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ライオンズマイミク109人 //褒められて伸びる子なんですo(^-^)o/

BANK_OF_SHADOW

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Bank_of_shadow登場人物

?H1>主な登場人物
剣持忍35歳主人公建設現場勤務だが出勤状態は悪い、職を転々としている
桜井麻子30歳忍の実妹銀行勤務
桜井忠信34歳麻子の亭主元優秀な銀行員、現在は盲目で退職している。
吉岡美和32歳     専業主婦?
吉岡美羽10歳美和の娘
剣持百合  忍の母
剣持守61歳忍の父
沖中千年50歳忍の上司建設現場監督
野島正隆35歳忍の同僚仕事は不真面目、最近は忍とは距離をおいている。

バンク・オブ・シャドー経営者らしきシルクハットの男
コートに帽子姿の男達 数名

Bank_of_shadow第1夜

      ***第1夜***
○ 都会のスクランブル交差点
    あちこちから聞こえてくるエンジン音とクラクション。
    せわしなく続く人の波。
    ノイズとなる人の声。
    その波の中、盲目の中年女性が盲導犬を連れて信号待ちをしている。
    大人しくしている盲導犬。
    フッとなにかに気付き目を見開き遥か先の反対車線で
    たたずむ男を「ううぅ」と威嚇し始める。
盲目の女性「こら、静に、しっしっ」
    しかし威嚇を止めない盲導犬。

○ 同・反対車線
    信号待ちをしている男。
    1人だけコートに帽子姿。
    後の女子高生二人がひそひそ話、
    男には影がない。
    ノイズと盲導犬の威嚇声が重なる。

○ 電車内(終電)
    小学生高学年位の女の子が椅子に腰掛けている。
    塾の帰りなのか懸命に暗記カードを見ている。
    その正面に座っている、
    無精ひげの剣持忍(三十五歳)
    不思議そうに女の子を見る。

○ ××駅ホーム
     階段をよろよろとおりて行く少女。
    忍、小首をかしげながら後から降りて行く。

○ 同・改札
    少女が改札を抜けると、迎えの母親が立っている。
    母に駆けよる少女。
    忍「なんだ」と言った表情で少し安心感。

○ 同・駅そば銀行ATM
    忍、残額照会、残高は1100円。
    1000円下ろそうとするが、料金不足の文字、ATMを軽く蹴る。
    ふーと虚脱感いっぱいで、ATMにカバンを置くと、
    「画面の上に物を置かないでください」と電子的にアナウンスコール、
    忍、思わずカっとなりATMをぶっ叩く、
    画面割れる。
    すると警報音、驚き外へ逃げる。

○ 同・外
    忍、キャッシュカード落とす。「SHINOBU KENMOCHI」の文字。
    コートに帽子姿の男がカードを拾う。

○ 踏み切り前(夜)
    慌てて走ってくる忍。
    警報機がけたたましく鳴り響く。
    まぶしいほどの信号機の赤。
    忍、思わず、うずくまり気味に、耳を抑えるようにする。

○ (30年前)踏み切り・夕方
    激しくなる警報音。
    ゴウ音を立て電車が過ぎ去って行く。
    鳴り止む警報音。
    少年の忍(5歳)、過ぎる電車をじっとみつめる。
忍の母・剣持百合「忍、帰るわよ」
忍少年「やだ、まだいる」
    母・百合、おなかが大きい。
百合「忍、わがまま言わないの、いい加減しなさい」
忍少年「やだ、やだ」
    母・百合、忍の腕をつかみ
百合「ほら、早く」
忍少年「やだー(泣く)」
    けたたましく警報音が鳴りだす。

○ (現代に戻る)裏路地・夜
    忍、走って逃げる。
    遥か後ろにさきほどの踏み切り。
    コート姿の男が、チラシを配っている。
    忍、差し出されるチラシを避けるように表通りに向って走る。

