壁の時計が、2時を過ぎようとしている。
そろそろ寝ようか、と声をかけようとした時だ。
夏姫さんはつとふり返り、嘆息混じりの声をあげた。「ああ、きれい。見てほら」
俺は立ちあがり、彼女の後を追うようにしてさっきの窓際に近づいた。
さっきよりだいぶ雲が増え、西の方に傾いた満月の姿はその雲にほとんど隠れて、
あたりはその分暗くなり、青いスポットライトのような光の束だけがくっきりとあざやかに
浮かびあがっている。
「ねえ、知ってる?」
「うん?」
「ああいうふうに雲間からさす光のこと、何ていうか」
俺が首を横にふると、夏姫さんは言った。
「『天使の梯子』っていうんですって。」
「てんしの、はしご・・・・・?」
「そう。特にヨーロッパの方ではね。聖書の逸話がもとになった呼び名みたい。
ふつうは太陽の光をそう呼ぶらしいけど、月の光のほうがかえって神々しい感じがすると思わない?」
「だけど、天使って羽はえてるだろ?天から降りてくるのに、わざわざ梯子なんか必要ないんじゃない
かと思うけどな」
「どこまでも現実的な子ねえ」と夏姫さんは苦笑した。
「それはそうだろうけど・・・時には、羽のない誰かだって降りてきたいかもしれないじゃない」
「・・・・・・・」
村山由佳「天使の梯子」(集英社) より
私にとっての「天使のはしご」は、太陽の光のほうかな。 あの頃のままの笑顔で、にこにこ笑いながら降りてきてくれそうな気がする。。。 あや2号にも、たいちゃんにも希望をもたらしてくれそうな、天からのプレゼント☆ 今の私には、あの子に届く言葉はなにひとつ言えないのかもしれない。 何を言っても空回りしている気がする・・・ でも、ただ一つ言えることは、 もう、後を追うことは考えていないよ、っていうこと。 自分の人生をあきらめず、がんばって生きていくよ。 「天使のはしご」を見るたび、思い出してるから・・・ たまには降りてきて、妹や弟と一緒に遊んでいかない? 小説「天使の梯子」は「天使の卵」の続編です。 大事な人を死なせてしまうこと、悲しみ、後悔、罪の意識、 赦し、心の回復・・・といった重いテーマを扱っていますが、 透明感のある文体のせいか、読んだあとにすっきり感が残ります。おすすめです♪
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☆天使のはしご☆
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