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この「コラム」は一読の価値あり。最近(ここ2ヶ月以上)TVを一切見ない私は理解できます。 引用先;http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080317-01-1301.html 政治を見えなくしている人たち 最近のテレビ報道は余りにもレベルが下がりすぎて、論評の対象に値しないと無視してきたが、先日たまたま見た番組に思わず「馬鹿言ってるんじゃないよ」と叫んでしまい、叫んだ自分が恥ずかしくなった。 しかしよくよく考えてみると私が「馬鹿な」と思った放送を見て多くの国民が頷いているかもしれない。テレビ局がおかしいと思わない事のどこがおかしいのかを書いておく意味はある。そう思ってこれまでの考えを改め論評をさせてもらう。 私が思わず叫んでしまった番組はテレビ朝日系列の「報道ステーション」である。元アナウンサーの司会者が眉間にしわを寄せ「政治は一体何をやっているのか、ひどすぎる」と悲憤慷慨してみせることで視聴率を稼ごうとする番組だが、道路問題で紛糾する国会について次のような報道を行った。 1週間続いた国会の空転を批判するため、番組は空席の委員会室を映し出したあと町のサラリーマンに向かって「国会議員たちは出席すべき委員会を欠席して審議をしていない。ところが委員長などには手当てが出ている。仕事もしないでお金を貰っていることをどう思うか」とインタビューした。聞かれた方は政治を知らない素人だから、「政治家は我々の事なんか何も考えていない」と憤慨する。すると番組の司会者が待ってましたとばかり、我こそが庶民の味方という顔をして、声に力を込め頭を振りながら「本当に政治はひどい。党利党略だけで国民のことなど何も考えていない」とのセリフを吐いた。 これがどれほどテレビの知能水準の低さを露呈し、結果として国民の政治に対する理解を妨げ、日本の民主主義にとって害悪であるかを説明する。 国会は2月29日に衆議院予算委員会で与党が強行採決を行った。新年度から予算を執行するためには3月4日でも間に合う採決をわざと繰り上げたやりかたは、審議が不十分だと主張している野党を挑発する行為で反発は当り前である。これで反発しなければ野党の存在理由はない。従って野党は参議院での審議を拒否し国会の空転が続いた。そして空転のもう一つの理由は、それが野党にとってガソリンの暫定税率を廃止に追い込む唯一の戦術だったからである。 いわゆる「ねじれ」国会では、参議院で否決された法案を衆議院で三分の二を上回る賛成で再可決しないと法案は成立しない。衆議院で三分の二以上の議席を持つ与党にとって暫定税率を維持するためにはまず参議院で野党に否決してもらわないと困る。参議院で否決してもらえれば衆議院で成立させる事が出来る。逆に野党にとっては参議院で否決してしまうと暫定税率を廃止する事が出来なくなる。暫定税率を廃止するためには期限が切れる3月31日まで参議院で否決をせずに審議を続けていくしかない。早めに審議に入れば3月31日以前に採決の時期がきてしまう。だから審議入りを遅らせた。 つまり暫定税率を廃止にするための「仕事」は「国会を空転させる」ことなのである。そう言うと「国会議員の仕事は委員会や本会議に出席して審議をすることだ」という反論が返ってきそうだが、そんな小学生のホームルームみたいな事を言っているのは世界でも日本人だけだと思う。 以前にも書いたが議会制度の母と言われる英国議会には議員全員が座れる座席がない。つまり議会の出欠状況など誰も問題にしていない。政治家にとって大事なのは「国民の生活と安全を守ること」で「委員会や本会議に出席すること」ではない。出席する事が「国民を守ること」になれば出席するのが「仕事」だが、出席する事が「国民を守ること」にならないと判断すれば、出席しないのが「仕事」である。今、与党と野党は「暫定税率を維持して道路を作る事が国民の生活を守ることだ」という考えと「暫定税率を廃止して無駄な道路を作らない事が国民生活を守ることだ」という考えで対立している。与党にとっては出席して審議を促進し3月31日までに再可決する事が、野党にとっては出席しないで審議を空転させ3月31日の再可決を阻止する事が「仕事」である。 「いやそうではない。やはり言論の府なのだから審議拒否ではなく言論で相手を説得すべきだ」と言う反論があるかもしれない。