「耳が聞こえない作曲家」として活動していた佐村河内守氏(51)の楽曲がゴーストライターによる代作とされる問題で、楽曲の著作権を管理する「日本音楽著作権協会」(JASRAC)は6日、同氏との著作権信託契約を昨年いっぱいで解除したと発表した。今後、第三者による楽曲使用の許可などは佐村河内氏本人が直接行うことになる。だが一方で、これまでJASRACが払ってきた印税の返還を求められるなどの可能性も出てきた。
“ゴーストライター問題”が2015年になって新局面に入った。JASRACはこの日、報道各社にファクスで佐村河内氏との信託契約を昨年いっぱいで解除したことを発表。同氏が作曲したとされていた103曲の使用許可などの手続きは今後、本人が行う。
社団法人のJASRACは、作曲者など著作権者と信託契約を結び、著作権を管理している。第三者による楽曲の利用などをチェックするとともに著作権使用料を徴収し、著作権者に還元する。関係者によると、昨年2月に代作問題が浮上して以来、103曲の著作権の管理を保留し、印税の支払いも凍結。佐村河内氏側に自身が作曲したとする証拠を求めてきた。同氏サイドは昨年12月に改めて権利を主張したが、認められず今回の決定となった。
ゴーストライターを務めていた新垣隆さん(44)が作曲者としてJASRACに申請するなどし、著作権者が確定すれば、印税はその人物に支払われるが、それまでは凍結状態が続く。これまでに約18万枚を売り上げ、佐村河内氏に数千万円が入ったとされる「交響曲第1番 HIROSHIMA」の印税についてJASRAC関係者は「佐村河内さんに著作権がないと分かれば返還を要求します」とした。
バラエティー番組などに引っ張りだこの新垣さんに対し、全国ツアーが中止になったとしてイベント会社から約6100万円の損害賠償請求訴訟を起こされるなど散々な佐村河内氏。同関係者は「我々は信用のもとに成り立っている団体。管理していた楽曲の作曲者が違った、ということになれば信用にも響く。今後、法的手段を取る可能性もある」と語る。佐村河内氏の厳しい冬はまだまだ続きそうだ。
◆日本音楽著作権協会(JASRAC) 1939年設立。音楽の著作権を持つ作詞者、作曲者、音楽出版者から録音権、演奏権などの著作権の信託を受けて、音楽の利用者に対する利用許諾、使用料の徴収と権利者への分配、著作権侵害の防止などを行う。全国の主要都市に16の支部があり、コンサートやカラオケの演奏について著作権を管理。約1万6000人の会員と契約し、膨大な数の管理楽曲をデータベース化。著作権管理団体では最大手。