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G'day
子供の頃から、SF大好きで、むかし少年少女向けのNHKで放映していたSFドラマ”時をかける少女”とか”なぞの転校生”とかよく見てました。
で、当時のSFでよくあるパターンとしては、ある日ひょんな事で主人公が4次元の世界やタイムトラベルのドアとか発見し、日常と逸脱した世界に紛れ込む。最後には記憶を消されて、普通の世界に戻ってくるってものでした。
実は私、銀座の数寄屋橋にある某保険会社に勤めていた時に、トワイライトゾーンの入り口を見てしまった事があるんですよ。
その日は、いつもの通りに会社の後、同僚と3人でお茶でも飲んでから帰ろうって事で、会社に程近い喫茶店”モロゾフ”に行きました。
そこは雑居ビルに入った店舗のひとつで、外階段を下りていくと半地下のようなところにあるんです。
いつものように一番奥のテーブルに座ってお茶を飲んでいたました。ひとしきりおしゃべりして、さあ帰ろうと思った時に、なんとなくトイレに行きたくなりました。今までこのお店でトイレに利用した事がなく、喫茶店内を見回してもそれらしいものがない事に気づきました。店員さんにトイレあります?って聞いたら、非常口の外に出ると左手にありますよっと教えられて、はじめてそこにあった非常口(よくオフィスビルにある鉄の重い扉だったんですけどね)の向こう側に入ったのでした。
ドアを開けたら、右手に非常階段があり、左手に確かにトイレのサインがありました。で、目の前(丁度自分が入って来たドアの真反対)にやはり鉄のドアがあり、そこには、”天国”って大きく文字が書かれていました!!
天国のドアがあったんですよ。びっくりしました。天国の入り口がこんな地味なところにあったなんて・・とうとう私もトワイライトゾーンに入る瞬間を迎えたのです。このドアを通って中に入ってしまえば、そこには非日常的な世界が待ち受けていて、私もSFの主人公になるんだって強く感じました。
一歩二歩とじりじり天国のドアに向かって近づきました。とうとうだ・・私にもその瞬間が訪れる・・・でも、待てよ・・万が一、記憶を消して現実の世界に戻してもらえなかったら・・さっきまで一緒にお茶をしていた友人にはもう会えないの?家で夕飯作って待っていてくれる母にも会えないの?
いや・・もしかしたら、彼らは私を心配するどころか、彼らの記憶から私を消して、もともと存在なき人にされてしまうのかもしれない!
そう思ってふと足を止めたら、ちょうどそこは左手にあるトイレのまん前、とにかく天国行くにしても行かないにしても、その前にトイレにだけは行っておこうと、急に現実の状況を認識して、とりあえずトイレに入りました。
しかし、天国のドアにしては味もそっけもない鉄のドアだったなあ。案外小説とは違って本来さりげなく、トワイライトゾーンは口を開けているのかもしれない。
でも、誰にもさよならも言えずにこのまま、この世界からバイバイはつらすぎる。私にはこの世界でやりたい事がまだまだあるのに・・。
トイレから出てきた私は、悩み抜いた上、後ろ髪を引かれる思いではありましたが、やはり現実の世界に帰る事にしました。天国のドアに背を向け、元来たドアをあけてモロゾフに戻ったのです。
何も知らない顔でお茶を飲んでいる友人たちに、声を潜めて今みてきたことを告白しました。”私、天国のドアみちゃった。あぶなくドアを開けそうになったけど、やっぱり皆のところに戻ってきました。でも、怖かったな〜 あんなもの見つけちゃうと”って周囲に聞こえないように話したら・・
なぜか二人とも大笑い。ここ笑うシーンですか?こんなに真剣に話しているのに・・
そしたら友人の一人が、”あんた間違ってるよ、そのドア開けてみればよかったのに・・たぶん いらっしゃい!って言われたよ。あそこは”天国”と書いて”テンクニ”と読む天婦羅屋さんじゃない。”
あ〜そうでした。別の外階段を下りていくと、確かにそこは天婦羅屋さんだった。
あまりに、想像性豊かな私は、天婦羅の天国(テンクニ)の存在をまったく忘れていましたよ。万が一あのままドアを開けていたら、恥をかくところだった。よかった。
でも、あれ以来なんとなくあの非常口が怖くてあけられません。
だって、もし非常口の向こう側に天国と書かれたドアがなくなっていたら??そしたらやっぱりあれはトワイライトゾーンの入り口だったんです。そう思うとあまりにも怖くて確認したくないんです。現実にまだまだ未練がある私なので・・。
まだ、あのモロゾフは存在しているのかな?
Ta..
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