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***第2夜*** ○(三十年前)踏み切り・夕方 警報音が、また響いている。電車が両車線を通過中。 電車が過ぎ去り、警報音やむ。 静寂の中、忍少年の泣き声。 その前に倒れている母・百合、下半身から出血が見える。 ○ (現代)××駅近くATM・外・朝 数台のパトカー。「KEEP OUT」の黄色のテープ。その回りにやじ馬。 数台のテレビの中継車。 ○ 家の居間 テレビ画面 淡々と話すニュースキャスター。 キャスター「昨夜遅くに○○銀行××駅前店のATMのタッチパネルが割られる事件が 発生しました。他に目立った被害は、なく怪我人もありません、警察では、酒に酔った うえでの犯行と見て、監視カメラの解析と目撃者探しの両面で捜査を進めています」 テレビ画面がパチッと消える。 その画面をリモコンで消した手、 桜井麻子(30歳)スーツ姿出かける準備のよう。 テーブルの上、空の透明パック、白い粉が散乱している。 それを見て、微笑む麻子。 ○ デパート内のATM 現金を引き出す、忍の姿。 手には、ごっそり札束。 隣りのATMに現金を引き出している母親と男の子、 小さい男の子が忍の札束を目を丸くして見ている。 ○ カフェ内 テーブルに上にドンと札束。 テーブルを挟むのは、 桜井麻子と剣持忍。 麻子「どうしたのこのお金」 忍「金は金」 麻子「答えになってないでしょ」 忍「要らないのか」 麻子「そうじゃないわよ」 忍「どっかで銀行強盗の事件でもあったのか」 麻子「ないわよ」 忍「じゃぁ盗んだ訳じゃない」 麻子「お兄ちゃん・・・」 忍「じゃ旦那によろしくな」 忍、席を立つ。 麻子「あっお兄ちゃん」 立つ 忍「ん?」 麻子「ありがとう」 忍「あぁ」 壁に映る影は、麻子のノミ 忍出て行く。 ○ ××駅ホーム(夜) 終電車が入ってくる。 ドアが開く、忍が降りてくる。 階段を下り、改札を抜けると、この前の娘と母、親子の姿。 忍、しばらく目をやり歩き出す。 ○ 同・駅そばATMの前(夜) たたずむ忍。 ○ 同・中 割れた画面は、なおっている。 忍しばらく見つめ、かばんを画面のうえに、と 「画面の上にモノを置かないでください」のアナウンス。 忍、笑い出す。 笑い声が段々大きくなる。 その内、狂ったように笑いながら、外へ出る。 ○ 踏み切り前(夜) 笑いながら歩く忍。 突然、警報音が鳴り出し、遮断機が下りてくる。 忍、急に苦しそうにうずくまり 耳をふさぐ。 ○ (三十年前)踏み切り(夕方) 救急車の音。 集まる野次馬。 担架に乗せられる忍の母・百合。 泣くしかない忍少年。 救急隊にかかえられ、救急車に乗せられる忍少年。 ○ (現代)踏み切り(に戻る) 過ぎ去る電車。 静寂の中、嘔吐している忍。 「どうされました」女性の声がする。 忍、苦しそうに振り向くとあの母娘、 忍、少し驚いた表情でまた下を向き、口を袖で拭き、 忍「いえ、大丈夫です」 平静を装いながら立ち上がる。 しかしそこには誰の姿もない。 忍「えっ」といった感じで辺りを見渡す。 ふっと踏み切りの向こう側に母娘の姿を見つける。背をむけ歩いて行く。 忍、引きつけられるように後を追う。 ○ 建設現場・事務所内(夜) 数十個の壁かけのヘルメット置き場、一つだけポツンと残ったままのヘルメット。 ネームは剣持忍。 男の声が重なる。 現場監督・沖中千年(50歳)「なんだ、忍また無断欠勤か、ふざけんなよ、おう野島、 お前なんか知らないのか」 作業員・野島(35歳)「(どうでもよさそうに)また借金とりにでも 追われてんじゃないですか」 沖中「ちげーねー」 野島「アイツ、俺の金もまだ返してないんですよ、まったく」 沖中「そんなの期待するだけ無駄なんだよ」 野島「そんな事、言わないでくださいよ、今月ピンチなんですから」 沖中「おめーいつもピンチじゃーねーか」 野島「いや、それとこれとは、違いますよ」 沖中「おし、じゃーお前、明日見て来い」 野島「えー俺ですかーカンベンしてくださよー」 沖中「いいから、言って来いよ、お前よく、つるんでただろ、それにお前も貸した金 返ってこないと困るんだろ」 野島「つるんでたのは、前の話ですよ、最近は、あんまかかわってないんですよ、アイツ、 ちょっと不気味だったんすよ最近」 沖中「いいからいってこい、借金取り返す、つもりでイイからよ」 野島「えー」 沖中「行けよ、テメー(威圧気味に)」 野島「じゃーはい・・・わかりましたよ」 沖中「じゃ、たのむぞ(出て行く)」 野島「はい、はい、まったく夜勤明けにしょうがねーな」 忍のヘルメットを殴る。 ○ アパートの2階ドアの前(夜) 表札には「吉岡美和」 たたずむ忍。 遠くかすかに都会のノイズが聞こえてくる。 ドアカギの開く音。 ノブがゆっくり回る。 慌てて離れようとする忍。 背中越しにドアが開く。 美和「あら、今日は夜勤じゃなかったの」 おそるおそる振り返る忍。 笑顔の吉岡美和(32歳)さきほどの母娘の母。 忍「あっあー」 美和「あがって」 ○ 美和のアパート内(朝)
台所から包丁とまな板の音。 忍が寝ている。 吉岡美羽(10歳)「起きて、起きて」 忍、目覚める。 目の前の美羽に驚きを隠せない。 美羽「ほら、これ昨日、お母さんに買ってもらったんだよ(ぬいぐるみ)」 忍「あっあーよかったね」 美和「ほら、美羽」 美羽「はーい」 美和「(忍に)さぁ食べて」 忍「う、うん」 3人で囲む食卓。 美羽「あっ私、今夜ケーキ食べたい」 美和「どんなケーキ?」 美羽「大きいイチゴがのっかってるのがイイ」 美和「そうなの、美羽はイチゴ好きだもんねー(忍に)いいでしょ」 忍「へっ、あっあーわかった・・・あのー」 美和「ん?」 忍「俺達ってーー」 美和「ん」 忍「その、あのー」 美和「・・・どうしたの?」 忍「いや、なんでもない」 ***第3夜へつづく*** |
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