それもこの国の議会の仕組みを知らない者の言い分である。大統領制のアメリカ議会のように個々の議員が自分の考えで投票できる仕組なら言論で相手を説得できる。政党の方針でなく言論が投票結果を左右する。しかし議院内閣制の国の議員には党議拘束がある。政党の方針が全てでそれに議員は縛られる。どんなに言論を闘わせても平行線の議論が続くだけで投票する前から結論は分かっている。だから今の日本の国会で野党が暫定税率廃止を実現しようとするならば空転させるしかない。 党議拘束を是とする考えに立てば英国議会のように与党の政策を野党は妨害しないという政治もある。英国では政党がマニフェストを掲げて選挙をし、国民に政党の政策を選択させる。国民に支持され選挙で勝利した与党の政策を野党はいちいち妨害しない。本会議の党首討論などで批判を重ねて次の選挙のマニフェストを作り勝利を目指す。こうした政治を行うなら与党の政策を妨害するため審議を拒否して国会を空転させるのは民主主義を否定する行為となる。非難されて当然だ。 しかし日本の国会は戦後アメリカが作ったためにアメリカ議会と同じで英国議会とは全く異なる。法案の成立を巡って与野党が駆け引きを繰り広げる仕組みになっている。アメリカ議会にも審議拒否や審議妨害はある。だから審議拒否は民主主義の否定に当たらない。 「報道ステーション」の眉間にしわ寄せ司会者の言うことを聞いていると、どうも暫定税率廃止に賛成の口ぶりである。それならば「安易に与党に妥協するな。もっと空転させて確実に廃止に追い込め」と言うべきだ。55年体制下のマスコミならばそう主張しただろう。当時はマスコミの役割は権力に対する監視役で弱い野党の側に立つべきだと考えられていた。私はそういう立場をとらないが、それはそれで一つの考えである。ところが「報道ステーション」はそうではない。「空転させる事はけしからん」と「暫定税率廃止が賛成」という矛盾した主張をしながら政治全体に批判の矛先を向けている。 何が目的でそのような主張をするのか。おそらく空転を支持をすることも、暫定税率維持に賛成することも国民の支持を得られず、視聴率を下げてしまうと考えているのではないか。そして政治を批判しさえすれば視聴率を取れる。テレビ人間が考えそうなのはそんな程度だと思う。もしそうだとすると「報道ステーション」は政治の仕組みも知らずに視聴率のためだけに政治全体を批判して国民を政治不信に追い込む役割を果たしていることになる。 この番組のスタッフは国民を政治不信に追い込む事が日本の政治を良くすることにつながると考えているのだろうか。そうならばそれこそ本末転倒である。政治の裏で権力を我が物にしている官僚を喜ばせるだけの話になる。そして何よりも政治家を選んでいるのは国民だから「政治がひどい」と叫ぶ事は、選んでいる「国民がひどい」という事で、その国民に情報を提供している「マスコミもひどい」という話になる。天に唾しているだけの事だ。 政権を取る気がなく自民党の一部と手を組んでいた社会党や公明党を「野党」と呼び続けた55年体制当時のマスコミもひどかったが、それよりもさらに劣化した報道が繰り広げられているのが現状である。困ったことに当事者は天に唾している事にも気付かない。こうしたテレビの影響で政治はますます国民に見えにくくなってしまっている。 最後に一言だけ付言すると、「衆議院強行採決の裏」で書いたように私は現在進行している政治の駆け引きを与野党激突とは見ていない。修正協議をするために必要な舞台装置作りだと見ている。政治は与野党が対立しているように見せながら、実は与党内部と野党内部の中にも争いがあり、いつもそれらが絡まって推移しているのである。 (田中良紹)残念ながら今日現在修正協議は始まっていませんが(笑)、報道ステーションの司会者(H伊知郎)は庶民目線を気取っているだけなのである、と断言している。他の司会者も同様だろう。 「審議拒否」することで「暫定税率」が廃止になろうとしている。野党はそれが国民のためだと思っているからそういった「仕事」をしている。こういう目線で見る事が今の「政局」を「楽しむ」方法でしょう。やるなら徹底的にやればいい。今の「政局」は日本の将来がかかっていると言っても過言ではない。
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2008年03月27日
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