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英語・言葉の面白さ再発見

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安定と調和の数字 『3』 の不思議−言葉と数字−

今回は言葉と数字の関係がテーマです。以前からとても気になっていた数字の「3」について考えてみたいと思います。タイトルは『世の中は「3つ」揃ってはじめて安定する』です。

『世の中は「3つ」揃ってはじめて安定する』


日本では、古来より物事を「3」でくくる表現が多いです

■三種の神器
■御三家
■三拍子揃って

ことわざでも
■三人寄れば文殊の知恵
■石の上にも三年
■仏の顔も三度まで

三大○○と呼ばれる
■日本三景(松島・宮島・天橋立)

そして
■三日坊主
■三日天下
など良く悪くもこの「3」という数字が用いられています。

■京都の三十三間堂 まさに「3」づくしです。
□観音様は姿を33種類に変えて現れる言い伝え
□柱と柱の間の数33
□自分の顔に似た仏像が必ず1体あると言われる無数の仏像の数は3万3333体
と「3」に満ち溢れています。

日本だけでに留まらず、世界規模で「3」が好まれているようです

■世界三大宗教(仏教・イスラム教・キリスト教)
■世界三大珍味(フォアグラ・トリュフ・キャビア)
■三大発明(火薬・活版印刷・羅針盤)

さらに
古代ギリシア・エジプト・バビロンにおける
■神の三位一体説

人間が
■「心・霊・体」
の3つからなり

自然界が
■「動物・植物・鉱物」
の3つから成り立ち

世界が
■「天国・現世・地獄」
の3つの世界から成り立っているのはどの文化・宗教観でも共通ではないでしょうか。

これだけ多くの「3」が用いられるのはどうしてなのでしょうか?

やはり、この「3」には、単なる「数量」以外の別の意味・・・が秘められているのではないでしょうか?考えてみると・・・

私たちの生活においても、物理的に「3」が最も安定しているのがよくわかります−


身近なところでは、「イス」は3脚が最も安定します

 確かに、水平な鏡面のようなまっ平らな床なら4脚のイスの方が安定しますが、凹凸のある床や登山道のようなデコボコ道そしてグラウンドのような地面では、4脚以上のイスは、必ずいずれかの脚が宙に浮いて、ガタガタして安定性を失くします。
 ところが、3脚は3点で平面を決定するのでどんな地面でも安定するのです。カメラマンの愛用する「三脚」も足場が悪くても安定し、ショットがブレることはなくなるはずです。

−大昔では「3」が一番大きい数であった−


 数の概念がまだ発達していなかった時代の日本においては、「3」という数字はいちばん大きい数と考えられていたようです。このため、「3」は現代の「無限大」のように神秘的なものと考えられるようになり、神聖な意味が込められていたと言われています。

「古事記」「日本書紀」には3人の神様や3人の女神そして3年暮らしたとか、何かを造るのに3日かかったといった話がたくさん出てきます。

「日本書紀」が原型になったと言われる浦島太郎の竜宮城での滞在年数は「3年」でしたし、物語の成立はわかりませんが、桃太郎の家来も「3匹」でした。
この「3年」・「3匹」の根拠もここにもあるのかもしれないですね。

−古代ギリシアでは「3」は数字らしい数字だった−


 1を数字とみなさなかった古代ギリシアでは、「3」が最初の奇数でした。さらに「3」は1や2と違っていて、「初め」と「中間」と「終わり」の3通りがあるので、「数字らしい数字」と考えられていたようです。ギリシア神話にも運命の三女神や美の三女神が登場します。

どうやら、数字の「3」には、「完全無欠」の安定・調和の意味が秘められているようなのです


上での挙げた例のように、私たちの普段使っている「ことば」には、ことわざ・慣用句・世界観など「物事を3つでくくる」考え方が世界共通して見られました。

つまり『世の中は「3つ」揃ってはじめて安定する』は人に共通した感覚で、だからこそ「3」が文化や国境を越えて用いられているのかもしれません。

みなさんの周りにも、不思議な数字「3」でくくられたものはありますか?それにもどのような根拠があると思いますか?ちょっと立ち止まって考えてみると何らかの理由が見つかるかもしれませんね。

この「3」に秘められた安定・調和の意味を調べるのに、今回はこちらの本を参考にしました。
『数の不思議−面白すぎる雑学知識−』(青春出版社)
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マーク ピーターセン著『日本人の英語』(岩波新書) より

