青島満帆

戦争は、勝った側も負けた側もこんな馬鹿馬鹿しいことはない」黄瀛

武藤直大の「昭和ひとけた戦中記」

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盧溝橋事件後の緊迫した張家口へ(二)



交通の要衝だっただけに汽車は一時間置きぐらいに通っていた。

線路は学校に近い陸橋の下を通っていて、

その橋の上に待っていて機関車の煙に巻き込まれる遊びがあった。

もっと面白いのは街はずれまで行ったところで、

柵もなくて、そのまま大地の上を走っている線路である。

その鋼鉄の線路の上に、めいめいが持ってきた五寸釘やビール壜の蓋等を並べた。

草原で誰も見ている人はいない。

一回列車が通り過ぎるとかなり平べったく変形する。

釘はもう一回潰してナイフのようにしようと、

次の列車の来るのを線路のわきで待ったこともある。

大草原の遥か先の方では、時々陸軍部隊が大砲の実弾射撃をやっていた。

砂煙が上がるその先の低い山の峰々にトーチカが見える。

「あのトーチカの向こう側には匪賊がいるんだ」

「攻めて来たって、絶対こちらが勝つよねえ」等と話し合った。

街で遊んでいる時に蒙古軍の兵士を見たことがある。

全員騎馬で蹄の音高く行進していった。

日の丸とは逆の赤字に白丸の旗を掲げていた。

「黄塵万丈、天日ために白し」(砂煙が空を覆って、そのために太陽が白く見える)

を表した旗である。日本の支援で出来た蒙古連合自治政府の軍だった。

イメージ 1

  ↑青島風景:小魚山



こういう遊びは男だけだったが、庭や家の中では女の子も一緒だった。

2年生になってからだったと思う。

私のクラスで突然、とんでもない遊びが流行った。

「お医者さんごっこ」である。

それもたいへんに過激で、

スッポンポンになり、お互いに身体の違う部分を診察するのだ。

この遊びは家で母親が買い物等でいなくなり、

ボーイやアマの使用人達も外の仕事に出た時間に限られた。

初めから親に見つかったら怒られる秘密の遊びという意識があった。

ところが学校の教室では、この遊びは秘密でも何でもなくなった。

休み時間には、お医者さんごっこの話を皆でおしゃべりするのである。

それでも私は何となく恥ずかしくて、あまり発言しないでいると、

「あーら、武藤クンも私としてるじゃない」とミヨちゃんが大声でたしなめる。

どうも女の子の間では、もう相手は全部決まって分かっているらしかった。

地域別というか、家の近い子同士である。

今、思い出してみると、この遊びは初めから女の子主導だった。

私の場合も言いだしっぺは隣のミヨちゃんである。

その時、一連の診察の動作は手際が良かった。

どうも初めは女の子だけでやっていたのではないか。

女の子だけでやっていて、「男の子も入れようよ」ということになったに違いない。

まるでエデンの園のアダムとイブである。

私たち男の子は誘惑されたのだ。

楽しい遊びだったが、一カ月ぐらいでぱったり止んでしまった。

別に親に見つかって叱られたとか、先生にばれたということではなかった。

女の子の気紛れで流行って、飽きたから自然消滅したのである。

男の子にとってはまだ少し未練があったと思う。

それにしても何故、こんな遊びが突然流行ったのか。

後になって考えると、一つ思い当たることがあった。

イメージ 2

  ↑青島風景:小魚山近くの建物



教室でその話をしている時、女の子の一人が男女の裸を線で描いた紙を持っていた。

セックスの体位(当時は意味不明だったが)も載っていた。

何だろうと思ったが、誰も分かる子はいなかった。

実はそれと同じ印刷物を私も家で見ていた。

母のハンドバッグを覗いたときである。

なぜ私がそんなことをしたのか。

子供はいつでもお菓子が食べたい。

毎日ちゃんとオヤツを貰っていても足りないから、

親のいない時もっと食べたいと在り場所を探す。

親は初めのうちは台所の棚ぐらいにしまっておくが、

子供にすぐ見つけられ食べられてしまうので、隠すようになる。

押入れの奥とかタンスの上とだんだん手が込んでくる。

しかし子供の臭覚は鋭いので結局は見つかってしまう。

最後の手段として母はタンスの引出しに入れてカギを掛けた。

どこを探しても見つからなくて私はその引出ししかないと確信した。

それで母のいない時にハンドバッグを開けて中身を調べているうちに、

私はクラスの女の子が持っていたのと同じ印刷物を見た覚えがあった。

裸の図だったが、意味は分からないし、

目的は別にあったので特に注意はしなかった。

恐らく、その女の子も私と同じような過程でその紙片に到達し、

私とは違ってよく見て、それが遊びのヒントになったのではないだろうか。

それでは何故、母親達は同じ印刷物を持っていたのか。

これからは私の全くの推理である。

イメージ 3

  ↑青島の国防婦人会(大阪の伊藤さん提供)




