昨年から時間をかけて読み続けていましたが、先日の旅行の移動中にようやく読み終えました。
この本は事故が発生した福島第一原発で何が起きていたのかを書いたドキュメンタリーです。
日本国中が固唾をのんで見守ったあの事故で、内部ではどんな事が起きていたのかを知りたい、それがこの本を手に取った理由です。
想像していた通り過酷な状況下での一部始終が描かれていましたが、津波が来るまでは訓練通りに原子炉は制御されていたことがわかりました。やはり津波によってディーゼル発電機が壊れ電源を失ったことが致命的だったようです。
電源を失ってからの現場、放射能が高くなる中での吉田所長をはじめとする東京電力社員の必死の作業には読んでいて力が入ります。朝日新聞が記事にしたような逃げ出す社員は描かれいません。おそらく今、話題になっている「吉田調書」ですが、この本に書かれていることと大差は無いと思います。
また総理大臣の菅直人が現地視察に行って何があったのか気になっていましたが、「なぜベントしないのか?」と怒鳴りちらして吉田所長に説明を受けただけというのが印象に残りました。現場で奮闘する人々へ激励するわけでもなく、支援するわけでもなく感情に任せて怒鳴るだけ…。もし仮にこんな人間が原発の所長だったらと想像すると背筋が凍りつきます。
事故が最悪の状況を免れたのはやはり吉田所長の人望によるところが大きいですね。技術者であることは当然ですが、不眠不休に耐えられる身体、自ら責任を負う腹の据わった吉田所長だからこそ部下も付いていったのでしょう。
しかし吉田所長は病に倒れ昨年この世を去ってしまいました。激しいストレスに晒された影響でしょうか。
吉田所長にはこの事故の教訓を活かすためにもっと多くの事を語って欲しかっただけに、病に倒れ亡くなった事が悔まれます。どうせならあいつが代わりに三途の川を…以下略。
単なる事故の記録ではなく、作業員の葛藤、責任ある者の行動の比較等々、中々読み応えのある本でした。
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