Clip-Clopの新しい発見

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たまには読書

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道北の冬は「白一色の氷点下の世界」です。「寒さで張りつめた空気」「けがれのない一面の雪景色」が私たちを包み込みます。小説家三浦綾子さんもこの道北の旭川市で生まれ、生涯の作家活動を旭川で過ごしました。三浦綾子さんの多くの作品は「雪で閉ざされた厳寒の冬」を背景としています。今回、僕が手にした「塩狩峠」も北海道で起きた史実を基に描かれたものです。

小説 三浦綾子の「塩狩峠」の足跡と面影−JR北海道宗谷本線 塩狩駅にて−


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「塩狩峠」(昭和43年)の舞台背景

この作品は明治42年に北海道の和寒町で起きた鉄道事故が基になっています。塩狩峠は勾配の険しい峠で、かつては宗谷本線の最大の難所でした。
自らの命を犠牲にして事故を防いだ若き鉄道員
明治42年2月28日の夜、列車が峠の急坂を登りつめたときのことでした。突如、最後尾の客車の連結器が外れて、その客車だけが後退し始めたのです。暴走する客車、声もなく恐怖に怯える乗客。その車両に乗り合わせていた鉄道員 長野政雄さんはとっさの判断で線路に身を投げ出して客車の下敷きとなり、暴走を食い止めたのです。列車は転覆を免れ、乗客は無事に助かりました。彼は自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救ったのです。

神聖な空気さえ感じる「塩狩駅」

駅構内を歩いていたときにイメージしたのは 賛美歌 Amazing Graceでした。どうか記事といっしょにお聴きください♪


道北の和寒町(わっさむ)にある「塩狩駅」は峠の頂上に位置しています。幹線道路から外れ山の中へ少し入ると遠くに「しおかりえき」の駅標が見えてきました。

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「塩狩駅」は峠の森の中でひっそりと佇んでいました。屋根にはずっしりと雪が積もり、厳しい冬に「じっと耐えながら」この地に立ち続けているかのようです。

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遠くを見渡すと線路が山の奥深くまで続いていることがわかります。厚い雲に遮られて冷たく輝く「冬の太陽」辺りを包む「静けさ」から「神聖な空気」さえ感じました。

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ホームの近くには「長野政雄殉職の地」碑が建っています。一昨年は塩狩峠事故から100年を記にこの記念碑前に大勢の人が集まり、ろうそくを手に賛美歌と祈りをささげました。

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長野政雄さんはキリスト教徒でした。三浦綾子さんは「自ら信ずる神のために自ら犠牲となり、乗客の命を救った」と信じてこの小説を書いたはずです。

待つ人のいないホームに各駅停車の列車がゆっくりと入ってきました。

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乗降客はおらず新しい動きを見せることなく列車は遠くに去っていきます。ディーゼルのエンジン音だけが広い山中に木霊するように鳴り響きます。

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そして駅はまた静けさを取り戻すのです。

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駅の右手には「塩狩峠記念館」があります。三浦綾子さんの旧宅を復元移設したものです。館内では作品の資料なども展示され、執筆活動に従事した生活空間も再現されています。

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小説「塩狩峠」は鉄道員の「信夫」と「ふじ子」の純愛に強く心を打たれました。二人は一切のけがれもない真っ白な雪のようにきれいな心と愛を最後まで貫いたのです。ふじ子は生まれつき足が悪く肺病を患っていましたが、信夫はふじ子を熱心に見舞い、病状の回復を何年も待ち続けました。
「必ず、あなたはなおって、ぼくのお嫁さんになるんだ。どんなに長くかかっても、必ずなおってくれなければ困る。しかし、なおらなければなおらないで、ぼくは一生他のひととは結婚しませんよ」

「ふじ子さん、人間にとって一番大事なものは、体だとでも思うんですか。ぼくはそうは思いません。ぼくには体より心のほうが大事です」

信夫の献身的な愛情でふじ子は奇跡的な回復を見せ、二人は結婚することになったのです。そして結納の日非情にもあの事故が起きてしまいます。死亡事故のことを知ったふじ子は、それでも駅に行って信夫を待つのでした。

「約束通りこの汽車で来るにきまっている。迎えに出ると約束した以上、自分は改札口で信夫を待っていなければならない」

気づいたら僕はでページがかすんで読めなくなりました。小説で涙したのは初めてかもしれません。二人の気持ちを考えると「切なくて」「辛くて」胸がいっぱいになってしまうのです。ですからこれ以上内容に触れることは止めますね。

国道に戻り峠の手前にあるパーキングで休憩をしました。温度計を見ると「マイナス10℃」を指しています。

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もうずいぶんと長い間、外を歩いたのですっかり体も冷え込んでいました。北海道では1年で最も長い季節は冬です。これからも幾日も雪と寒さを乗り越えて冬が明けるのを待たなければなりません。しばらくは雪景色とも長い付き合いになりそうです。

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