その頃、張家口にも国防婦人会の組織が出来ていて、母も月に一度位は出ていた。

他にはクラスの女の子の母と私の母が同席するような会合はなさそうだ。

それにしても何故、国防婦人会というお堅い団体が、

性教育のようなことをしたのだろうか。

支那事変から太平洋戦争にかけて「八紘一宇」という言葉がよく使われ出した。

八紘とは四方八方の世界、一宇は一つの家という意味だ。

日本が中心になって、特にアジアの世界が、

一軒の家のように仲良くして行こうという目標である。

それとともに「生めよ増やせよ」の時代になった。

日本の人口が少なくては、アジア全体に指導の手が回らない。

太平洋戦争が始まる前の昭和16年1月23日の朝日新聞に、

「一家庭に5人の子を 人口政策要綱決定」

という見出しで以下のような記事が載っている。

閣議で人口政策要綱を決定した趣旨は、

「東亜共栄圏を建設して、その悠久にして健全なる発展を図るは皇国の使命なり。

これが達成のためには人口政策を確立して、

我が人口の急激にしてかつ永続的なる発展、増殖と、

その資質の飛躍的なる向上を図るとともに、東亜における指導力を確保するため、

その配置を適正にすること特に喫緊の要務なり(後略)」

ということである。

それで出生数を増やすための方策として、

今後10年間で結婚年齢を約3年早めて、

一夫婦の出生平均を五児(昭和15年の平均は四児)にすることを基本目標とする。

この方策としては婚資貸付制度、独身税、家族負担調整金庫制度(仮称)等(以下略)。

張家口の「お医者さんごっこ」はこの閣議決定の2年以上前だが、

「生めよ増やせよ」の必要性はその前から叫ばれていて、

国防婦人会も協力していたのではないだろうか。

閉じる コメント(6)

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昭和17年頃、青島で「3男2女あり」と云う映画あって丁度わが家は私を頭に3男2女だったので其の映画に招待された覚えがあります。生めよ増やせよの国策に沿ったのでしょう。終戦時には3男3女となっていました。両親は90歳を越えて二人とも黄泉の人となりましたが兄弟6人、一番下の妹も還暦を越え皆元気で過ごしています。

2008/4/29(火) 午前 8:57 [ tadao678 ]

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こんにちは〜!なんとなく、立ち寄りました〜。

2008/4/29(火) 午後 4:08 [ taku ]

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なるほど(笑)
と笑いごとではありませんね。今の日本には。
主な理由としては

経済的な先行き不透明感
セックス以外に面白いことがある(なんとTVゲームとか)
簡単に他でも満たせるようになった
女性の就労率の上昇

等がありますが、なかなか両立できないようです。政治で解決
しようとすると中国の一人っ子政策(逆パターンですが)の
ようですし難しいですね。

2008/4/30(水) 午前 10:48 [ kor*k*ro*chi*001 ]

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なかなか面白い遊びが流行っていたのですね。青島の男子は駆逐水雷という遊びが流行っていたので、帽子の鍔をどの方向に向けるかかが大事だったようですね。側で眺めていましたが、ガキ大将が強かったですね。今ガキ大将を許さない社会はリーダーも育たないのではと感じております。

2008/4/30(水) 午後 9:49 [ 相子 ]

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昔は5人、6人兄弟は普通でしたね。「3男2女あり」という映画に招待されたというのもおもしろいですね。少子化の原因、いろいろありますね。労働時間や残業を減らして、家族と過ごす時間を増やすのが一番でしょう。

2008/4/30(水) 午後 9:54 bad**uan1*3

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おもしろいブログですね!足跡がてらにコメント残しますヾ(≧▽≦)ノ
またみにきます。僕のブログは・・・みにこないほうがいいかもです。不快な気持ちなるんで・・・では失礼します。

2008/5/6(火) 午後 7:33 [ 新川すぐる ]


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