倉敷長屋日記

福田の家、荒壁つきました

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行って参りました、木造7階建振動実験

率直な感想→地味、消化不良

これまでの見学経験が功を奏し、ナント!ポールポジションをゲットした。

最初の受付は、イタリア人とおぼしき美しい女性と日本人の男子学生(と思う)が並んで座っていた。
私は日本語については3地方の方言を操るバイリンガルを誇るが、イタリア語はチンプンカンプンなので日本人の方で受付をした。

続く見学受付は一般見学者と研究者に別れていて、京都大学防災研究所の鈴木教授経由で申し込みをさせていただいたお蔭で、私達4名は「研究者」として登録されていた。大変光栄だが、お尻が少しこそばゆい。段取りよろしくヘルメットも最初の受付時に借りていたので、一等賞で受付完了した。
「研究者の方は2階へどーぞ」と言われて、得意満面で警備員のおじさんに2階へ通していただいた。

デカイ!

資料によると、建物の大きさは幅13.5m・奥行7.5m・高さ23.5mで、ちょっとしたコーポといったところだ。
それにしてもオモチャみたいな建物だ。スチレンボードで作るスタディーモデル原寸大といった感じだ。
イタリアではこんな模型みたいな木造でも法的にOKなのだろうか?
窓のような穴は、単にパネルをくり抜いただけだし…
床と壁は金物で接合されているそうだが、壁同士の接合の金物は見えない。ま、ま、まさか接着なんて事はないよなぁ…
クロスラミナーパネルは「厚さ2冂度の木材を隙間なく密に貼り合わせ」ているそうだが、どう見ても白身部分で作られていそうだ。

「なぁ、イタリアには白蟻おらんのやろーか?」
「白蟻が見たら、大喜びしそうな建物やのぉ…」
「確かに、とりあえずは強そうな感じやけど、金物が劣化したらどないなるんやろか?」
「イタリアは雨は降らんのかいな?すぐに腐りそうなパネルやないか…」
「天井と床が同じパネルやったら、上の階の排便管が下に出るやんか…住みとぉないのぉ〜」
「そりゃぁ、天井は張るんやろ…それでも上の床と繋がっていたら足音は煩いぞ」

ポールポジションをゲットしたのはいいが、実験開始まで1時間以上もあり、ヒマを持て余して口々に好き勝手な事をしゃべりながら、アナウンスを待っていたところ、携帯が鳴って、出てみると同行者の一人Iさんからだった。余りにヒマなもので3階へ探検に出かけたらしい。

「おい、絶対3階や!すぐ来い!」

研究者は2階と言われて悦に入っていたが、目の前に資材があり見え辛かったのだ。
言われるままに一般見学者用の3階に上がってみると、とても眺めがよろしい。
なんじゃ、こりゃ?せっかくポールポジションを取ったのにさ…フン!

なんだかんだ言ってるうちに、やっと待ちに待った実験が始まった。

第1回目は2D加振(X方向/300gal・Y方向/300gal)

へっ?動きやしない…ホンマに加振しとんの?マジ?
目をこらしてみると、7階の照明がかすかに揺れている(気がした)

「加振終了」と事務的なアナウンス

なんやこれ?オモロないやんか…
わざわざイタリアから来て、こんなこども騙しみたいな事やってて、ええのん?

後ろに居た学生(静岡大学も参加している)らしい男の子が
「午前中の実験で2階が7僖坤譴討機∧篏い靴燭蕕靴い茵

確かに強い加震をすれば、1階が鉄骨に緊結されているので2階が一番力を受けると思われる。
次は1995年阪神淡路大震災の神戸海洋気象台の強震記録を入力する予定だ。これは期待できる。

既に3回(京都大学防災研究所の伝統木造振動台実験(第1回目)京都大学防災研究所の伝統木造振動台実験(第2回目)在来構法木造住宅倒壊実験)の見学をしている私は、建物が派手に揺るがない事には、どうも見た気がしないのだ。
不謹慎極まりないが、正直なところ、照明器具がちょいと動いたくらいでは満足できないのだ。

神戸海洋気象台の強震記録は、X方向:600gal・Y方向:820gal・Z方向:340galだ。
これは伝統構法の実験の際に入力したのと同じだ。
7階部分が大きく振られ、2階部分の変位が一番大きいのではないだろうか…間違うと恥ずかしいので口に出さず、密かに予想した。

おぉっと、加震が始まった。
ゴーッツ!(これ、これ、この不気味な音!)

