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***第1話*** ○ 山間のつり橋の上 哀澤壇(34)の眼の前に急速に広大な緑が広がっていく。 両足は縄でぐるぐる巻き、 なにかに背中を押される。 「ドン」谷底に落ちて行く哀澤。 哀澤「わーーーーーー」 谷底は激流。 ○ 田舎の山道 一台の乗用車が走り抜ける。 ○ 同・車内 メガネをかけた哀澤壇。 ハンドルの横には携帯がたてかけてある。 信号で停車。 哀澤、携帯を手に取り開く。 待ち受け画面に映る、哀澤壇とその娘、未来(8歳) 画面を見ながら微笑む。 メモリー画像を開き、二人で撮った画像を次々とみている。遊園地のよう。 ○ 遊園地 哀澤と娘・未来、フリーフォールなどで楽しそうに遊んでいる。 携帯で次々と二人の写真をとる哀澤。 ○ 車内 後ろからクラクション、我に返る哀澤。 バックミラーに写る軽トラック。 慌ててアクセルを踏み込む。 ○ 遊園地・夕方 ベンチに腰掛けている哀澤と未来。さっきとはうって変わって重たい表情。 未来「パパ本当に今日が最後なの」 哀澤「あぁ、元気でな未来」 未来「パパ、プリクラ撮とうよ」 哀澤「そうだな」 二人、頬を寄せ合い撮る。 その静止画。 ○ 遊園地・出口 手を繋いで出てくる、哀澤と未来。 その視線の先に未来の母らしき女性の後姿。 ○ 車内 携帯の裏をみる哀澤。 哀澤と未来のプリクラが貼られている。 携帯を握り締める哀澤寂しそう。 携帯を上着の内ポケにしまう。 ○ 田舎の山道 哀澤、気を取り直して車を走らせる。 目の前を学生服姿の何人かの中学生の少年少女が横切る。 急停車。 哀澤「うわぁ危ねーな」 少年達が走っていった方に目をやる。 ○ 同・外 車を端につけて降りる哀澤。 目の前に「トーテムポールめがね店」の看板。 店の両サイドにはドでかいトーテムポール。 哀澤「ちょっと来ないと変わるなー」 哀澤、遅い朝日を浴びるトーテムポールを見上げる。 タイトル「トーテムポールのメガネ屋さん」 ○ 同・店内 エスニック風の店内。 所々にはお香が焚かれ煙が充満している。 入ってくる哀澤。 顔の大きさほどのトーテムポールがずらりとならび、そのひとつひとつに メガネが段々にかけられ、ディスプレイされている。 哀澤「なんだここ、なにがやりてぇんだ」 奥から店員のおばさんが出て来る。 デブで怪しい典型的なおばさん。 哀澤「あっ(ちょっと焦る)」 おばさん「はい、なにか」 哀澤「あーいやぁ」 おばさん「外のかた?」 哀澤「あーそのー、都会に出てたんですけど、ちょっと里帰りを」 おばさん「あーそう、こちらの出なの・・・ごゆっくりどうぞ」 奥に引っ込んで行こうとする。 哀澤「あっちょっと」 おばさん「(立ち止まり)はい」 哀澤「あっあ、丁度イイや、(メガネ外す)メガネのネジが緩んじゃっててフレーム取れかかってる んですよ。ついでなんで、直してもらえますかね」 おばさん「(メガネを手に取り)こちらでお買い上げですか」 哀澤「はっ? ちっ違いますよ」 おばさん「じゃしばらく待ってて」 おばさん、工具を取り出し、ごぞごぞ修理を始める。 哀澤、手持ち無沙汰で店内のメガネを見て回る。 ふと、一つのマトリックス風のサングラスに眼が止まり気取った感じで、かけて見る。 ○ 山間のつり橋の上 哀澤の眼の前に急速に広大な緑が広がっていく。 両足は縄でぐるぐる巻き、 思わずバランスをくずして倒れそうになる。 哀澤「あわ、わ(声にならない声)」 横に黒い人影。 黒い人影「哀澤、勝負だ」 哀澤「えっなに」 黒い人影に背中を押される。 「ドン」谷底に落ちて行く哀澤。 哀澤「わーーーーーー」 谷底は激流。 ○ 谷底
哀澤「うぎゃーーー」 激流寸前、ロープがいっぱいになり、宙吊り状態。 哀澤「うわ、うわ、わわわ」 横に同じく宙吊りになった黒い人影。 黒い人影「じゃぁな」 黒い人影、ヒョイと頭を持ち上げ両足に巻きついたロープを伝いつり橋の上に登って行く。 哀澤「おい、なんなんだいったい、おい」 必至に足首のロープを掴もうとするが、手が届かない。 するとズボンがズルッと脱げ、足からロープが外れてしまう。 声も出ない内に激流に落っこちる哀澤。「ドボン」 哀澤「わー」 流される。 沈んでいく体。 頭だけ見える。 手だけ見える。 見えなくなる。 ***第2話へ続く*** |
トーテムポールのメガネ屋さん
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