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今回扱うのは日本人の英語学習者にとても馴染みのある「不定冠詞 a 」です

最初に習う「不定冠詞 a 」

 英語を初めて学ぶ中学校1年生の教科書にも‘This is a pen / a bag / a desk / a chair / box....’などなどたくさんの「不定冠詞 a 」が登場します。学習の初期の段階で定着してしまうせいか、この a を付け忘れる人は少ないはずです。
 しかしa の存在意義については改めてじっくり考える機会があまりなかったのではないでしょうか。この「不定冠詞 a 」は歴史的に見ると、one が変化して an になり、最後に a になったようです。つまりone⇒an⇒aの順番で現在の姿になりました。
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私たちは apple のような母音で始まる単語の前では a に n を付加して an apple になると教えられましたが、実際には pen のように子音で始まる単語の前では an から n を削除して a penになるのが正しいようです

数えられる・形のハッキリした「不定冠詞 a 」

 ここで「不定冠詞 a 」は元々‘one’だったということがわかりました。ですから、当然のように a は「ひとつの・1人の・1匹の」という意味を表すことになります。

 しかし、大切なのは「ひとつの・1人の・1匹の」を表すということは同時に「1つ, 2つ, 3つ, 4つ, 5つ・・・」「1人,2人,3人,4人,5人・・・」「1匹,2匹,3匹,4匹,5匹・・・」と「数えられる物」でなければならないということです。

 更に、数えるためには、「ハッキリとした形がある1つの物」でなければなりません。水や空気など形の定まらない物は数えることができないですよね。
 つまり、a は「ハッキリとした形がある1つの物」に付けるということになります。一方、ブヨブヨ・ヌルヌルした液体のような「形がハッキリしない・数えられない物」には a を付けてはいけないのです。

 a を付けると「ハッキリとした形がある1つの物」になり a を付けないと「形がハッキリしない物」になる! 

この点を踏まえて以下のそれぞれ英文はどのような意味になるか考えてみましょう

aを付けると大変なことになる例文の紹介です


例 1.『昨夜、庭で(バーベキューをして)チキンを(焼いて)食べたんだよ』という意味で

⇒ Last night, I ate a chicken in the backyard.

・・・a chicken「庭にいる1羽の鶏」を指します。

そうすると・・・恐ろしい意味になります。

答 1.
【夜が更けて暗くなった裏庭で、血と羽だらけの口元に微笑を浮かべながら、ふくらんだ鶏の腹に満足そうにかじりついている】

 そうです、a を付けると、「ハッキリとした形がある1つの物」になりますから「生きている鶏1羽丸ごとかぶりつく」になるのです。
 この場合、鶏肉を食べたわけですから、ブヨブヨ・ヌルヌルした形の定まらない物には a を付けずに I ate chicken. になります。肉は鶏の原型をとどめていませんし、切り方で形は如何様にも変化するので a は付けないのです。
 動物名に a を付けると「現実世界で生きている1匹/1頭/1羽」になります。一方で「食用肉」を表すときに a は付けないのです。ですから、pork(豚肉), beef(牛肉)はもちろん、horse(馬肉)にも a は付けません。付けると大変な意味になりますよね。

そうすると、次はどのような意味の英文になるのでしょうか?

問 1.『サラダに(スライスした)リンゴを入れました』という意味で

⇒Jane put an apple in the salad.

・・・an apple「リンゴ丸ごと1個」を指します。

答 1.
【丸いリンゴがそのまま1個、ボールの中心にドンと置かれたサラダ】

スライスしたリンゴは既に原型をとどめておらず、形も切り方でずいぶんと変わりますので、形が定まらないリンゴには an を付けずに I put apple... と表現します。

aを忘れると大変なことになる例文の紹介です


例 2.『玄関の前に猫がいました』という意味で

⇒ There was cat in front of my home gate.

・・・a を付けない cat は原型をとどめていないブヨブヨした肉になった猫を指します。

やはりこれも恐ろしい意味です。

答 2.
【玄関の前には、まるで車に轢かれたかのように猫の死骸が散乱している】

 動物名から a を削除してしまうと、既に原型をとどめていない肉のようなグチャグチャな状態になってしまうのです。この場合は There was a cat...が正しい表現です。

そうすると次はどのような意味の英文になるでしょうか?

問 2.『サルって(かわいいから)好き!』という意味で

⇒I like monkey!