○ 同・表通り
    呼吸を整え平静を装い普通に歩く忍。激しく行き交う車。
    正面からパトカー思わず裏通りへ、

○ 同・裏通り
    正面にコートの男
    思わす「わっ」と声を上げる忍。
    無言でチラシを渡すコートの男。
    しかたなくチラシを受け取り歩き出す。
    角を曲がり、チラシを捨てる。
    背後から手が肩に、「ハッ」と振り返るとコートの男。
    チラシを渡してくる。
忍「なっあっあっどうも」
    無言で去るコートの男。
    動揺を抑える忍。
    チラシを見る。
    チラシには、「BANK OF SHADOW」の文字。

タイトル「BANK OF SHADOW」

○ 深夜・ゴーストタウンのような街中
   キョロキョロと歩く忍、立ち止まる。
    チラシと目の前の看板を見比べる。
    「バンク・オブ・シャドー」
    営業時間「AM2:00〜AM3:00」

○ バンク・オブ・シャドー内
    忍、入って来る。
    薄暗い店内、正面にかすかに受付の窓口があるように見える。
    急に右から光が射す。
    忍、光に視線を向けると何台かのキャッシュディスペンサーが立ち上がりはじめている。
    どこから現れたのか一人の人影がキャッシュディスペンサーに近かよる。
    カバンからゆっくりと大量の札束を出し入金している。
    忍その様子をジッと見てしまう。
    入金が終わると店から出ていく人影。
    すれ違う時、軽く目が合うが、なにか精気が感じられない、肌も灰色に見える。
    忍よろよろと受付に、薄暗い窓口、人の姿はない。
    受付の前に立ち、辺りを見渡す、
    そして視線を正面に移すと目の前に人影、驚く忍「なっ」
    その人影、目線を促がすように忍の左後方に向ける。
    おそる、おそるその視線の方向に目をやるとエレベータが見える。
    忍エレベータへ歩きだす。

○ エレベータ内
    ドアが閉まる途中、フロアを見るとそこには結構な人数の人影ある事がわかる。
忍「・・・(動揺)」
    エレベータのドアが閉まる。
    忍、階数のボタンを押そうとするが、何階かわからない、
    横からふっと手が伸び五階を押す、驚く忍。
    見るとトレンチコートにふかぶかと帽子を被った男が後に立っている。
忍「あ、あの」
    男は一度ゆっくりとうなずく、
    5階に到着、ドアが開く、忍、後の男を見る。
    男は行け行けと言った感じで手の甲を下から上にゆっくり動かす。
    忍、下りる。

○ 同・五階
    正面にドア。
    ドアのぶに手をかけ少しドアを開けると大量の光が漏れてくる。
    ドアを全開にする。
    光にのまれる忍。
                 ***第2夜へつづく***

Bank_of_shadow第2夜

***第2夜***
○(三十年前)踏み切り・夕方
    警報音が、また響いている。電車が両車線を通過中。
    電車が過ぎ去り、警報音やむ。
    静寂の中、忍少年の泣き声。
    その前に倒れている母・百合、下半身から出血が見える。
    
○ (現代)××駅近くATM・外・朝
    数台のパトカー。「KEEP OUT」の黄色のテープ。その回りにやじ馬。
    数台のテレビの中継車。

○ 家の居間
    テレビ画面
    淡々と話すニュースキャスター。
キャスター「昨夜遅くに○○銀行××駅前店のATMのタッチパネルが割られる事件が
 発生しました。他に目立った被害は、なく怪我人もありません、警察では、酒に酔った
 うえでの犯行と見て、監視カメラの解析と目撃者探しの両面で捜査を進めています」
    テレビ画面がパチッと消える。
    その画面をリモコンで消した手、
    桜井麻子(30歳)スーツ姿出かける準備のよう。
    テーブルの上、空の透明パック、白い粉が散乱している。
    それを見て、微笑む麻子。

○ デパート内のATM
    現金を引き出す、忍の姿。
    手には、ごっそり札束。
    隣りのATMに現金を引き出している母親と男の子、
    小さい男の子が忍の札束を目を丸くして見ている。