ガタガタガタガタガタ

1階が緊結されているので、頭(7階)が大きく揺れる。照明器具はグワングワン揺れている。
しかし、それ以上の目に見える変異はない。
建物全体が大きく揺さぶられているだけだ。

「加震終了」

最後にもう一度第1回と同じ2Dのショボイ加震(きっと、これにも学術的な意味はあるのだろうが…)をして公開実験は終了した。

夕方からは非公開で先日の中越沖地震の際の柏崎刈谷原発で観測された、X方向:311gai・Y方向:680gal・Z方向:408galの加震をするらしい。

長い長い階段を下りながら
「オレは欲求不満じゃぁ〜」
「今日のは地味やったなぁ…集成材屋が喜びよるで」
「そいでも、パネルは損傷受けとるで。ボルトのところが千切れたらどないするんや?直せんやろ?」
「もう1回実験したら壊れそうやぞ。そんで、よぉ見せんのやろか?」
と、またまた好き勝手言いたい放題で外へ出た。

外には7階建木造に使用されたクロスラミナパネルが置いてあった。

「雑やなぁ〜、やっぱり外国モンは雑な作りや!」
「こんなで建てたら白蟻さんにはデコレーションケーキみたいなモンや」
「頭から尾っぽまでアンコが詰まったタイヤキみたいなモンやね〜、すごいご馳走じゃん」

私の隣には大手集成材メーカーの制服を着た方が2人、誇らしそうに立っていたが、気にしない気にしない。

いくら地震に強いと言われても、私はやっぱり木造壁式構造は信用できない。
というか…好きになれん。
一度くらい大地震に遭っても倒壊はしないだろうが、構造体の補修は難しいのではないか?
何より、建築物としての魅力や美しさを感じない。

しかし、木造7階建ては確かに「木造の可能性」を語る上では貴重な実験だったと思う。
そのうちe-defenceから公式に動画と資料が配信されるはずだ。

地球温暖化防止の観点から木造建築が評価される事自体は、とても嬉しい。
日本でも木造の見直しの機運が高まる事を期待したい。

【 追記 】

TB下さったsyo-takuさんの[十條日記]は、お勧めです。
彼は私と正反対の「理論派」で、豊富な知識がグッツリと詰まっています。
私はいつもその知識量の豊富さに舌を巻いております。

この記事に

閉じる コメント(14)

不完全燃焼だったようですね。

研究的な実験ですから、きっとこの前に計算によってどれ位の耐力があるかを評価しているのかなと想像はするのですが、基準法評価で1.2?1.5?どれ程余力があったのでしょうね。

パネルとしての壁、床構面はともかく、各部の接合部って2×4のような感じなんですかね〜

2007/10/26(金) 午前 7:22 m_s_k_z 返信する

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やっぱり、理論だけじゃ及ばないことってありますよね。過去の人達の経験、積み重ねに、もっと敬意を払ってもいいと思います。なにより日本の環境に適合するか?ってところが気になります。釈迦に説法ですが、建築って、総合力で勝負ですよね。
"By far the best proof is experience."
(なんたって、一番の証明は経験だぜ!)
”Nature is commanded by obeying her”
(自然を扱う方法は、自然に従うこと!)
とフランシス・ベーコンさんは言ってたそうです。

2007/10/26(金) 午前 11:14 凸凸凸 返信する

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私も説法しましょう。

かなり昔NHKで、(私は見ていません)。

5重の塔かな、実物にセンサー取り付けて、
本物の、縦ゆれの地震があっても、建物自身が横揺れし、打消しあう。

地球ゴマ(こま)の原理?
当時、科学的になぜそう揺れるのか(途中の継ぎ目がポイント)
証明されていないとの事。

現代の科学で、『昔は良かった』が証明されて欲しいです。
しかし?人の意気込み、心粋は科学では証明されたくないです。

(ま〜本音は、なんで昔の人はそこまで仕事に打ち込めるのか )

シロアリにやられたら、根継ぎですか?
『貝の継ぎ』が見たいです。←なんて言うと嫌われますね。

2007/10/26(金) 午後 0:57 [ とくめい ] 返信する

レポートご苦労様でした。
僕には良くわかりませんが、まだまだ結果を出すには不十分な所が
有りすぎるようですね(-_-) シロアリのご馳走。。。
確かにそうかも。。建物の美しさの話で思ったんですが。。
最近、こういった形の新築の家。増えましたね。。

2007/10/26(金) 午後 4:43 [ - ] 返信する

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M_S_K_Zさん>その通り「不完全燃焼」ですわ(笑)
まぁ、木造7階建ての耐震性は実証されたので、それはそれで良い事です。かといって、日本で木造ビルがすぐさま建ち並ぶって事にはなりませんが(耐火の問題)
例えば、壁量計算すれば基準値の数倍の数値が出ると思います。
接合部には私も興味がありますが、見られなかったのでどうなっているのかわかりません。
そのうち詳細はe-defenceのHPで公開されると思います。

