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ある万年筆愛好者のコレクション、人生、そして考え方の記録 ( by 台湾出身の者)

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最近台湾では、「インク止め式万年筆」の使用者及びコレクターが増えています。
但し、その構造に詳しい職人が、台湾には居ないので、メンテナンスの仕方が
分からない人がほとんどです。
そのため、小生が久保さんから習った知識を、
台湾の友人たちに伝えて (以下の写真はその記録です)、これで台湾における
「インク止め式万年筆の普及」につながることができたら良いなと思っております。

(2012/02/09 この段落にあった掲載内容の一部を、訂正させて頂きます:
リンク内にある昔の企業情報⇒現在とは異なる...などの原因により割愛させていただきます。)


さて、本題に入ります。今日紹介させて頂きたいのは、日本
伝統的な「インク止め式」万年筆の構造です。

インク止め式の別名=「インキ止め式」。
「止め式」という名前を使うメーカーや収集家もいます:

http://www.platinum-pen.co.jp/platinum_history_top.html
この構造の由来 = Onoto万年筆プランジャー方式(Plunger Filler)の改造/改良。
それでは、以下のエボナイト素材の止め式万年筆を使って、
構造を簡単に説明させて頂きたいと思います。

イメージ 1

まず、インク止め式の「インクの入れ方」は、欧米のeye-dropper万年筆とほぼ同じです。
首軸を開けて、スポイトでインクを軸に入れて......唯一違うのは
軸内に隠されている「エボナイトの棒」です。
(余談ですが、エボナイト棒の中芯に、
ピアノ線が使われているため、強度と弾力性がある程度保たれています)

イメージ 2

このエボナイト棒は、後ろのつまみとお尻のネジによって、位置を調整することできます。
軸内に隠されているエボナイト棒が、首軸内部の穴を完全に、かたく塞いだ時、
インクの流れが止まります。(「インク止め」という名前の由来。以下の写真を参照)
イメージ 3

また、外部環境の気圧が、インク貯蔵室の内部気圧に影響を与えないように、
「コルク」や「シリコン(以下の写真を参照)」などが使われています。言い換えると、この「シリコン」
や「コルク」を入れることによって、インク貯蔵室の気密性が保たれるわけです。
イメージ 4

「インク止め式」 構造の全貌↓。分解してみると、以下のようになります。
イメージ 5

この構造のメリット:(使用者視点で見る時)
1、「カートリッジ」と「コンバータ」=不要。
たとえ将来メーカーが無くなっても心配する必要がありません...

2、(同サイズの万年筆と比較する場合)インク止め式のインク容量が、
通常カートリッジやコンバータより大きい。

3、インクの調整を、ある程度自分で調整することができます。
4、その他:メーカー視点で言うと、デザインに多様性を持たせることができます、
すなわち
デザインの自由度が高い......などなど

デメリット:
1、お尻の「コルク」を定期的に交換する必要があります。(数年ごとに...
シリコンのほうが長持ち=十数年か数十年ごとに)
2、手が汚れる確率が高い。スポイトでインクを軸に入れる時や、飛行機に乗るとき...など
3、de facto standardが無いため、決まったサイズや作法があまり無くて、
メンテナンスする際に、ある程度の経験と専門知識が必要....


実例1:直径などのサイズにご用心。
「コルク」や「シリコン」の直径や長さなどのサイズに、決まりがありません。

メンテナンスするためには、いろんなサイズのコルクやシリコンを用意して、
万年筆の構造に合わせて、改造/調整する必要があります。
イメージ 6
(余談ですが、軸に内蔵されているエボナイト棒の直径も、通常は3㎜ですが、
メーカーによって、2mmなど、普通とは異なるサイズのエボナイト棒もあります。


実例2:コルク内蔵部の構造にご用心
「コルク」や「シリコン」内蔵部の構造は、主に2種類あります。(以下の写真を参照)

上=「ネジ」の部品そのものに内蔵されています。
下=「ネジ」の部品を取り外して、その下に埋め込まれています。
イメージ 7
そのため、構造を観察してから、その構造に合わせて外す必要があります。
構造及びその外し方を誤ったら、壊れるかもしれません....


実例3:ネジのまわし方に、ご用心......
軸に隠されている 「エボナイト棒」と、「お尻のつまみ」は、ネジによって結合されています。
通常は「逆ネジ=ペットボトルの蓋を外す時の方向とは逆」になっていますが
メーカーによって「通常のネジ=ペットボトルの蓋を外す時と同じ方向」の場合もあります。
イメージ 8
まぁ、de facto standardが無いから、メーカーによって、作り方も多種多様です。
de facto standard(決まった基準、決まった作り方、決まったサイズなど)が有れば、
修理する人にとっても楽だし(決まったサイズのシリコンを用意すれば良い)、
作る人も「規模の経済性」をある程度享受することができる (同じ直径のエボナイト棒と、
決まったサイズのシリコンだけ、ガンガン生産すれば良い) と考えられます。

あくまでも小生個人の考えですが、もしde facto standardが確立されたら、
インク止め式万年筆も、もっと普及するでしょう.....
Anyway, 情報を台湾の友人に伝えることによって、台湾における
「インク止め式万年筆の普及」に多少お役に立てたら幸いです。

閉じる コメント(13)

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止め式はもっと一般化して欲しいですね!