○ カフェ内
    テーブルに上にドンと札束。
    テーブルを挟むのは、
    桜井麻子と剣持忍。
麻子「どうしたのこのお金」
忍「金は金」
麻子「答えになってないでしょ」
忍「要らないのか」
麻子「そうじゃないわよ」
忍「どっかで銀行強盗の事件でもあったのか」
麻子「ないわよ」
忍「じゃぁ盗んだ訳じゃない」
麻子「お兄ちゃん・・・」
忍「じゃ旦那によろしくな」
    忍、席を立つ。
麻子「あっお兄ちゃん」
    立つ
忍「ん?」
麻子「ありがとう」
忍「あぁ」
    壁に映る影は、麻子のノミ
    忍出て行く。

○ ××駅ホーム(夜)
    終電車が入ってくる。
    ドアが開く、忍が降りてくる。
    階段を下り、改札を抜けると、この前の娘と母、親子の姿。
    忍、しばらく目をやり歩き出す。

○ 同・駅そばATMの前(夜)
    たたずむ忍。

○ 同・中
    割れた画面は、なおっている。
    忍しばらく見つめ、かばんを画面のうえに、と
    「画面の上にモノを置かないでください」のアナウンス。
    忍、笑い出す。
    笑い声が段々大きくなる。
    その内、狂ったように笑いながら、外へ出る。

○ 踏み切り前(夜)
    笑いながら歩く忍。
    突然、警報音が鳴り出し、遮断機が下りてくる。
    忍、急に苦しそうにうずくまり
    耳をふさぐ。

○ (三十年前)踏み切り(夕方)
    救急車の音。
    集まる野次馬。
    担架に乗せられる忍の母・百合。
    泣くしかない忍少年。
    救急隊にかかえられ、救急車に乗せられる忍少年。

○ (現代)踏み切り(に戻る)
    過ぎ去る電車。
    静寂の中、嘔吐している忍。
    「どうされました」女性の声がする。
    忍、苦しそうに振り向くとあの母娘、
    忍、少し驚いた表情でまた下を向き、口を袖で拭き、
忍「いえ、大丈夫です」
    平静を装いながら立ち上がる。
    しかしそこには誰の姿もない。
    忍「えっ」といった感じで辺りを見渡す。
    ふっと踏み切りの向こう側に母娘の姿を見つける。背をむけ歩いて行く。
    忍、引きつけられるように後を追う。

○ 建設現場・事務所内(夜)
    数十個の壁かけのヘルメット置き場、一つだけポツンと残ったままのヘルメット。
    ネームは剣持忍。
    男の声が重なる。
現場監督・沖中千年(50歳)「なんだ、忍また無断欠勤か、ふざけんなよ、おう野島、
 お前なんか知らないのか」
作業員・野島(35歳)「(どうでもよさそうに)また借金とりにでも
 追われてんじゃないですか」
沖中「ちげーねー」
野島「アイツ、俺の金もまだ返してないんですよ、まったく」
沖中「そんなの期待するだけ無駄なんだよ」
野島「そんな事、言わないでくださいよ、今月ピンチなんですから」
沖中「おめーいつもピンチじゃーねーか」
野島「いや、それとこれとは、違いますよ」
沖中「おし、じゃーお前、明日見て来い」
野島「えー俺ですかーカンベンしてくださよー」
沖中「いいから、言って来いよ、お前よく、つるんでただろ、それにお前も貸した金
 返ってこないと困るんだろ」
野島「つるんでたのは、前の話ですよ、最近は、あんまかかわってないんですよ、アイツ、
 ちょっと不気味だったんすよ最近」
沖中「いいからいってこい、借金取り返す、つもりでイイからよ」
野島「えー」
沖中「行けよ、テメー(威圧気味に)」
野島「じゃーはい・・・わかりましたよ」
沖中「じゃ、たのむぞ(出て行く)」
野島「はい、はい、まったく夜勤明けにしょうがねーな」
    忍のヘルメットを殴る。

○ アパートの2階ドアの前(夜)
    表札には「吉岡美和」
    たたずむ忍。
    遠くかすかに都会のノイズが聞こえてくる。
    ドアカギの開く音。
    ノブがゆっくり回る。
    慌てて離れようとする忍。
    背中越しにドアが開く。
美和「あら、今日は夜勤じゃなかったの」
    おそるおそる振り返る忍。
    笑顔の吉岡美和(32歳)さきほどの母娘の母。
忍「あっあー」
美和「あがって」