2007/10/26(金) 午後 6:12 bajane1515 返信する

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かじやさん>フランシス・ベーコンさんが言ってましたか(笑)ええ事おっしゃいますなぁ〜、さすがです。
確かに理論的には箱型パネル工法は固く軽く強いのですが、どうも私は好きになれません。
イタリア始めヨーロッパではこの工法が急速に浸透し出したようですが、日本に向いているとは思えません。しかし、木造中層建築の耐震性の証明にはなったと思います。
TB下さった[十條日記]のsyo-takuさんは、イタリアで大地震が発生する頻度が日本と比べ物にならないくらい低いからではないかと、おっしゃっていました。耐震性が低下する前に建替え時期が来るからだそうです。なるほど、です。
日本には日本の自然条件がありますからね。それにしても、イタリアの実験で何故日本の地震記録を入力したのでしょうね?素朴な疑問を感じました(笑)古くて記録がないとか…

2007/10/26(金) 午後 6:23 bajane1515 返信する

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kk2_golfさん>科学で証明できない「事実」って、結構あるような気がします。かじやさん↑知識ですが、千代鶴是秀の刃物は、科学的には全く同じ成分の鋼でも他の鍛冶の刃物より、切れ味が良かったそうです。
何故「昔は良かった」か…数値でもデータでもなく、経験と実感と智慧に基づいて判断されたからではないでしょうか?それを今は「後追い」で証明しようとしているわけです。科学的根拠に基づいていないので、科学的に証明しようとするのは難しいでしょうね。
よく構造設計者が「計算ではなく“今も持っている=建っている”のが証明だ」という言い方をされます。それが正解かな、と(笑)
柱の足元が白蟻に喰われたら根継が可能ですが、パネルの場合はどうするのでしょうね?疑問です。

2007/10/26(金) 午後 6:36 bajane1515 返信する

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モコさん>ありますね〜 HMは得意ですね。
こういった箱型住宅の流行の走りは「箱の家」でしょう。CO-OPや無印良品の家も近いですね。
この手の住宅の長所は、コストが抑えられる事、かっこよく見える事、高い技術力をそれほど必要としない事でしょうか。
私も時々依頼されると、土壁で箱っぽい住宅の設計をする事もありますよ。外からじゃ、竹小舞土壁の家だってわからないだろうけど(笑)

2007/10/26(金) 午後 6:44 bajane1515 返信する

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いや〜すごいですね。木造というより木質造って感じでしょうか。軸組で作れないのかな?この木は何の木でしょうね?スプルース?でしたらホントにシロアリのごちそうですね。

2007/10/27(土) 午前 6:02 [ woo*ma*_co* ] 返信する

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集成材は所詮のりでくっつけただけの材だからね〜
のりの効き目がなくなるとぼろぼろになってしまうんでは・・・
確かに、短期的に見れば強度もあるんだろうけど、長期的に見てどうなんでしょうかね?疑問です。。

2007/10/27(土) 午前 8:20 dai*u*kojim* 返信する

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woodmanさん>お返事が遅くなりました。ごめんなさい。
さすが、言い当ててますね。木質構造の方がピッタリでした。軸組ではこれだけの高さは難しい気がします。通し柱25m?材料調達も大変だわ〜(笑)
何の木かわかりませんが、シダー系だと思います。断面見ていると、ウエハースを思い出しました(笑)

2007/10/29(月) 午後 5:43 bajane1515 返信する

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コンさん>私もコンさんと同じ意見です。接着剤の耐力がなくなったら、ただのボロ木の寄せ集めですもん。
接着剤の耐用年数は50年程度ではないでしょうか?構造的に、接着剤だけに頼るのは、いかがなモンでしょうかね。
ま、なんだかんだとゴタクを並べていますが、単に無垢の木材が好きなのです(笑)

2007/10/29(月) 午後 5:49 bajane1515 返信する

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通し柱25mなんていうと、それこそ御神木のような木を探してこなければならなくなりますね。姫路城の天守閣の解体修理の際も、腐朽のあった心柱の代わりを見つけてくるのに相当苦労したそうですし。
それにしても壁の多い建物ですね・・・。風通しが悪そうで、シロアリさんばかりでなく、カビやゴキブリさんも喜びそうな気が・・・(^_^;

2007/10/30(火) 午前 1:01 [ pra*ine*930*m*ad*w ] 返信する

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pralineさん>木は工業製品ではないので、作るのに相当な時間が掛かります。25mとなると…樹種によりますが、百年や二百年ではとても追いつかないでしょうね。工業製品のように、科学技術だけでは「どうにもならん」のが辛いところ、同時にいいところなのでしょう。
壁式構造なので、窓や開口部が少なければ少ないほど強いです。当然、風通しは期待できないので、pralineさんがおっしゃる通り、日本だとシロアリやカビやゴキブリさん達が喜びそうです(笑)
イタリアは湿度と温度が低いのでしょうね。木造が好きな私でも、イタリアの重厚な石造り(≠石張り)建築には憧れます。
確かに木造の可能性としては歓迎ですが、合板製の建物には魅力は感じませんね〜

2007/10/30(火) 午後 0:19 bajane1515 返信する

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