・・・a を付けない monkey は原型をとどめていない食用肉になったサルを指します。

答 2.
【サルは食べると美味しかった。だから好き!】

動物名に a を付けないと「食用肉」を表すことになってしまいます。やはり I like monkeys. と言うのが正しいです。


まとめ

「不定冠詞 a 」は「しっかりとした具体的な形があり数えられる物」に付加されることになります。更に、少し発展して「始めと終わりがあり他の物との境界線が引ける」という条件も含まれます。逆に「形が定まらず抽象的で、始めと終わりがはっきりしない物」には a は付けないのです。

次の例も a の有無で意味が変わってきます。

I went to a school in London.
・・・a schoolのように a が付加されている。
⇒『私はロンドンの学校へ行った』

I went to school in London.
・・・schoolのように a が削除されている。
⇒『私はロンドンで教育を受けた』

 日本語には冠詞がないため、英語の冠詞の使い方は大変難しいと思います。しかし「不定冠詞 a」の使い分けは今回紹介した考え方でかなり通用すると思っています。それにしても a があるのとないのでは随分と意味が変わって驚きですよね。 

織田 稔著『英語冠詞の世界―英語の「もの」の見方と示し方』(研究社)も参考にしました。
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冠詞の世界は奥が深いです。理屈では分かっていても使い分けは難しいかも!

英語の勉強と言えば・・・「英単語を覚えられない!(汗)」「覚えてもすぐ忘れる!(怒)」単語の勉強でつまづく人がとても多いです。確かに日本語・英語に代表されるヨーロッパの言語は、文法・音声も完全に違いますし、文化や考え方の違いも繁栄されていますから、そもそも共通点がほとんど見いだされません。

共通点は「オノマトペ」

確かに日本語と英語は全く異なる言語ではありますが、「オノマトペ」と呼ばれる擬態語・擬声語に関しては日本語・英語に限らず、多くの言語間に共通点が見られます。今回は「オノマトペ」の表現方法における日英の共通点と相違点について考えてみました。


絵画のような日本語−動詞に見られる日英語の比較−


例えば鶏の鳴き声
日本語 ⇒‘コケコーッコー’
英 語 ⇒‘cook-a-doole-doo’
独 語 ⇒‘kikerliki’
仏 語 ⇒‘cocoriko’
というように全て[ k ]の音を含んでいます。

言葉が違っても、ヒトとして備わっている聴覚は共有している'のだから、誰の耳にも鶏の鳴き声も同じように聞こえるはずなのです。

「覚えるのが大変」だった英語にも日本語との共通点が見られます。

「ゲラゲラ笑う」          ⇒‘guffaw’
「ペチャクチャしゃべる」  ⇒‘chatter’
「子供がバーバーしゃべる」⇒‘burble’
「がつがつ食べる」        ⇒‘gobble’
「がぶがぶ飲む」          ⇒‘gulp’

など擬態語・擬声語のように「人の動作」を表す表現は似ています。
「がつがつ」「がぶがぶ」‘gobble’‘gulp’では[ G ]の音を共有しています。

今回は上の例の中でも、「笑う」という動詞に絞って日英で比較してみましょう。
「笑う」                ⇒‘smile’[ニコニコと声を出さない] ‘laugh’[声を出す]

「にやっと笑う」        ⇒‘grin’   [歯を見せる・茶目っ気・快活]

「にたにた笑う」        ⇒‘simper’ [間が抜けた印象]

「優越感でにやにや笑う」⇒‘smirk’  [自己満足・優越感からくる]

「くすくす笑う」        ⇒‘chuckle’[喜び・満足による]  
                          ‘giggle’ [女の子がよくする]
                          ‘snicker’[意地悪・無礼な印象]

「ゲラゲラ笑う」        ⇒‘guffaw’ [男性の大声の場合]

オノマトペの日英の表現方法の違い

日本語は「〜と笑う」というように「擬声語・擬態語」+「動詞(笑う)」で表しています。英語は、聞こえた音の印象である「擬態語・擬声語」をそのまま動詞にして、それぞれ[優越感][意地悪][喜び]などと明確な特徴付けをしています。日本語と英語の表現では、音は似ていますが、形式は全然違いますね。

この違いについて

荒木博之著『日本語が見えると英語が見える 新英語教育論』中央公論社(1994)

