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***第4夜*** ○ デパート内ATM ざっくり現金を下ろす忍。 ○ (三十一年前)踏み切り前 遠ざかる電車 鳴り止む警報機 遮断機が上がる。 忍の母・百合、お腹はまだ大きくない。 百合「忍は、電車が好きね」 忍・少年「うん、大きくなったら電車の運転手になるんだ、そしたらお母さん 乗せてあげるからね」 百合「はい、はい、楽しみにしてるわよ、じゃぁ今日はもう帰りましょ」 忍・少年「えーまだ、いたいよ」 百合「だめよ、早くしないと暗くなるでしょ」 忍「やだよ」 百合「困った子ね、じゃぁお母さんがおんぶしてあげるから、それなら イイでしょ、ね」 忍「えーうん、じゃぁイイよ」 百合「調子イイわね」 百合におぶさる忍。 警報機が鳴り出す。 遮断機がおりる。 ○ (現代)踏み切り前 鳴り響く警報音。 信号灯を見上げる忍。 忍「母さん、幸せになるよ」 手には、ケーキの箱。 ○ 建設現場・事務所内(夜) 外から建設機材のエンジン音がゴーゴーと響わたる中、沖中が入ってくる。 沖中「おい、野島はどーした」 壁かけのヘルメット置き場。 忍のヘルメットの横に野島のネーム入りのヘルメットが、かけられている。 ○ 美和アパート内(夜) 食卓をはさむ、忍と美和。 ちゃぶ台には、食べおわったケーキ。 部屋の片隅に眠る美羽。 忍「なぁ」 美和「なーに」 忍「もっと、いい家に引越そう、な、金ならあるんだ」 美和「そう、お金あるの」 忍「そうだよ、ほら(カバンからごそっと札束をだす)」 美和「そうね、それなら、いい所に住めるかもね」 忍「そうだよ、世の中金だ、金があればなんでも手にはいるんだ」 美和「お金があればなんでも手に入るんだ」 忍「そうだよ、当たり前だろ」 美和「そう、じゃぁあなたのお母さんは」 忍「えっ」 美和「お母さんよ」 忍「どう言う意味だ」 美和「ごめんなさい、怒った(忍に抱きつく)わたしは、今のままでイイのよ、 あなたも今のままでいて」 忍、動かない。 ○ 朝・満員電車内 どこからか、いびきが聞こえる。 乗客が不審そうにそちらに目をやる。 長椅子に寝そべり酒の臭いをただよわせて寝ている男、沖中(現場監督) 携帯が鳴り出す、しかし気付かず起きない。 駅に到着。ドア開くと駅員が入ってくる。 駅員「お客さん、起きてください、お客さん」 沖中「ん? なに、あっあーゴメン夜勤明けなもんでね、いや、いや、すいませんでした。 あ、そんじゃみなさん、失礼します」 照れくさそうに降りていく。 ○ 同・改札 沖中「すいませんねー」 などと、駅員に愛想を使いながら出て来る。 ふっと脇に視線をやると、うずくまる男の姿。 沖中、その男をしばらく、じっと見る。 沖中「ん! あーあ、お前、こら、なにやってんだぁ」 うずくまる男は、野島。 野島「うぅうーん」 沖中「お前、こんなとこで横になって、みっともない」 後で駅員が笑っている。 沖中「ほら起きろ、野島」 野島、すっと起きる。 ○ スターバックス・内 沖中、野島を連れている。 沖中「ホットコーヒー2つ」 店員「どちらにしましょうか」 沖中「だから、ホットコーヒーだよ」 店員「あっ色々ありますが(メニューをみせる・・・)」 沖中「あーなに、キャラメ、メルマキなんだこりゃ」 店員「キャラメルマキアートでよろしいですか」 後に並んでいる高校生の女の子2人がクスクス笑っている。 沖中「ふざけんな、冗談じゃねー、おう、出るぞ」 カッカと出て行こうとする沖中。 まだ笑っている女子高生。 沖中、立ち止まり、振り返り女子高生に 沖中「お前ら、学校どうした(怒鳴る)」 黙る女子高生。 くるっと向き直り出て行く沖中。 その後をよろよろとついて行く野島。 ○ ダサ目の喫茶店 コーヒーを飲み干す沖中。 沖中「なにやってたんだ、お前無断欠勤しやがって」 野島「はぁ、あのどうもスイマセンでした」 沖中「まったくもう、で、忍の家には、いったのか」 野島「あ、い、行ってない」 沖中「なんだ、行ってねーのか、俺はてっきり二人でサボってるんだと、 ばかり思ってたぞ、文句ばっかで、やる気ねーお前らのことだからよ」 野島「い、いや、行きました。行きました」 沖中「ん、行ったのか、どっちなんだよ」 野島「あ、あの、いませんでした」 沖中「そっか、居なかったのか、しょうがねーな、ほんとに逃げたのかな、 もうお前の金も返ってこねーかもな」 野島「あの監督」 沖中「あー」 野島「お話があります」 沖中「おう、どうした、あらたまって」 野島「俺、これから一生懸命働きます」 沖中「あーなに、いってんだ」 野島「本気です、俺、いままで、世の中舐めてました、こんな夜勤に回されて、 休みも少ないし、給料も安いし先も見えないし、こんな仕事続けてたって もうしょうがないとか、色々勝手な事言って来て本当にスイマセンでした、 俺これから心入れ替えます、おねがいします」 沖中あっけに取られている。 ○ (過去)病室
ベッドで横になる忍の母・百合 心配そうに見つめる忍の父・剣持守と忍少年。 看護士が入ってきて 看護士「娘さんは、危険な状態は脱しました。しばらくは保育器になりますけど、 もう心配はありませんよ」 守「ありがとうございます」 看護士「さきほど、先生からご説明があったように、お母様も2,3日で退院出来る みたいですから、よかったですね、僕よかったね」 忍少年「うん」 ***第5夜へつづく*** |
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