Clip-Clopの新しい発見

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英語・言葉の面白さ再発見

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地図上には「極東」「東南アジア」「中東アジア」と方角を表す地域がいくつもあります。私たちから見て東の方向に位置しているわけでないのに「東」という名称が用いられています。これは日本から見て「東」ではなくヨーロッパから見た「東」です。考えてみると日本は「極東」の一部ですが、私たちは「東の果て」にいる意識はないですよね。どうも「位置関係を伝える表現」は客観的ではなく、話し手の主観が大きく現れているように感じます。そこで次のような本を手にとってみました。

もし「右」や「左」がなかったら−言語人類学への招待−(大修館書店)


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ことばが空間を切る

私たちはこの世に生まれたからには、自分の身の回りに「何があって」自分が「どこにいるのか」を知る必要があります。そして、モノの位置を認識して頭の中で整理してから、それを「ことば」によって表現しようとします。例えば、「前後左右」と表すことで「ことばで空間を切り分ける」のです。
しかし、話し手は「関心のある状況」を「ことば」に最大限盛り込みますが、重要でない情報はあえて表現しようとしません。つまり、全世界の人々が全て同じモノに同じように関心を抱くとは限らないですから、表現の仕方も話し手の生活環境や思考様式によって異なるはずなのです。世界にある言語を調べていくと実は「様々な空間の切り分け方」があることがわかりました。

今回は
『地球上の空間におけるモノの形・性質・位置を人間がどのように見て、認識して頭の中で整理しているか』について考えてみました。


右も左もない世界

日本語でも「右も左もわからない」という慣用句があるように「左右の区別」全世界共通の空間把握方法のように思われます。しかし世の中には「右も左もない言語」があったのです。

中央アメリカ メキシコ・チアパス州の山岳民族のお話

中央アメリカは全域にわたって起伏に富んでおり、メキシコ・チアパス州もグアテマラ国境に近い所にあり、平坦地のほとんどない険しい地形から成っています。海抜は900〜2,800メートルにも及んでいます。

その山岳地帯で生活をする1万5千人のテネパパ族の言語「ツェルタル語」が村の立地条件の影響を大きく受けていて、その言語では[絵A][絵B]を見て「男の人と木の位置関係」
を次のように表現します。

イメージ 2イメージ 3

[絵A] 男の人が木の下り側に立っています。
[絵B] 男の人が木の上り側に立っています。

大部分が山地からなり、南が高く・北が低い 立地条件で暮らすテネパパ族にとって南の方角を「上り側」北の方角を「下り側」と表現しています。さらに「横」という語彙はあっても東西・左右の区別はしないのだそうです。つまりテネパパ族はモノの位置関係を伝えるには「上り側」「下り側」「横」の3つの表現で事足りているのです。その代わり、彼らは方向感覚に鋭く「上り側なのか下り側なのか」を常に意識しているのだそうです。
ではテネパパ族は次の「椅子と瓶の位置関係」をどのように表現するのでしょうか?気になります。彼らの空間の切り方は下にある右図のようになっています。
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ツェルタル語では「その瓶は椅子の上り側にあります」と表現します。

ことばがモノを切る

ことばは空間だけでなくモノも切り分けています。でもその切り分ける基準はやはりどの言語でも同じというわけではありません。

身体部位をどう切り分けるか−日本語・朝鮮語・英語の比較−
 
私たちの身体には「頭・首・手・足」のように各部位に名前がついています。それと同じように衣服を身に付ける表現も身体の部位ごとに異なっています。
 日本語では
「シャツを⇒着る」
「ズボンを⇒はく」
「帽子を⇒かぶる」
のように動詞を使い分けています。しかし日本語と同じように動詞を分けている言語は珍しいようです。

 確かに英語では
「シャツ(shirt)⇒ put on」
「ズボン(pants)⇒ put on」
「帽子(cap)⇒ put on」
でも全て‘put on’で表しています。スーツからストッキング、かつらに至るまで身につけるものは全て‘put on’なのです。日本語は衣服を身につけるときにそれが身体のどの部分を覆うのかを瞬時に判断して、適切な動詞を選ばなければなりません。

 朝鮮語は日本語の切り分け方と近く
「かぶる」⇒‘ssuta’
「着る」⇒‘ipta’
「はく」⇒ ‘sinta’
と表します。しかし朝鮮語の‘sinta’(はく)は「靴や靴下」の場合に用いれられ、ズボンをはく場合は‘ipta’(着る)になってしまいます。言語ごとに身体の切り分け方も異なっていて面白いですね
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名詞の分類 生物編−ヒツジ・スズメ・ウシ・クジラの違い−
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日本語では名詞をどのように切り分けているのでしょうか。動物を数えるときの「助数詞」を考えてみましょう。動物であれば基本的に「一匹」と数えますよね。
「+哺乳類」「+大型」になると「一頭」になります。
「+翼」が付けば「一羽」となり
ヒツジは一匹・スズメは一羽・ウシとクジラは一頭と数えます。

 私たちは普段何気なくモノを数えているようでありながら、気づかないうちに、動物の「形」・「機能」に注目して、その他もろもろの特徴を探し出し、どの助数詞を用いたらよいかの判断を下していたのですね。

名詞の分類 無生物編−鉛筆・映画・ホームランの共通点−
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最後に無生物の切り分け方です。「長く・細く・筒状の素性を持つもの」「1本」と数えます。それに基づいていくと「鉛筆やタバコ」は当然「1本」です。しかし「長く・細く・筒状」の素性を少し引き伸ばし「放射線状の軌道イメージ」と一致させることも可能です。すると

「鉛筆」⇒1本
「映画」⇒1本
「ホームラン」⇒1本
全て「本」で数えることができるのです。

ホームランのボールが描く軌道映画のフィルムのリールのイメージ'が「長く・細く・筒状」と重なり「1本」という助数詞の使用が促されています。
 
アメリカに長く住んでいる日本人の子供たちを対象にこの「1本」の使い方を調査してみると12歳になるまでに日本を離れ滞米期間が長くなればなるほど「映画」や「ホームラン」を「本」と数えることは難しくなっていたのだそうです。
 
私たちは無意識に「鉛筆」が持っている「長く・細く・筒状」の概念を膨らませて、「映画」「ホームラン」のような抽象的なイメージにも応用していたのです。助数詞は話し手にとってどこまで同じモノが同じカテゴリーに入っているか示す尺度になったんですね。

ことばは空間を切り・モノを切る。しかし、どこをどのように切るかはその言語を使用する人の生活環境・思考様式と大きく関わってきます。言葉を使いこなすためには複雑で繊細な感覚が必要だという気がしました。でも、私たちは無意識にしっかりと使い分けていたんですね。

手袋って「はく」ですか?「はめる」ですか?それとも「する」・・・あれあれ(^^ゞわからなくなってきました。ウサギは1匹・・・それとも1羽・・・どうでしたっけ?みなさんはどう使われていますか?

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