アデロント

ブログをできれば隔日に書いてます。
ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』(下)河出書房新社、2018/9 を読んでいる。印象に残ったことを書いておく。

従来は宗教が演じた役割を、人間至上主義が果たすようになっている。人間性を崇拝し、経験から人生の意味や森羅万象の意味も引き出す。例えば、人殺しが悪いのは、神が「殺してはならない」と言ったからではなく、犠牲者やその家族・友人・知人にひどい苦しみを与えるからだ。
人間至上主義の政治では、有権者が正しく、経済では顧客が正しく、美術では美は人の目の中にあり、倫理では「もしそれで気持ちがよいなら、そうすればいい」となる。
(要するに、現在では当たり前のことだ。)

生命科学によれば、
1.人間はアルゴリズムの集合であり、単一の自己などというものはない。
2.そのアルゴリズムは遺伝子と環境圧によって形作られる。
3.外部から体と脳をモニターしていれば、どう感じているかや、何を望んでいるかを知りうる。それが開発されると、有権者や顧客や見る人に取って代わることができる。

病院では、体と健康についての決定の多くはコンピュータが下すようになる可能性が高い。
アンジェリーナ・ジョリーは遺伝子情報から乳房切除手術を受けた。

グーグルは検索語から、インフルエンザの警報を、従来の保険医療サービスよりも10日早く出すことができる。GAFA+MはDNAや生体情報などの個人情報を取り込み、最適なアドバイスをするシステムを開発している。これに頼るようになると、人間至上主義を放棄させるかもしれない。

AIが人間の仕事を奪い、人間が戦闘員としての価値がなくなると、人間が完全に価値を失う。さらに社会をコンピュータが支配する。そして、医者は従来病気の人を健康にしたが、健康な人をアップグレードするようになり、一部の人だけがアップグレードされて富を独占するようになる。

b71492

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本を読んだりして書くブログに、前置きとして「印象に残ったことを書く」とよく書いている。いつのころからか書くようになったが、言い訳になる。

その意味するところを列記してみると:
1.作品をよく理解しているとは限らず、自分の主観にもとづいている。
2.集中力がない時や、内容が難しい場合は、飛んでしまっている。
3.自分の興味に合うところだけを取り上げている。
4.例をいくつか書いてあるだけで、もっと面白い所もあるはず。
5.読んで興味がわけば、元の作品を読んでほしい。
6.作品全体を論評しているわけではない。

言い訳ついでに、それぞれのさらなる自己弁護を述べておく。
1.理解しにくいのは著者の責任の割合が大きい。
2.面白くないと集中力が途切れる。
3.冗長な話で分量を増やして高く売ろうとしている。
4.興味が湧くポイントは個人個人で異なる。
5.興味が湧かなければ、それまでにして下さい。
6.論評は批評家にお任せする。抽象的な論評より、具体的なポイントの方が、読む人には面白いだろう。

b71355

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ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』(上)河出書房新社、2018/9 を読んでの続きになる。印象に残ったことを書いておく。

前回紹介した不老と至福に加えて、人類は神の力を得ようとずるだろう。遺伝子工学が進み、遺伝子操作で神の力を得る。この予測は予言ではなく、選択肢を考察する方便になる。

本のタイトルであるホモ・デウスは、ホモ・エレクトスがホモ・サピエンスになったように、ホモ・デウス(神)に進化することを表している。
他の動物から見ると、既に人類は神であり、地球を支配している。

(「行動経済学とは」で既に紹介した)最後通牒ゲームは重要な経済学の発見に貢献した。それは人類は冷徹な数学の論理でなく、高度な情動に基づく社会的倫理に従って行動するということだ。

人類繁栄のもとになった協力ネットワークは、農業革命から何千年たっても拡大せず、巨大王国も広域交易も普遍宗教もなかった。これを打破したのは、書字と貨幣の発明だった。

b71279

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ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』(上)河出書房新社、2018/9 を図書館で借りて読んでいる。前著の『サピエンス全史』が人類の過去についてだったのに対し、本書は人類の未来を予言する。読んでいる途中だが、印象に残った所を書いておく。

人類の課題であった飢餓や疫病や戦争が減ってきたので、次の人類の課題はなにかを取り上げる。
その第一は老化の克服だ。
かつての40才が今の70才と言われるほどになっている。

第二は幸福の追求になる。
二十世紀の国家の成功の評価には一人当たりのGDPが用いられた。しかし、韓国では貧しかった1985年の10万人当たりの自殺が9人だったのに、経済大国になった今日では36人に上る。通常、発展途上国で5人、日本などで10人程度だ。

私達は快感を経験していて不快感がないとき幸福だという。しかし、快感は冷める。
これは進化の結果だ。永続する快感があると、それ以上の努力をせずに過ごし、子孫を残すこともない。
ブッダは快楽を過度に追求すれば、幸せではなく惨めになるだろうと言った。快感への渇望を減らし、人生の主導権を与えないのが教えだ。

b71189

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行動経済学とは

図書館で、ミシェル・バデリー『[エッセンシャル版]行動経済学』早川書房、2018/9 を借りて読んでいる。
行動経済学という言葉をよく見るようになったので、基本的な知識を得ようと思った。
従来の経済学では私たちの意思決定は、利益とコストの合理的判断でなされるとするが、行動経済学では社会的・心理的要因にも影響されることを考慮した。分かりやすい例を挙げてみる。

社会的要因の一つとして、不平等回避がある。最後通牒ゲームでは、Aが$100の予算を貰い、Bに取り分を提示できる。Bが拒否すると、ABとも取り分はゼロとなる。Bには少しでも貰えないよりはいいだろうと、Aが少ない額を提示するとBは不公平に感じて拒否する。実験では予算の4割以上を提示してもBは拒否することが多い。

税金滞納者への催促状に、他の納税者の情報(ほとんどの人が期限までの納税している)を含めた所、多くの滞納者が素早く納税するようになった。

人間は他者を模倣し、群れを成して行動を共にしようとする。これは行動を決める手っ取り早い手段だからだ。時間をかけて全てのデータをそろえて判断するより、誰か経験者がいて、その人のまねをするのが効率的だ。

コメント:
図書館の本なので、次の予約者がいると2週間で返す必要がある。(いなければ、パソコンで2週間延長手続きができる)
そのため、読んでいる途中で本を返すことになってしまった。

別の本に書いてあることだが、「なぜ日本が米国と戦争をしたのか」を行動経済学で説明している。行動経済学によれば、損失の発生が予測されると、人間は合理的な選択よりもリスクの高い選択に傾きがちになる。米国の石油禁輸でジリ貧が想定されたので、高リスクの判断をしてしまった。

b71112

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