2011/12/11(日) 午前 9:46 idesituki

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二右衛門半さん:
こんばんは。小生も同じ考えです ^_^

2011/12/14(水) 午前 6:08 MuneTaka

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こんばんは。初めて投稿致します。
「インク止め」万年筆に興味関心かあり、貴ブログを発見し
お邪魔致しました。
インキ止めの万年筆の値段はどのくらいでしょうか。
1本ほしいな・・と思っています。
ある店では昔のデットストックのインキ止め鉄ペンが金ペンより
高くて、やっぱりインク止めは高いんだ・・と思いました。

2014/6/4(水) 午後 8:44 [ 花開き ]

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花開きさん:
こんばんは。インキ止め式の万年筆は、
ブランドや漆などによって、値段も変わりますので、
一概には言えません。

ネット・オークションなら、インキ止めの万年筆を
比較的に格安な値段で手に入れることができますが、
但し、修理が必要な万年筆がほとんどです…
(90%以上の確率で、コルクの新調が必要です)

2014/6/8(日) 午前 0:51 MuneTaka

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今晩は。お返事遅れまして失礼致しました。
お教えいただいてうれしく思います。
前に、昔のインク止め万年筆がある文具屋に行きました。鉄ペンで25000円でした。金ペンがいいのでそこでは見せていただいて失礼しました。
金ペンのインク止めになると高価なものになるな・と思っています。
でも一本ほしい・・といつも思っています。
文具店ではインク止めは置いていないと言われたところもありました。

2014/6/13(金) 午後 10:46 [ 花開き ]

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花開き さん:
返事が遅れまして、大変すみませんでした。
25000円でインク止め式の「鉄ペン」が購入できる場所は、
結構限られていると考えられます…ひょっとして
文京区にある「川窪万年筆」に行かれたんですか?

小生の経験からすると、あそこはあまり
お薦めできないと考えておりますが…
――――――――――――――

8年前、インク止め式の万年筆(戦前「丸善」
が出した「小振りの万年筆」)を川窪さんに
コルクの交換を頼んだことがありまして、
結局構造まるごと壊されました。しかも、
修理代として、約6千円〜1万円ぐらい取られました…

当時の川窪さんは、後ろから使用済みのコルクを
取り出せなかったので、丸善万年筆の軸を切断して、
その切断された場所からコルクを取り出して交換し、
接着剤で粘着しました。結局、切断された場所が、
数時間後ダメになって、丸善万年筆の胴体が
そのまま真二つになりました。

その後、川窪さんにふたたび修理を出したが、
川窪さんがただ接着剤を出して、ふたたび粘着しただけ…

2014/6/17(火) 午前 2:20 MuneTaka

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…先ほどの話に戻りますが、小生の記憶が正しければ、
止め式の万年筆を未だに「製造+販売」しているのは、
数か所しかありません。
1、PILOT
http://www.sumi-ri.com/column-pilot-inkdome.html
2、エボヤ
3、MASAHIRO
4、その他:
川窪(先代の在庫or流通在庫)、根本製作所(昔の在庫?)...etc

2014/6/17(火) 午前 2:20 MuneTaka

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いろいろ教えていただき有難く存じます。
体調をくずし入退院で、お返事いたすのが遅れ、その非礼をお許しください。
大切な万年筆に酷いあつかいをされるのはどれだけ辛いことか十分にわかります。心理的、精神的な傷は深く残ります。
貴重な情報を有難く、勉強になりました。
大学院で、わたしは政治学を共に研究した台湾からの留学生としたしくおります。

2015/6/2(火) 午後 9:16 [ 花開き ]

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花開きさん:
返事が遅くなって済みません。近頃仕事でかなり忙しくなっており、ブログの更新もなかなかできません・・・来週訪日しますので、機会が御座いましたら、日本でお会いしましょう。

2015/9/13(日) 午後 0:41 MuneTaka

初めてコメントさせて頂きます。
私もインク止め式の万年筆を所有しています。質問ですが、MuneTaka さんはコルクの蓋をどうやって外されていますか。
使いたくとも私の万年筆は皆コルクが乾ききって使えないようなのです。

2015/10/2(金) 午後 5:58 [ tez**une*awa*ake ]

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> tez**une*awa*akeさん
小生がよく使う方法は、超音波洗浄をした後に
自転車タイヤのかけらを蓋に当てて、回転して外します。
手続きはちょっと下のリンク内の文章と似ています:
http://mirabelle-club.com/mame_bin.html

2015/10/6(火) 午後 1:03 MuneTaka

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はじめまして、古いタイセイ?のインク止めを数本手に入れてから、ガッツリ嵌りました!分解に大変役立ちました、ありがとうございます。

2019/4/8(月) 午後 9:28 [ vau***** ]

> vau*****さん
お役に立てて嬉しいです🙂ほかに構造や修理に関する質問が御座いましたら、このブログかFacebook経由で連絡して頂ければ幸いです。

2019/4/30(火) 午後 4:40 MuneTaka


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