青島満帆

戦争は、勝った側も負けた側もこんな馬鹿馬鹿しいことはない」黄瀛

想い出の青島

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青島における海洋少年団



<西村唯雄氏より、青島の海洋少年団について原稿をいただきました。

連載中の武藤氏の「昭和ひとけた戦中記」にも、

海洋少年団に入団したことが書かれてあります。

当時、盛んに活動していた青島の海洋少年団がどんなものだったのか、

どうぞご覧下さい。>


イメージ 1

  ↑青島海洋少年団入団式


戦時中(1938年〜1945年)

青島には小学校5〜6年生を対象とした海洋少年団という組織があった。

目的は、やがてお国の為になる少年を育成すること、

その為には少年の体力と精神の向上を図る目的があったと思われる。

現在の日本にも海洋少年団という

海を愛し、海に親しみを持たせる趣旨の組織があるようであるが、

当時の海洋少年団は、

軍人にあらざれば○○というような

国民の風潮と国策によって設立された意味合いが濃く、

その趣旨に沿った訓練によって鍛えられた少年集団であった。

海洋という言葉が使われているように

訓練は陸上の遠距離徒歩、キャンプなどのほか、

主として海に関する訓練、水泳、カッター、帆走があり、

青島には日本海軍の北支方面日本海軍根拠地があって

その支援により砲艦による洋上訓練なども実施されていた。


海洋少年団の組織は青島にあった小学校単位に

第一小学校は第一小隊、第二小学校は第二小隊、第三小学校は第三小隊、

と分かれ、小隊長は各学校の若手教師が当たっていた。

(なぜか四方、滄口の小学校は不参加)

団長・副団長は将官クラスの退役海軍軍人が努めており、

海軍とのパイプ役を引き受けていたようである。


入団参加は一応希望者となっていたようだが、

身体の不自由者を除き健全な身体の持ち主であればすべて入団すべし

という空気があった。

男子たるもの皆入団すること、いさぎよしとしたものである。


海洋少年団の維持、並びに費用については

青島日本領事館と青島居留民団がすべて責任を持つことになっており、

また青島に駐留していた海軍が出来る範囲で援助をしてくれていた。

例として、根拠地内の施設の利用、カッターを始め艦船の利用、

陸上における長距離徒歩時の警護、水泳訓練中の安全と監督指導、

野外キャンプ用のテントの貸し出しなど、いろいろと便宜を図ってくれた。

イメージ 2

  ↑青島海軍博物館入り口(旧日本海軍基地)



