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僕の通う中学校の ビックイベントのひとつに 林間学校というものが存在した。 山小屋でクラスメイト達と 共同生活するなかで 自然の素晴らしさにふれ その過程で協調性や 順応性を高めていく。 まぁざっくりとした 目的はこんなところであろうか。 世の中学生達がそうであるように りんたろの学校の生徒達も 空気の美味しい鮮やかな緑の生い茂る 山道を列を成して歩きながら どいつもこいつももれなく テンションをあげていた。 しかしその集団とは裏腹に 一人なにやら浮かない顔で うつむき加減の男が。 クラスメイトの佐々木君だ。 体調でも悪いのだろうか 僕は少し心配になり 彼の顔を覗きこんだ するとどうだろう。 佐々木の顔はまさに顔面蒼白。 その額からは滝のような汗が 滴り落ちていた。 これは大変だ。 早く先生に知らせて何かしらの 対応をしてもらわなければ 僕が慌てて列の先頭を歩いている 先生を呼び止めようと口を開こうと したその時 佐々木くんは汗でびっしょりと 濡れた手で僕の腕を掴み 首を横にふった。 「いやでも。。」 「いいんだ。。直ぐに。治るから。」 治らなそうだ。 ただ彼の瞳はそのしんどそうな 表情と裏腹にへたに刺激したら 犯罪を犯すタイプのサイコ野郎と 同じ目をしていたので このまま右腕を引きちぎられないよう 僕は思わず口を紡んだ。 すると次の瞬間 僕は彼の身に降りかかった 惨事に気づいてしまう。 彼は少しお尻を後ろに引いたまま ピンと棒のように突っ張らせた 二本の足を交互に前にだしては その歩みを進めていた。 僕にも経験がある。 この独特の歩行。間違いない。 こいつ完全に漏らしてやがる。 ただ僕と彼の大きな違いそれは 中学校のビックイベントのひとつ 林間学校の最中にこの恐ろしい 惨事に巻き込まれてしまったことである。 学校で大きい方をしているところを 見つかっただけでその情報は 全校生徒に知れ渡り 血祭りにあげられる。 そんな学校で大きい方を 漏らしてしまっとなれば 彼の残りの学生生活は 間違いなく地獄と化す。 なんとかここは被害を 最小限に止めなければ。 しかし、そんな僕の気持ちとは 裏腹に彼の履く緑色の学校指定の ジャージは徐々にそして着実に 茶色く染まりはじめていた。 まずい時間がない。 このまま一人のクラスメイトの 命を見殺しにするなんてできない。 考えろりんたろー。 必ず打開策はあるはずだ。 「おいなんか臭くねぇか」 「あったしかに」 まずい!! クラスメイト達の嗅覚が この大惨事に気付き始めている。 「肥料じゃね?」 肥料じゃねぇ! 肥料に使われる事は あるかもしれないが その匂いの原因は 佐々木くんのパンツの中で 今にも爆発しそうになっている 「それ」からしているのである。 そのときだった 佐々木君の臀部のあたりに 黒いいくつかの点が曲線を 描いて浮遊し始めた。 天使? いや違う。むしろその正体は悪魔。 佐々木君の臀部のあたりを 浮遊していたそれは この自然の中どこからともなく 佐々木君の排泄物の香りを 嗅ぎ付けたハエ達だった。 まずい。 一刻を争う事態だ。 僕は普段眠っている右脳と左脳を しかも同時にフル回転させた。 そんなときふと僕の視界に 飛び込んできたのは 僕達の列の右手にせせらぐ小川。 これだ。これしかない。 俺の合図と同時に二人で この小川に飛び込む。 先生やクラスメイトには はしゃいでいたら誤って小川に 落ちてしまったお調子者二人を 演じている最中 佐々木は素早くパンツの中のそれを かきだしできる限り洗い流す。 多少強引ではあるが 今彼を助ける術は これぐらいしかないだろう。 「いいか佐々木よく聞け 右側に小川があるだろ 俺の合図と同時に。。」 「おいみてみろよ! こいつハエたかってるぜ」 終わった。 その声の主は歩く拡声器の異名を持つ 原田だった。 「うわーほんとだー! ハエ使いじゃん!ハエ使い!」 ハエ使いではない。 本当にハエ使いであれば 佐々木君は今すぐどこかにいくよう ハエ達に命じているだろう。 僕達が昼食をとってる時間 佐々木は上は緑のジャージに 下は学ランのズボンとゆう アンバランスな組合せで 体育座りをしたまま 集合のかかるまでの時間 一度も顔をあげることはなかった。 その間担任の伊藤ゆうこ先生は 僕達が当初飛び込む予定だった 小川で佐々木君のジャージと パンツを洗っていた。 しかしこの惨事の犠牲者は 佐々木君一人には止まらなかった。 ゆうこ先生がうんこを洗っていた 川の下流で、 外国人講師のチャールズが 手で水をすくっては ごくごくとそれは豪快に 飲み干しているでわないか。 手を叩いて笑う者、 ただ無言で引いている者、 ただ彼に上流で起きている トリッキーなニュースを 伝える者はいなかった。 そしてカナダから来た その青年は言った。 「ベリィデリシャス!」 その日から佐々木は「ハエ使い」 チャールズに関しては 「味おんち」「うんこソムリエ」 「うんち利き名人」 「スカ○ロカナダ」 実に4つのあだ名を我が物とした。 僕の中学校はエスカレーター式で そのまま高校に上がる生徒が多い中。 佐々木はひたすら勉強して 隣町の進学校に進学した。 彼が立派な大人になってればと 心から願う。 |

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