○ 美和のアパート内(朝)
    台所から包丁とまな板の音。
    忍が寝ている。
吉岡美羽(10歳)「起きて、起きて」
    忍、目覚める。
    目の前の美羽に驚きを隠せない。
美羽「ほら、これ昨日、お母さんに買ってもらったんだよ(ぬいぐるみ)」
忍「あっあーよかったね」
美和「ほら、美羽」
美羽「はーい」
美和「(忍に)さぁ食べて」
忍「う、うん」
    3人で囲む食卓。
美羽「あっ私、今夜ケーキ食べたい」
美和「どんなケーキ?」
美羽「大きいイチゴがのっかってるのがイイ」
美和「そうなの、美羽はイチゴ好きだもんねー(忍に)いいでしょ」
忍「へっ、あっあーわかった・・・あのー」
美和「ん?」
忍「俺達ってーー」
美和「ん」
忍「その、あのー」
美和「・・・どうしたの?」
忍「いや、なんでもない」
             ***第3夜へつづく***

Bank_of_shadow第3夜

***第3夜***
○ 桜井麻子の家(りっぱな家)
    買い物袋を下げて帰って来る麻子。
    庭には、大型犬が繋がれている。
    犬小屋の上に「カンタ」の文字。
    犬用のガムを夢中でガッついている。
麻子「ただいま、カンタ」
    カンタの頭を撫でる。
    カンタ微妙に反応してまたガムをガっつく。
    麻子、家の中へ、

○ 同・中
麻子「ただいまー」
    買い物袋をテーブルへ、
    その先に車椅子に座り、テレビをみている男の後姿(桜井忠信・34歳)
スナック菓子をバリバリ食べている。
    ドラマをみているようだが、妙に説明のナレーションが多く聞こえてくる。
麻子「ちょっと、あなた、いつまでテレビ見てんのよ」
忠信「ん? さぁ俺に時間なんて見れる訳ないだろ」
麻子「ちょっとなによ、そのいいぐさ」
忠信「だって時計なんてみれないもんさ」
麻子「あなたねー」
    忠信、車椅子をくるっと回す。
    サングラスをしている。
忠信「おっ、なに買って来たんだ、大福、買ってきたか」
    テーブルに手を伸ばし、テーブルの上をパンパンと探る。盲目のようだ。
    麻子ため息。
麻子「ちょっと、横着しないで、立って探しなさいよ」
忠信「えーだって面倒くさい、大福くれよー(立とうとしない)」
麻子「そんな事言ってるとホントに歩けなくなるわよ、大体なんで車椅子なんて買ったのよ、
 必要ないでしょ」
忠信「だって、せっかく義兄さんが金くれたんだからなんか買った方がイイと思ったからさー、
 なんかこれがあると障害者ぽくてイイだろ、俺さー昔、ゴットファーザーみて車椅子憧れて
 たんだよー、こんど葉巻かって来てよ」
麻子「その話ならなんども聞いたわよ、バカじゃないの」
忠信「バカじゃないよ、ほらF1のウイリアムズのオーナーなんて言ったっけ?あの人も車椅子だよ」
麻子「知らないわよ、そんな人、もう外にも出ないで、カンタが暇そうじゃない、全然盲導犬
 になってないじゃないのよ」
忠信「いいだろ、カンタだって、楽できて、きっと助かってるって」
麻子「あのねー」
忠信「おい、それより早く、大福、大福」
    麻子、ムッとして、袋から大福のパックをだし、
    パックをバリッと空け大福をにぎり、忠信の口に突っ込む。
    苦しそうにしかしなにかコミカルにもがく忠信。
忠信「うーよせ、よせ」
    吹き出す麻子。
    忠信の口の回りは白くなっている。
忠信「お前、死んだらどうすんだよ」
麻子「死ぬわけないでしょあなたが」
    笑う二人。

○ 忍のアパート・外
    ドアの前に野島やってくる。
    チャイム鳴らすが返事がない。
    もう一度鳴らすが返事なし、
野島「んーん、いないな・・・よし、いない、いない、知らねーよ、居ねーんだもん、さぁ帰ろっと」
    野島、その場を離れる。