団員としての二年間(5〜6年生)の思い出とエピソード

1、小学校5年生になった年、昭和17年(1943年)4月、

青島神社で入団式があり、

石段の上り口で写した記念写真を改めて見てみると、

もう既に何人かの友人が黄泉の世界に・・・、

もうこんな歳になったかなと思うと同時に、

当時のことを思い出し、ちょっと寂しい思いにかられた。


2、毎年7月21日(元海軍記念日、現在の海の日)その他の記念日、

休日・休暇等を利用して何らかの訓練が実施された。

イ、長距離徒歩訓練。

我々が5年生の時、団員全員が青島神社境内に集合し、

黄台路を経て興亜路(現在の延安路?)を通って浮山登山

往復5、60キロの道のりではなかっただろうか・・・・・

訓練だったとしても我々にとってかなりきつい徒歩だったと思う。

皆よく頑張ったものだ。

途中やや治安のよくない所があったようで、

海軍陸戦隊の兵隊さんが10人以上護衛としてつき、

また海軍の小型トラックが後部にいて

我々の弁当や行進中の脱落者などの救済の為ついてきていた。

浮山山頂で昼食、一服していたところ、

急に山頂に雲がかかり天候悪化のきざし、

これはいかんと指揮者の判断で急遽下山したが・・・

途中で見上げてみると

山頂に単に傘のように大きく雲がかかっていただけであった。

厚い雲の中ではこんな状況になるのか

とよい経験をしたと同時に大笑いしたものだ。

イメージ 3

  ↑青島郊外に聳える浮山



ロ、カッター訓練と競技。

回瀾閣(青島桟橋、海軍桟橋ともいわれていた)の海域を使用して

海洋少年団ではよくカッターの練習が行われていた。

カッターは海軍使用のものを各小隊1艇ずつ割り当てられ

先輩の指導で手のひらに豆、おしりの皮が擦りむけるぐらいの

猛特訓を受けてものである。

特に大変だったのはオールが大人用の大きなものを使用していたので

艇内での櫂立て、漕いでいる時はそのオールの重さで

フラフラになったものであった。

一年一回の小隊対抗のカッター競技(速さ)では

おおいに燃えたものであったが・・・・

我が第三小隊は万年二位(一位は第一小隊)の地位に留まっていた。

残念と言うしかなかった。

ハ、夏休みを利用してのキャンプ 

よく利用した場所は小湛山海水浴場の海岸の広場であった。

小隊毎に大型テント(50人前後収容可能な周り壁仕切り付きのもの)を設定し、

約1週間程度のキャンプ生活だったと思う。

キャンプ中の規律は海軍式とでもいうか

起床から就寝するまできちんと定められ、そのとおり実施された。

朝、起床ラッパとともに起き、

寝具の毛布のたたみ方整理の仕方が悪ければ

(たたんだ毛布の端が垂直に真っ直ぐ揃わない時)やり直しとなり、

朝の点呼に遅れることとなる。

罰としてテント内の掃除などの作業をやらされることもあった。

朝の点呼が終わると朝食、その後午前中に日課が始まり

体操ほか、手旗、モールス信号の練習と

お互い同士のやり取りのテスト等もあって、

みっちり仕込まれたものであった。

現在でも覚えているのはその成果ではなかったかと思っている。

昼食後の日課 

主として水泳、その他浜辺での各小隊対抗の棒倒し、騎馬戦など

体力、機敏性、闘志の育成に努め、

合わせて団体行動の重要性を体験させているように思った。

青島ではその当時、海水浴場の沖合いに鱶が出没、

人に被害を与える事件が発生したこともあって、

水泳訓練の前に海軍の陸戦隊の兵士がボートで沖合いに出て鱶の有無を調査、

また安全を期すため海中に手榴弾を投げ込んだりして警戒に当たってくれた。

蛇足:自分のことで書きづらいことであるが、

浜辺での初日訓練で走り回っている最中、

砂に埋まっていたオコゼかエイの死骸の鰭の一部いついている

トゲを踏みつけたとみえて、

もの凄い激痛に襲われて浜辺で転げ回ったことがあった。

直ちに海軍病院に搬送され、入院治療してくれましたが、

この時の痛さは今まで経験したことのないものであった。

治療の甲斐あって三日後、原隊に復帰キャンプを続けることが出来た。

この事件については知っている人もいるのではないかと思うが、

神戸に住んでいる羊会のO君がよく覚えていて、

昨年の秋63年ぶりに会った時、その話が出たのには驚き、

これがきっかけで楽しい思い出話に花が咲いた。

イメージ 4

  ↑第3海水浴場(小湛山海水浴場)



