の山は、それぞれの
紙の重なり方が厳密にいうと揃ってはいないため、
このまま裁断して折り機にかけると、各頁の印刷面の
位置が微妙にずれてしまう。
そこで、まずは全紙の状態の紙をきれいに揃える
必要がある。印刷済みの全紙が積まれた巨大な山から、
手袋をした手で本文紙をガシッとつかみ、この左に傾いた
機械の上にどんどん重ねて載せていく。
この機械は、紙を揃えるための専用の機械なのだ。
紙と紙の間に空気を送り込みながら振動することによって、
大きな用紙たちが機械の左下に向かってぴったり
揃っていくという仕組みである。
画像は空気が入ったところの状態なので、紙の表面が
波打っていることがわかるだろう。
揃ったら、この表面を手で撫でつけることで空気を
逃がし、紙の山を平らに落ち着かせる。
紙がぴったり揃ったら、すぐ右にある大きな断裁機に
移動して周囲を粗裁ちし、更に四裁の16頁にする。
次に、断裁機のすぐ右にある機械に紙山を滑らせる。
すると、載せてあるステンレス台が下へと下がって、
台車の上にきれいに積んでいく。これで、折り機のほうへと
運ぶことができるわけである。
これが折り機。こういう機械が8台ほど設置されていた。
手前左に積んであるのが、折り上がった折丁を梱包したもの。
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前回会ったのは東京製本倶楽部の企画で工場見学させて
もらったときなので、20年ぶりくらいになると思う。
宮田さんは当時から、機械製本の会社の社長であると
同時に、伊藤篤さん(製本家)のもとで手製本も学んでいて、
両方を熟知している稀有な存在であった。
しばらく交流が途絶えていたが、先月、宮田さんから
たまたま日本豆本協会への入会申込み葉書が届き、
久しぶりに電話でおしゃべりをして、その勢いで
会社を見学したいとお願いしてみた。
今回見せてもらったのは宮田製本所の工場ではなく、
宮田さんと懇意にしている会社3社で、場所は
小竹向原駅からすぐの場所である。
最初に訪れたのが大進堂で、丁合以降の工程全般を
行っている。丁合の機械(上の画像)は、同様のものを昔見た記憶がある。
ここで作業していた本は、あじろ綴じの角背で、フランス表紙風の
ちりのある「くるみ表紙」を取りつけたもの。
興味の対象は背貼り部分の構造と接着剤である。
使っていた接着剤は白いもので、最初、ホットメルトかと
思ったがそうではなく、「サクラノール」というボンド系の
接着剤。
熱で熔解するのではなく、塗布した後、熱をあてて
乾燥させている(下の、赤く見える部分のある画像が、乾燥の工程)。
宮田さんのところではPURという新出の
接着剤も使っているが、今回の作業ではこれは使用して
いなかった。
出版物により、またクライアントの要望により、
どういう仕様で製本するか、そのつど決めているようだ。
表紙付けを行った後、締め作業がダブルでできる
年季の入った機械でプレスして、できあがり。
次に訪れたのは折りの作業をしている会社であるが、
これについては次回書くことにして、最後に訪れたのは
星共社である。
ここは『聖書』なども手がけており、昨今では珍しく
上製本を作ることも多い製本会社のようだ。現場で
立ち働く人たちはほとんどが年配のおじさまで、
いかにもな熟練の職人集団。
今回見せてもらえたのはソフトカバーの丸背上製本(角丸)で、
スピン(栞ひも)が2本も入っている。
そして、ここの背貼りで使用している接着剤は、
なんとニカワであった。折丁の背に塗布した後、
寒冷紗や背貼り用紙(エンボス加工したクラフト系の檀紙)、
花布と地券紙も、全部ニカワで付けている。
表紙付けの終わった本を、ぐっと開いて見せながら、
「このほうが柔らかく開くんだよ」と言う。
機械製本といえばホットメルトかPURだとばかり
思っていたのが、今回見ることのできた現場では
両方とも違う接着剤が使われていた。
当たり前のことだが、そのとき入った仕事によって、
製本仕様による判断はもちろんだが、ちょうど
タイミング良く使える機械という兼ね合いなど、
現場の事情や効率も決定要素に加わる。
「一概には言えないのだな」と、今更ながら認識を
新たにさせられたのであった。
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告知1日で満席になってしまい、きゅうきょ、7月6日(土)も
やってもらうことになった。あとはキャンセル待ちをするので、
とりあえずお申し込み下さい。
則保さんに全部やってもらっているが、小型本のため、
実用一辺倒の帳簿製本と一味違って、表紙革や綴じ糸などにも
心を砕いてくれている。
画像でわかるだろうか、この見本冊子の綴じ糸、
蛍光ピンクなのだ!
通常の帳簿より判型が小さいので、帳簿用の綴じ糸である
「簿記糸」(クチナシ色の超丈夫な糸)より細い糸を数種類用意、
この他にも青や茶など、確か7〜8種類あったと思うが、
表紙革の色に合わせて好きな糸を選べる予定である。
「綴じ」の部分について、ひとつ紹介しておこう。
通常の糸かがりだと、麻紐やテープ状の布を「支持体」として
背にあてがって綴じていく。これは一般的な手製本の教室の
丸背本でも帳簿製本の場合でも同様である(帳簿製本だと、
この支持体は背のクロスを幅広に切ったものを利用し、これを「ミチカワ」と称する)。
折丁の中央の糸の縫い目を見ると、糸の出ていない部分があり、
ここは背の外側、支持体の外側に糸が渡っているところになる。
ところが、今回の綴じでは、この「支持体」を用いていない。
支持体を用いると、表紙付けの際に支持体の端の始末が
必要になるが、小型本では特に、背と見返し部分にこの支持体が
「出っ張り」となって見えてしまうのは体裁が悪い(大きな本では、
それほど気にならないが)。
そのため、この出っ張りがないほうがいいだろうという
配慮から、支持体は用いない綴じを採用している(見返しの画像で、
出っ張りがないのがおわかりかと思う)。
私も、豆本の丸背本を作る際に、支持体を用いない糸かがりを
行い、この手法を「リンクステッチ」と呼んでいる。
連休中にも行った「1日丸背豆本&貼り函教室」で採用している
綴じがそれで、背のほうにそうした支持体(糸以外の異物)が
ないのがおわかりになると思う。
綴じの際、背の側では支持体がないので、前の綴じ糸を
すくうことで折丁同士をリンクさせている。
ところが、このリンクステッチでは、折を開いたところは、
「糸の出ていない部分」はない。糸が白いのでわかりにくいが、
縫い目が一直線につながっていて、縫い目と縫い目の間に
空間がない状態になっている。
今回の恩田教室の綴じも、やはり支持体なしの
綴じなのだが、一番上の画像の縫い目を見ると
「糸の出ていない部分」があることにお気づきだろう(青ペンで
「背側に綴じ糸が出ている部分」と書いて、矢印で指している場所)。
支持体ありの綴じと同じ糸の運針になっていることに注目!
前の綴じ糸をすくうことに違いはないはずだが、では、
この二つの方法の違いは何だろうか。
こうした違いには、必ず何かしら理由がある。それぞれに
利点と欠点があるはずだが、この恩田方式を私もやったことが
ないので、これ以上は現段階ではコメントできない。
恩田教室に参加するとこの理由がわかるので、知りたい人は
参加してもらえるといいのだが、まあ、定員もあることなので、
私が体験して理解したところでブログにupするよう
努力します(できたらね)。
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…豆本を6冊作ります
2013年6月8日(土)朝〜夕、豆本三昧!
放課後講座*消しゴムはんこワークショップ
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