では次のように説明しています。 

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英語は概念的言語・抽象的言語であり、知覚したものを概念化という手続きを経て言語化する。
例えば、アヒルの歩き方は、既に概念化されており‘waddle’という唯一つの語で表現される。

英語では「クスクス笑う」という様子も、[優越感][意地悪][喜び][女の子]のような特徴を与え、それぞれ別の動詞に変換して、意味の区別・違いをはっきりさせているのです。

しかし、日本語では、概念化という手続きを経ずに、知覚した世界を、絵画のように感覚的・情動的に把握し、そのまま切り取って未整理のまま提示しています。

例えば、英語では‘waddle’であったアヒルの歩き方も、日本語ではオノマトペを用いて「よたよた」「よちよち」「ひょこひょこ」「ひょっこりひょっこり」「よたりよたり」「よっちよっち」「よったりよったり」'''等いくらでもあり得るし、また創ることもできる。このことは、日本人は対象世界をよりデリケートに、より微妙な違いをもって認知できることを意味していると述べている。

日本語は「ニヤニヤ・ニタニタ・ニカニカ・ニンマリ・ニヤッと・ニタッと・ニタリと+笑う」と表現するが、意味の違いは曖昧のままであり、解釈は状況や聞き手・読み手に依存しています。

日本語では対象世界を感情的・情動的に、英語では論理的・分析的に受け取っているという違いがあるようです

日本語の表現方法が感情的・情緒的である理由

でも、どうして日本語は「ニヤニヤ・ニタニタ・ニカニカ・ニンマリ・ニヤッと・ニタッと・ニタリと」の違いを明確にしないまま表現するのでしょうか・・・。

松本青也著『日米文化の特質−文化変形規則(CTR)をめぐって−』研究社(1994)
では次のように述べています。

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日本では喜怒哀楽のあからさまに表現するのも品がなく恥ずかしいこととされ、自分の弱さを表してしまう悲哀や戸惑いは、なるべく他人に知られないように隠そうとする。失敗したときの「ニヤッと」する照れ隠しの笑いや迷惑をかけた気まずさからニヤニヤしたり、隠そうとするあまり、時には行過ぎて逆の感情を表現してしまう。このような感情を直接表現しない心理が作用している。

この「感情を直接表現しない心理」が、薄気味悪い印象を与える「ニタニタ」「ニヤニヤ」に含まれた情報を、英語にように違いをはっきりさせて、明確な意味上の境界線を引けないのではないかと僕は考えてています。

日本語の「ニヤニヤ・ニタニタ・ニカニカ・ニンマリ・ニヤッと・ニタッと・ニタリと」となんとなく「わかるようなわからないような」表現が多いのですが、私たちはどのように使い分けているのでしょうか?みなさんでしたらどのように使い分けていますか?僕でしたら次のような印象を受けます。

ニヤニヤ笑う ⇒ バカにしている・恥ずかしがる
ニタニタ笑う ⇒ 何かを期待している
ニカニカ笑う ⇒ いいことがあって堪えられない
ニンマリ笑う ⇒ 満足している
ニヤッと笑う ⇒ 悪いことを企んでいる
ニタッと笑う ⇒ 待ち望んだ機会が来た
ニタリと笑う ⇒ よからぬことをする機会を得た

ではでは、長文でしたが最後まで読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m

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イギリスが英語を話す国になったのはいつ?−英語の復興と英仏百年戦争−


そもそも英語の誕生はいつか
 紀元前より、イギリスはブリテン島と呼ばれていました。以前お伝えしましたように、元々、このブリテン島に英語を話す民族が住んでいた訳ではありません。英語イギリス固有の言語ではなく、現在のイギリス国民の祖先アングロ・サクソン人がヨーロッパ大陸からブリテン島へ持ち込んだ言語なのです。そのアングロ・サクソン人が最初にブリテン島に到来した449年英語の歴史の始まりとしています。

 アングロ・サクソン人の中で、数の最も優勢であったのはアングル人でしたので、国全体を「アングル人の土地」Engla land(the land of the Angles)と呼び、それが現在のイングランドになったわけです。
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日本ではイギリスという名称が定着していますが、これはポルトガル語Ingrezが由来で、江戸時代は「アンゲリヤ」「エグリス」と呼ばれていたそうです。

