青島満帆

戦争は、勝った側も負けた側もこんな馬鹿馬鹿しいことはない」黄瀛

日本語いい加減講座

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先日、こんなニュースがありました。

<仕事後、目上の人に「ご苦労さまでした」と言葉を掛ける人の割合が15%に達し、
主流を占める「お疲れさまでした」を侵食していることが26日、
文化庁の「国語に関する世論調査」で分かった>

――目上の人に「ご苦労様でした」と言ってはいけない。

「お疲れ様でした」と言いなさい――。

こんなことが一体いつごろから言われ始めたのでしょうか。

私の現役時代、ねぎらいの言葉としては、

相手が目上の人であれ、誰であれ、

「ご苦労様でした」

というのが一般的でした。


思うに、戦後、新入社員研修というのが盛んになって、

その席で「敬語の先生」といわれる方々が、

「目上の人に『ご苦労様でした』と言ってはいけない」

などと言い始めたに違いありません。


結論から言えば、日本人は、

「ありがとうございました」
「ご苦労様でした」
「お疲れさまでした」

を、それぞれのT.P.Oによって使い分けているのです。

目上の人に「ご苦労様でした」と言ってはいけない、

などという『根拠』も『決まり』も、どこにもないはずです。


「遊ぶ日本語、不思議な日本語」の著者、飯間浩明先生は、

江戸時代の歌舞伎や浄瑠璃関係の台詞を徹底的に調べています。

その結果、

「家来が殿様に向かって『ご苦労ながら云々』などという場面は何箇所かあったが、

上級の武士が下級の武士に向かって『ご苦労であった』という場面は

皆無であった。」(概略)

と書いています。


また、「お疲れ様でした」

が使われ始めたのも、前述の新入社員研修が始まってからのことでしょう。

例えば、テレビの時代劇ドラマで、

「お疲れ様でした」

などという台詞が出てきたら噴飯ものです。


現代のドラマでは、同じ仕事をやり終えた同僚同士が、

「お疲れ様でした」

と、ねぎらいの言葉を掛け合って帰っていく場面がよく見られます。

上司が部下に対しても「お疲れ様でした」をよく使っています。


先日、私の日本語教室の生徒がいみじくも言いました。

「先生、『お疲れ様でした』というのは、

『さようなら』という意味と同じですよね」

まさしくその通りです。

この生徒は、日本のドラマをよく見ています。


つまり、敬語の先生が、

「目上の人には『お疲れ様でした』と言いなさい」

と言い出したために、

「お疲れ様でした」が最高のねぎらいの言葉だとみんなが思うようになり、

みんなが「お疲れ様でした」を使うようになりました。

「みんなが使えば安くなる」のは電気製品だけではありません。

言葉も同じです。

「お疲れ様でした」の地位は、

みんなが使うようになったおかげで、

単なる「さようなら」の意味しか持たない地位にまで下落してしまったのです。


日本語教育の現場では、

授業が終わると、先生に向かって、

「お疲れ様でした」

と言う学生がいます。

この場合、「ありがとうございました」というべき場面です。


日本語の先生が、物知り顔に、

「目上の人には『お疲れ様でした』と言わなければなりません」

などと教えるために、

「お疲れ様でした」が最高の『尊敬語』だと勘違いしてしまったのです。


日本語教育の先生方へ、

授業が終わったら、先生に対して

「ありがとうございました」

と、感謝の言葉を述べるように教えましょう。


そして、日本のみなさん、最高のねぎらいの言葉、

「ご苦労様でした」

を大いに使いましょう。

※写真と本文とは関係ありません。
 写真上は南海路から小魚山を望む。
 写真下は大港の税関跡(1913年ドイツ)

閉じる コメント(10)

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昭和天皇が外国から帰国した時、中曽根首相は「ご苦労様でございました」との挨拶で迎えました。足立先生、ブログの取材・撮影など何時もご苦労様です。

2006/8/3(木) 午後 9:15 [ はっさん ]

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はっさんへ、毎度貴重な情報をありがとうございます。「ご苦労様です」と言われるとうれしくなります。「お疲れ様でした」と言われるとバカにされたような気持ちです。

2006/8/3(木) 午後 10:13 bad**uan1*3

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三省堂「新明解国語辞典・第6版」では「お疲れ様は同輩以下に、ご苦労様は目下のものに」、「第5版」では「どちらも目上には用いない」とあります。ところが、ビジネス書で「ご苦労様は同輩・目下に、お疲れ様は目上に」と指導しています。挨拶する人と受ける人が同じ感覚なら問題ないのでしょうが。

2006/8/4(金) 午後 3:12 [ はっさん ]

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「お疲れ様」「ご苦労様」と「います」「あります」が日本語の二大不思議だと思っています。

2006/8/4(金) 午後 6:15 bzd*5*57

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はっさんへ、「新明解」が今後どのように解釈を変えていくか興味がありますね。ビジネス書の指導というのが大きく影響しているでしょうね。世代間の格差、指導を受けた者と受けない者との格差、が生まれていると思いますが。

2006/8/4(金) 午後 10:58 bad**uan1*3

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QingdaoTankさん、なるほど、二大不思議ですか。ある、いる、は日本人の生命観と関係があるのかと思っていましたが・・・。お疲れ様の使い方を一概に決めてしまうのは我々の世代には納得できませんね。

2006/8/4(金) 午後 11:05 bad**uan1*3

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いい勉強になりました。私も今までに目上の方に「ご苦労様です」と言ってはいけないと思っていました。。。。でも、今の日本人もほとんどそう思ってるでしょうね?

2006/8/5(土) 午前 1:24 [ qin**aokob* ]

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qingdaokobeさん、ほんとうに「敬語の先生」といわれる方々は悪い働きをしています。目上の人に「ご苦労様でした」と言ってはいけない根拠を示して欲しいです。若手国語研究者の奮起を期待したいですね。

2006/8/5(土) 午前 8:39 bad**uan1*3

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お疲れ、お疲れさまー、お疲れ様でした、大変な会議のあと聞くと本当に疲れているのでこの言葉は効きます。はーシンクーラです

2006/8/8(火) 午後 4:41 ohkky2001

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Ohkkyさんはまだ若いのですね。私の世代では「ご苦労様でした」でないとダメなのです。世代間の違いですが、そのように教えられた人と、教えられなかった人との差でもありますね。

2006/8/8(火) 午後 5:31 bad**uan1*3

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