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今日は、動詞を中心とした日本語と英語の「意味のズレ」を紹介します。
□日本語の動詞の特徴:行為を表す・・・「影響力が弱い」「結果を含意しない」
□英語の動詞の特徴:行為と意図の達成を表す・・・「意図性が強い」「目標達成を含意する」
つまり、日本語の動詞は「行為」のみを表し、英語の動詞は「行為→目標達成」まで表す。
従って、次のような違いが生じる。
以下では、 a.日本語の文は成立するが、b.英語の文は成り立たない非文である。
1.
a.燃やしたけど、燃えなかった。
(火を点けたという行為のみを示すので、実際は燃えていなくてもよい)
b.*I burned it, but it didn't burn.
(burn:燃やすという行為により、実際に火が点いて全て燃えてしまうことを示すので、この文は矛盾)
2.
a.混ぜたけど、混ざらなかった。
(かき混ぜるという行為のみを示すので、水と油のように最終的に混ざらなくてもよい)
b.*I mixed them, but they didn't mix.
(mix:混ぜるという行為により、その結果、混ざり合ったという結果を示すので、この文は矛盾)
3.
a.彼を起こしたけど、起きなかった。
(起こしたという行為のみを示すので、彼はそのまま寝続けてもよい)
b.*I woke him, but he didn't wake.
(起こしたからには、絶対に彼は起きていないといけないので、この文は矛盾している)
4.
a.ジョンはメアリに電話したが、彼女は留守だった。
(電話したという行為のみを示すので、相手と話をしていなくてもよい)
b.*John called Mary, but she was out.
(電話したからには、相手と話をするという目的を果たしているはずなので、この文は矛盾している)
5.
a.ジョンはメアリを来るように説得したが、彼女は来なかった。
(説得しただけで、来るか・来ないかは関係ない)
b.*John persuaded Mary to come, but she didn't come.
(説得した以上は、必ず来なければならない)
つまり、英語の「説得する」を表すpersuadeは「説得して、相手が納得して、言われたことを実行する」までを含む。
6.
a.ジョンはメアリが問題を解くのを手伝ったが、彼女はその問題を解くことができなかった。
(手伝ったが、その結果までは気にしていない)
b.*John helped Mary solve the problem, but she was not able to solve it.
(メアリその問題が解けるようになるために手伝ったのだから、彼女が問題を解けるようにならないのはおかしい)
つまり、英語の「助ける」を表すhelpは「相手を助けて、〜ができるようになる」までを含む。
さすがに、次の例は日本語でも英語でも成り立たない。
7.
a.*殺したけど、死ななかった。
b.*I killed him, but he didn't die.
日本語対英語の「一対一対応」では正確な解釈ができないとも言われるが、1〜6はその典型的な例である。
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