英語が迎えた衰退と危機
 449年が始まりとされるこの英語は、いくつもの衰退と絶滅の危機を乗り越えて、現在では15億人が使う国際言語へと成長しました。その英語が辿った危機の中でも、1066年の「ノルマン・コンクェスト」と呼ばれる一大政治的事件は、イギリスと英語に決定的な影響を及ぼすことになったのです。

イギリスの二重言語社会 
 アングロ・サクソン人の王が亡くなると、フランス北部にいたノルマンディ公ウィリアムは王位継承を望み、イングランドに上陸。戦いで勝利を収めた後、ウィリアム1世として国王に即位し、ノルマン朝を開きました(1066年)。ノルマン人の英国征服の始まりです。

 ウィリアム1世は、高位の聖職者や政治の指導階級にノルマン人をあてました。ノルマン人が話す言語はフランス語でしたから、フランス語は社会の上層支配者の言葉になり、英語は被支配者である一般大衆の言葉となったのです。以後300年間、イギリスの公用語はフランス語となり、上流階級はフランス語を話し、下層階級は英語を話すという社会的二重言語の状態が続きました。   

その二重言語体制は現代英語の語彙にも反映されています。家畜の世話は下層階級である英語話者の仕事でした。彼らは「牛」を‘cow' 、「豚」を‘pig’と呼びます。ところが上流階級のフランス語話者は、調理されたテーブルの上にある牛肉を見て、‘beef'、「豚肉」を見て ‘pork' 呼びます。ですから今でも、英語は「牛」と「豚」を表すとき、動物は‘cow' ,‘pig’なのに、肉を表すときは‘beef',‘pork'と名称が変わるのです。「イギリス人が働き、フランス人が食べた」という構図が思い浮かびます。
     
英語の復興と百年戦争        
 しかし、この下層階級の言葉であった英語が復興し、イギリスを「英語を話す国」にした決定的な事件が起こります。それが「英仏百年戦争」(1337-1453)です。イギリス王エドワード3世は、スコットランド併合を目指しましたが、フランス王が積極的に介入し、スコットランドを支援したという理由で、フランスに侵攻を開始し、その名が示すように1世紀以上続く百年戦争が始まったのです。
 
 当初、戦闘はイギリス優勢のうちに推移しましたが、フランスの国民的英雄ジャンヌ・ダルクの活躍により、フランス軍の士気は高まり、イギリス軍は敗北を続け、最終的にイギリスはフランス国内のほとんどの領有地を失い、フランスから撤退して、百年戦争は終わります。


なぜ、この「百年戦争」が英語の復興を引き起こしたのでしょうか
 実は、百年戦争の中、フランス語は敵性語とされ、イギリス人は国民的自覚を強め、英語こそが自分たちの言葉であるということをはっきりと認識するようになったのです。英語の使用にもいっそう拍車がかかり、フランス語は外国語、教養として学習する言語という意識も強く芽生えました。

イギリスの公用語が仏語から英語に
 そうして、1362年、300年近くの長い年月を経て、英語はようやく公式の言語として認められ、議会の開会宣言が英語で行われるようになりました。学校教育にも英語が取り入れられ、1385年までに、これが一般化しました。英語が教育現場を制したのです。1399年イギリス王ヘンリー4世は英語で即位の演説を行い、英語を「わが母国語」と叫びました。

 英語はこれからの発展に向けて長い行進へのスタートラインに立ったのです。イギリスの公用語としての地位を復興し、20世紀には世界の共通語へとして躍進していくことになります。

今回は
(1)佐藤賢一著「英仏百年戦争」(集英社新書)
(2)渡部昇一著「スタンダード英語学講座[3] 英語の歴史」(大修館書店)
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を参考にしました。(2)はさすがに渡部先生だけあってかなり詳しく英語史・イギリス史について書かれてありました。他の文献にも載っていない事項も多く見受けられます。

 単なる一言語に過ぎなかった英語がここまで話者数を増やし、異なる国家・民族の共通語として広まったのはどうしてなのでしょうか?やはり英米の圧倒的な経済力でしょうか?またその影には絶滅に瀕している言語も数多くあることも心に留めておきたいですね。

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「グラマーを勉強する」と言えば、文法を勉強することです。機械的な規則の集合体である英文法(グラマー)が嫌いな高校生も多いと聞きますから、グラマーは人を惹きつける魅力がないように思えます。しかし、「グラマーな女性」と言うと、豊満な肉体で魅力的な女性になり、男子生徒は一気に惹きつけられるわけです。

意味は全然違うのに、音は一緒・・・よく考えてみれば不思議です。文法と肉体的な魅力・・・どうして音だけが共通しているのでしょうか?