ニ、砲艦による洋上訓練と大公島上陸 

6年生の夏頃、砲艦2隻に海軍桟橋より団員全員が分乗、

やや波があったが穏やかな情況の中、大公島向け出港、

約10ノットの速度で3時間あまりかかって到着した。

航走中前方の見張り、デッキの掃除などの仕事に従事したが

船酔いでダウンしたものも数人いた。

船中で昼食をすませ、小型救命艇によって全員上陸し、

目的のウサギ狩りに興じた。

ウサギは驚くほど多く、島中いたる所でうろうろしていた。

追い駆けるとあっという間に穴の中に逃げ込んで、

なかなか捕まえることが出来なかったが、

全員の作戦と知恵により何とか20兎前後を捕獲、

意気揚々と引き揚げたことを覚えている。

ウサギの穴を棒で突っついていると

驚いて飛び出してくるウサギにびっくりして尻餅をついた所、

ウサギが運悪くその尻の下に敷かれ、

捕獲出来たというあまりにも出来すぎた話まであったが、

これホントの話である。

  捕獲したウサギはすべて海軍に寄付、

後はどのように処理されたか分からないが、

毛皮は衣服用に使用されたと聞いた。

イメージ 5

  ↑青島海軍博物館

イメージ 6

  ↑青島海軍博物館



ホ、紀元節2月11日(現在の建国記念日)には青島神社で記念式典後、

小隊毎に自分達の小学校まで市中行進して帰校した。

ヘ、6年生のみの団員には海軍の根拠地内の小銃の実弾射撃場で

近距離マトに向けての鉛弾使用、伏せて撃つ練習をさせられた。

なかなかマトに当たらないものであった。

ト、また根拠地内の施設を利用し、

海軍独特のハンモックの就寝時起床時の取り扱い方の説明と

実際の使用実演デモンストレーションがあり、我々もその練習をした。

実際軍艦の場合には畳んだハンモック

(1,5メートルの長さに丸く筒型に硬くハンモックの紐で締めたもの)は

軍艦の艦橋周りに並べられて防弾の役に立つようになっているのであった。

また必要な場所にも使用されたとのことである。


年少な海洋少年団の団員に対しての教育と訓練は、

以上のように我々の時代は常に戦時における心構えと、

その対応に対して順応出来るような人材の育成に力を注いでいたと思われる。

これをもって昭和17、18年時代の青島海洋少年団の実態が

およそ了解出来たことと思う。

この文を読まれた方はわが身の当時のことを思い出されるのではなかろうか。


※中学校では海洋少年団の上部組織とでもいうか、

海洋隊なるものがあった。

入隊された人も大勢いたものと思うが、

終戦と同時にこの両団体は、ともに消滅したのである。

閉じる コメント(14)

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浮山は私も登りましたが、旧市街から連続とは今の私の体力では
かなりきついと思います。
うさぎは今でもいるのでしょうか....

2008/4/5(土) 午前 8:59 [ kor*k*ro*chi*001 ]

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青島は何度も行きましたね、いいところですね。

2008/4/5(土) 午前 9:04 [ zen*o*hara6* ]

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あなたと言い、武藤さんと言い、皆さんが一所懸命だったのですね。
海洋少年団のセラー服はきりりとしていて素敵でしたが、訓練はかなり厳しかったのですね。皆さん強いわけですね。日本の田舎ではまだまだのん気なものでしたよ。

2008/4/5(土) 午後 1:40 [ 相子 ]

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小学5年生や6年生でお国の為に??

はぁぁぁ。すごい組織ですね。。

ノムノム5年生6年生のころって。。部活して友達の笑って過ごしてたなぁ。。。

2008/4/5(土) 午後 4:44 [ - ]

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相子さんへ。青島神社での入団式写真の中、私は後ろから2列目、左から3番目に写っている色の黒い隊員です。その左に蜂屋君、後ろ左が本原君、その右が岡見君、その右が徳満君となっています。前列から3列まで第1小隊、4〜5列が第2小隊、6 〜7列が第3小隊です。参考まで。

2008/4/5(土) 午後 5:01 [ tadao678 ]

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korokoroさん、浮山に登られたとは、登山に趣味がおありなのですね。旧市街から歩いていくのはたいへんですね。ウサギはどうでしょうか。小さな島ですから人害が少なくてまだいるかもしれませんね。

2008/4/5(土) 午後 10:13 bad**uan1*3

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zansouharaさん、青島は日本人にとってほんとうに住みよいところです。これからも何度もおいでください。

2008/4/5(土) 午後 10:17 bad**uan1*3

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ノムノムさん、当時の小学生はすべて「お国のために」でしたね。「お国」というのは天皇陛下のことですけどね。海洋少年団ではいろいろ体験できたのが魅力だったのでしょうね。

2008/4/5(土) 午後 10:24 bad**uan1*3

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西村さん 貴方は分りましたが、他の方は拡大鏡で見ても分りません。蜂屋さんも本原さんも亡くなり残念です。

2008/4/6(日) 午前 9:02 [ 相子 ]

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引揚げの時、海洋少年団入団式の写真を持って帰った人は少ないと思っていますので、今度の東京での羊会に原寸写真を持っていく事にします。このブログを読まれた方は楽しみに待っていてください。

2008/4/6(日) 午後 2:13 [ tadao678 ]

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相子さん、tadaoさん、大判のまま写真を載せようと思いましたがうまくいきませんでした。縮小した写真ですみません。

2008/4/6(日) 午後 3:25 bad**uan1*3

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青島満帆さん。そんなことありません。ほんとに色々と有り難く思っております。そんな事より早く自由の身になって下さい。元気な姿を見たいものです。

2008/4/6(日) 午後 4:25 [ tadao678 ]

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周村路の写真懐かしいです。私も大正12年6月に周村路で生まれました。第一小学校には1年生ときに通いました。5年前に青島に行き周村路に行きましたが全然昔の面影が無く、青島神社、小学校に廻りましたが、小学校だけは懐かしく見てきました。
一連の記事を大変懐かしく拝見しております。
有難うございました。

2008/9/18(木) 午後 5:22 [ hookan ]

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hookannさん、懐かしんでいただいて、嬉しく思います。昔の青島のお話をいろいろ聞かせてください。これからも新旧の青島情報を載せて行きたいと思います。

2008/9/19(金) 午前 8:04 bad**uan1*3


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