○ 同・街中
    野島パチンコ屋から出てくる。
    そのまま歩き出す。
    「おっ」と立ち止まる。
    視線の先に忍。
野島「あっ、あのヤロー」
    忍が、ケーキを買っているのが見える。
    野島、近付いて行こうとする。
    忍ケーキを受け取り、足早に歩き出す。
    慌てて追いかける野島。

○ 同・トンネル前
    野島、足を速め前方の忍を追いかける。
野島「あのやろー仕事中は、だらだら、歩いてる、くせに」
    忍がトンネルに入る。
    消える。
野島「えっ?」
    野島、トンネルへ急ぐ。

○ 同・トンネル内
野島「あれーー」
    辺りをキョロキョロ見回す。
野島「ありゃーへんだな」
    振り返ると人影
野島「わー(驚く)」
    コートに帽子姿の男。
野島「えっおっあれ」
    コートの男、無言で野島にチラシを渡す。
    そこには「バンク・オブ・シャドー」

○ 大洋銀行内ATM自動支払機前
    複数台の支払機がある。
    OLがキャッシュディスペンサーに近付くと使用中止のメッセージ。
    OL不審そうに目の前の受話器を持つ、
    周りを見ると、他のATMも使えていないようだ。
〇L「すいませーん」
    やって来る店員は麻子。
麻子「どうされました」
OL「ATM使えないんですけど」
麻子「申し訳ありません、少々お待ちください」
    壁掛けの時計の時刻は「PM2:00」

○ 桜井家・庭
    寝ているカンタ突然目を覚ます。
    「うー」うなる。
    「バタン」とドアの音。

○ 同・中
    PCに向っている忠信の背中。
    人の気配に振り返る。
忠信「よう、忍 義兄さん」
忍「鍵くらいかけろよ、てめぇなんで俺だったわかるんだ、相変らず気持ちの悪いヤツだ、
 見えもしないのにパソコン向いやがって、」
忠信「いいだんよ、雰囲気、雰囲気」
忍「昔は人の事、散々だらしねーだ、定職にも着かないで、なんだと偉そうな事、言って
 くれたけどよ、エリートさんも目が見えなきゃこのザマだ、情けないねー」
    いたって冷静な忠信。
忠信「そんな事ないよ、目が見えなくなって、得に生活には困らないさ、トイレにも行けるし、
 風呂も入れるし、テレビも親切な文字放送もあるし、外に行くにもカンタがいるし、
 障害者保険も出てるし、目が見えない分、掃除も洗濯もやれとか言われないしさ、
 あっそうだ、でもさ、この前、唇ガサガサになっちゃたからさ、リップ塗ったつもりが、
 麻子の口紅でさ、しかもそれが、どうも真っ赤だったみたいで、帰ってきたら、
 麻子のヤツ「ぎゃー」とかまた大げさに驚くもんだら、もうびっくりでさ、
 そのあと二人で大笑いだよ、まったく、気付かないで、外にカンタと出かけてたら
 大変だったよ、ははは」
忍「その話、長いのか」
忠信「ん、なんだよ、おもしろくなかったか」
忍「無理して楽しそうにするな、女々しいんだよ」
忠信「・・・兄さん、俺には目は見えないけど、耳も鼻も手も足だってある」
忍「そんなもん、誰にだってある」
忠信「違うよ兄さん、解るか、静かにしてみ」
忍「あっ・・」
忠信「しーーー、じっと耳を澄ませばさ、カンタの寝息とかも聞こえてくるんだぜ、しーー」
忍「・・・」
    外から、かすかにカンタの唸り声。
忠信「ん、うなってるな、ハハハ」
忍「くだらねな、コ汚い犬だ」
忠信「そう言えば、兄さん犬との相性が昔から悪いみたいだよな」
忍「・・・麻子が言ったのか」
忠信「あぁ、そうだよ、そうその麻子だよ。俺にはなによりも、麻子がいる、あいつが
 いてくれれば十分なんだよ」
忍「ほざけ、妹に働かせといて、なにが麻子を幸せにするだ、騙しやがって」
忠信「麻子は幸せだよ」
忍「なぜそう言いきれる」
忠信「感じるんだよ、曇りのない声と、あとかすかーに香がするんだよ」
忍「はぁ」
忠信「兄さんには、わからないよ、目が見えないから感じる香がさ」
忍「けっバカバカしい」
忠信「わかるか兄さん、俺はこれからもう麻子の顔を見ることが出来ないんだ」
忍「イイ気味だ」
忠信「ふー、と言う事はだよ、俺の中で麻子は、もうずーと年を取らないんだよ、
 俺の知っている麻子 は、ずっと若いままなんだ、わかるか、ずーと新婚気分で
 いられるってわけだよ、もしかしたら銀行でバリバリやってた、あの時より
 今の方が充実してるかもな」
忍「嘘をつくな、あの仕事の話をいつも自慢げに偉そうしゃべってたお前が、今の生活が
 楽しい訳ないだろ」
忠信「だからそうじゃないって言ってるだろ、もうイイよ、そう言う兄さんは、どうなんだよ
 結婚もしないで、仕事はやっと落ち着いてきたみたいで、ホッしたけどさ、あっお金ありがとね
 (車椅子をパンパン叩く)」
忍「なにが、ホっとしただ、そのいいぐさ自体が人をバカにしてんだよ、その人を見下したような
 その面・・・まぁいい近い内、驚かせてやるよ」
忠信「へー」
    微妙ににらみ合う二人。
    外からカンタが、けたたましく吠え出す声が聞こえる。
    二人の間に光るPC画面。

