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作り方は古いが、若いご家族の家だ。
一番最初にご主人が「育った家のような家に住みたい」とおっしゃった。このお宅は、ご主人のその言葉を手掛りに設計させていただいた。ご主人のご実家は、立派な農家造りだ。結婚してアパートに住んでみて、実家の良さを実感されたと言う。
そりゃそうだろう。本間モジュール(@985)が当たり前として身についている人には、アパートの空間は息苦しく感じて当然だ。まして農家造りでは、一見して無駄と思えるくらい余裕の空間がここかしこにある。ご主人のご実家の玄関は、私のアトリエの3倍ある(ここは威張るところじゃない?)
壁も土壁と石膏ボードでは質感・量感が全く違う。同じような表面であっても、中が空洞のものと詰まっている無垢のものでは、醸し出す空気が違う。
立田の家のM棟梁は、これまでで一番若い。備前の現場を仕切って下さっているO棟梁は、彼の兄弟子にあたる。彼らの周りには、その上の兄弟子(といっても親子以上に歳は離れてるが)たちが大勢居る。兄弟子の中でもN棟梁は常に彼らの傍らでご指導下っているし、独立した他の兄弟子たちも、ここぞ!という時には応援に駆け付けて下さる。写真に写っている方々だ。
兄弟子たちの協力もあって、M棟梁はこの家の墨掛けをひとりでやり遂げた。大したモンだ!
坪数にすれば50坪弱の家だが、在来工法で建てる家より部材が多い。部材が多いということは、それだけ仕口も多いということだ。仕口については基本的な打合せだけ行い、細かな部分はM棟梁にお任せした。余り細かな個所にまで口出しするのは失礼だと感じたからだが、かなり苦労されたと思う。時々加工場へお邪魔したが、終盤は全員体制でこの家の刻みを行っていた。
上棟当日、無事に棟が上がってM棟梁は安心したのか、専務の奥様特製の棟飾り(棟木に結わいた3本)と自分が使った矩差(棟木に結わいた棒)の前でとてもいい笑顔を見せて下さった。
ここまで来ればもう安心だ。どうぞ、よろしくお願いします、M棟梁!
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