スペルは、文法のグラマーは‘grammar’となり、豊満のグラマーは‘glamour'とありますので、綴りが違うので、それぞれは全く違う単語で、別々に生まれ発展してきたと考えてしまいます。

しかし、豊満のグラマー‘glamour'を大きい辞書で引くと、元々は‘grammar’とあります。ということは、魅力的で豊満なグラマー‘glamour'は文法の‘grammar’から生まれたことになります。「肉体的な魅力」と「文字の規則」は元来は同じ単語だったのでしょうか?ますます分からなくなります。

そうしますと‘glamour'(豊満)の生みの親である、文法の‘grammar’を調べることで、このグラマーの妙な共通:豊満と文法が見えてくるかもしれないのです。

そもそも‘grammar’の由来はギリシア語の‘grammatike'で、gramma「文字」を表し、tikeは「技術」を意味しています。

この‘gramma(文字)’にある「グラ」という音は、「何かを彫る」ような印象を与える音なんだそうです。確かに日本語も「彫ること」を「えぐる」と言い、「グラ」に似た「グル」という音を用いていますよね。

古代ギリシア人は、文字を書くのに、「石や板に文字を彫った」わけですから、「文字は彫るもの」ということで、文字には、この‘gramma’「グラ」という音が与えられたのです。

そして、そのギリシア語の文法を表す‘grammatike'は、ラテン語に伝わり‘grammatica'と少し形を変えてヨーロッパに広まりました。フランス語では‘gramer’となり、英語にも伝わり、後に‘grammar’という単語が生まれました。

さらに、中世のヨーロッパでは、上の‘grammatica',‘gramer’,‘grammar’は「文法」を意味するだけでなく、「文字で書かれたもの全般(書物・文献)を研究する」という意味で用いられるようになったのです。

しかし、中世のヨーロッパでは文字を読める人はごく少数で、教会の神父や学者などに限られていました。ですから、字が読めなかった大多数の人々にとって、文字は「奇妙な記号」だったのです。

教会では、神父さんが「紙に書かれたごちゃごちゃした意味不明の記号の羅列」を読んで、
「救世主」「人が生き返り」「神様が人になり給うた」「信じると天国に行ける」などまか不思議なことを言うわけですから、字の読めなかった人々にとっては、あの意味不明な記号の行列を読んで、そんな不思議なことがわかるなんて・・・まるで魔術のように見えたのです。そうして、当時の「文字」は「魔術的でオカルト」なイメージと結びつけられるようになります。

つまり、文字のイメージは「魔術的」「オカルト的」だったのです。そんな文字で書かれたものを研究する‘grammatica'は、「魔術やオカルト」の知識がある人がする研究として誤解されてしまうのです。
そんな状況ですから、「文法」と「魔術」の混乱だって当然起こります。

一方、スコットランドにも、「文法」と「魔術」の意味の混乱が広まりましたが、フランス語の‘gramer’(文法)が広まる際に、‘r’と‘l’のスペルの混同が起こりました。確かに‘rice’と‘lice’など日本人にとっても区別が難しいですが、昔のヨーロッパでも同じように‘r’と‘l’を間違うことがあったようです。

よって、スコットランドでは、この‘gramer’の‘r’が‘l’になり、‘glamer’や‘glamor’と用いられるようになります。この‘glamer’や‘glamor’の意味は、先ほどの「文法」と「魔術」の混乱によって「魔術・魔法・魔力」を表すようになりました。ようやく、現代の肉体的なグラマー‘glamour'にスペルが近づきました。

この「魔術・魔法・魔力を意味するglamor」をスコットランド出身の大作家スコットが自身の作品でも頻繁に使うようになったので、イギリス全土そして英語圏へ広まっていくのですが、その過程で、意味も「魔術・魔法・魔力」から「妖しい魅力」「性的な魅力」という意味に発展していったのです。

随分と長くなってしまい、読む気も失せてしまうようでしたらごめんなさいm(_ _)m簡潔にまとめることができませんでした。

それでも自分の以前からの疑問に答えることができてよかったです。グラマー(豊満)とグラマー(文法)も元々は同じ単語で意味もつながっていたんですね。それがわかっただけでも貴重な一歩となるはずです。

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