○ 大洋銀行内・○○本店
    店員、動きが慌しい。
支店長「またATMがダウンだって、何やってる」
    端末に向う女性店員。
女性店員「あっー」
    端末画面消える
支店長「どうした」
女性店員「システムダウンです」
    動揺する店員。
    騒ぎ出す客。
    落ち着かせようとする麻子。
    麻子も焦る。奥の支店長をみる。
支店長「ATMのお客さま、窓口の方で対応させて頂きます、申し訳ありません」
店員「支店長ロックされて、現金が出せません」
支店長「なんだって」
店員「支店長もう業務は無理です」
    怒鳴り出す、客も出てくる。
     
        ***第4夜へつづく***

Bank_of_shadow第4夜

***第4夜***
○ デパート内ATM
    ざっくり現金を下ろす忍。

○ (三十一年前)踏み切り前
    遠ざかる電車
    鳴り止む警報機
    遮断機が上がる。
    忍の母・百合、お腹はまだ大きくない。
百合「忍は、電車が好きね」
忍・少年「うん、大きくなったら電車の運転手になるんだ、そしたらお母さん
 乗せてあげるからね」
百合「はい、はい、楽しみにしてるわよ、じゃぁ今日はもう帰りましょ」
忍・少年「えーまだ、いたいよ」
百合「だめよ、早くしないと暗くなるでしょ」
忍「やだよ」
百合「困った子ね、じゃぁお母さんがおんぶしてあげるから、それなら
 イイでしょ、ね」
忍「えーうん、じゃぁイイよ」
百合「調子イイわね」
    百合におぶさる忍。
    警報機が鳴り出す。
    遮断機がおりる。

○ (現代)踏み切り前
    鳴り響く警報音。
    信号灯を見上げる忍。
忍「母さん、幸せになるよ」
    手には、ケーキの箱。

○ 建設現場・事務所内(夜)
    外から建設機材のエンジン音がゴーゴーと響わたる中、沖中が入ってくる。
沖中「おい、野島はどーした」
    壁かけのヘルメット置き場。
    忍のヘルメットの横に野島のネーム入りのヘルメットが、かけられている。

○ 美和アパート内(夜)
    食卓をはさむ、忍と美和。
    ちゃぶ台には、食べおわったケーキ。
    部屋の片隅に眠る美羽。
忍「なぁ」
美和「なーに」
忍「もっと、いい家に引越そう、な、金ならあるんだ」
美和「そう、お金あるの」
忍「そうだよ、ほら(カバンからごそっと札束をだす)」
美和「そうね、それなら、いい所に住めるかもね」
忍「そうだよ、世の中金だ、金があればなんでも手にはいるんだ」
美和「お金があればなんでも手に入るんだ」
忍「そうだよ、当たり前だろ」
美和「そう、じゃぁあなたのお母さんは」
忍「えっ」
美和「お母さんよ」
忍「どう言う意味だ」
美和「ごめんなさい、怒った(忍に抱きつく)わたしは、今のままでイイのよ、
 あなたも今のままでいて」
    忍、動かない。

○ 朝・満員電車内
    どこからか、いびきが聞こえる。
    乗客が不審そうにそちらに目をやる。
    長椅子に寝そべり酒の臭いをただよわせて寝ている男、沖中(現場監督)
    携帯が鳴り出す、しかし気付かず起きない。
    駅に到着。ドア開くと駅員が入ってくる。
駅員「お客さん、起きてください、お客さん」
沖中「ん? なに、あっあーゴメン夜勤明けなもんでね、いや、いや、すいませんでした。
 あ、そんじゃみなさん、失礼します」
    照れくさそうに降りていく。

○ 同・改札
沖中「すいませんねー」
    などと、駅員に愛想を使いながら出て来る。
    ふっと脇に視線をやると、うずくまる男の姿。
    沖中、その男をしばらく、じっと見る。
沖中「ん! あーあ、お前、こら、なにやってんだぁ」
    うずくまる男は、野島。
野島「うぅうーん」
沖中「お前、こんなとこで横になって、みっともない」
    後で駅員が笑っている。
沖中「ほら起きろ、野島」
    野島、すっと起きる。

○ スターバックス・内
    沖中、野島を連れている。
沖中「ホットコーヒー2つ」
店員「どちらにしましょうか」
沖中「だから、ホットコーヒーだよ」
店員「あっ色々ありますが(メニューをみせる・・・)」
沖中「あーなに、キャラメ、メルマキなんだこりゃ」
店員「キャラメルマキアートでよろしいですか」
    後に並んでいる高校生の女の子2人がクスクス笑っている。
沖中「ふざけんな、冗談じゃねー、おう、出るぞ」
    カッカと出て行こうとする沖中。
    まだ笑っている女子高生。
沖中、立ち止まり、振り返り女子高生に
沖中「お前ら、学校どうした(怒鳴る)」
    黙る女子高生。
    くるっと向き直り出て行く沖中。
    その後をよろよろとついて行く野島。

○ ダサ目の喫茶店
    コーヒーを飲み干す沖中。
沖中「なにやってたんだ、お前無断欠勤しやがって」
野島「はぁ、あのどうもスイマセンでした」
沖中「まったくもう、で、忍の家には、いったのか」
野島「あ、い、行ってない」
沖中「なんだ、行ってねーのか、俺はてっきり二人でサボってるんだと、
 ばかり思ってたぞ、文句ばっかで、やる気ねーお前らのことだからよ」
野島「い、いや、行きました。行きました」
沖中「ん、行ったのか、どっちなんだよ」
野島「あ、あの、いませんでした」
沖中「そっか、居なかったのか、しょうがねーな、ほんとに逃げたのかな、
 もうお前の金も返ってこねーかもな」
野島「あの監督」
沖中「あー」
野島「お話があります」
沖中「おう、どうした、あらたまって」
野島「俺、これから一生懸命働きます」
沖中「あーなに、いってんだ」
野島「本気です、俺、いままで、世の中舐めてました、こんな夜勤に回されて、
 休みも少ないし、給料も安いし先も見えないし、こんな仕事続けてたって
 もうしょうがないとか、色々勝手な事言って来て本当にスイマセンでした、
 俺これから心入れ替えます、おねがいします」
    沖中あっけに取られている。

○ (過去)病室
    ベッドで横になる忍の母・百合
    心配そうに見つめる忍の父・剣持守と忍少年。
    看護士が入ってきて
看護士「娘さんは、危険な状態は脱しました。しばらくは保育器になりますけど、
 もう心配はありませんよ」
守「ありがとうございます」
看護士「さきほど、先生からご説明があったように、お母様も2,3日で退院出来る
 みたいですから、よかったですね、僕よかったね」
忍少年「うん」
           ***第5夜へつづく***

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