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***第10話*** ○ 同日・学校からの帰り道・夕方 哀澤とレミン歩く姿。 哀澤、丸太を二つ抱えている。 レミンはカバンを二つ。 レミン「重くない」 哀澤「平気だよ」 レミン「今日ありがとね」 哀澤「出席番号、一番最後も中々悪くないだろ」 レミン「ふふ、そうかもね(空見つめ)あー夕日綺麗だね」 哀澤「ここ眺めイイな」 レミン「でしょ、ここの景色大好き」 哀澤「レミン毎日ここ通ってるんだもんな」 レミン「うんそう、夕日ってさ毎日景色違うんだよ、同じ景色だった事なんて一度もないんだ、不思議 だと思わない」 哀澤「そうだよなー不思議だよなーあっそれにさ、あの西の空をさ、地球の反対側から見てる人は、あ の空も全然違う景色に見えてるんじゃないか」 レミン「うん、うん、そうだよ、だって反対側の人からすると東の空だもんね、これから日の出だし」 哀澤「そうだよなぁ、あっ南側から見てる人も西側から見てる人も同じ空なのに違う景色に見えてるん だよなぁ」 レミン「そうそうだよ、なんかそれって凄くない、あっでもそれってさ、トーテムポールと一緒だね、 ほらだって、正面と後と右と左と全然、違う感じで見えるんだよ」 哀澤「あっそっかー」 抱えているトーテムポールを地面に置き改めて360度グルッと観察する哀澤。 哀澤「おーそうだよ、そっかぁそう言われるとトーテムポールって奥が深いよなぁ、よっしゃーすげ ーの作るそ」 レミン「ふふ」 ○ レミンの家・前 哀澤、レミンにトーテムポールを渡す。 哀澤「間に合いそうか」 レミン「うん、なんとか」 哀澤「卒業式の前の日に飾るんだぞ、間に合いそうになかったら俺に言えよ」 レミン「ううん、でも自分でやりたいの、これ自分でやり遂げられたら、卒業式も胸張って最後に卒 業証書貰える感じするんだ」 哀澤「そっか、割華レミン」 レミン「はい(元気に)」 哀澤「おう、イイじゃん」 レミン「へへ、じゃぁまた明日」 レミン、家の中に、 見送る哀澤。 ○ 教室 クラス全員、トーテムポール製作中。 哀澤の左隣りに座っている西岡沙紀のトーテムポールに目をやる。 哀澤「大分、出来たじゃんか」 沙紀「そうでしょ」 哀澤「でも、なんかお前のヤツ、顔が猿っぽいな」 沙紀「うん、そうなんだ、この前、レンタルでお父さんが「猿の惑星」借りて来てぇ、凄く面白く てさ、それから頭から猿が離れないんだよねぇ」 哀澤「・・そっそうか、あのメガネ、お前のに、かかってたんだな、欲しかったなーあの金髪はぁ」 引き続き右隣の広橋清吾の方を見るとあまり作品が進んでない、ニヤニヤしている。 哀澤「なんだお前、キモいんだよ」 清吾「なぁ哀澤知ってるか」 哀澤「なんだよ」 清吾「どっかの国の大様はさぁ、ハーレムっての作ってて、そこにいっぱい綺麗な女集めて、毎晩、 気に入った女をさぁ」 哀澤「あーあーもうイイよ、解かった、解かった、ふざけんな、お前のせいで、危うく切り取られる 所だったんだぞ、まったく、あー思い出すだけで、ぞっとするよ(股間を押える)」 ○ 教室・夕方 哀澤とレミン、二人残って作業中。もう完成に近い。 レミンのトーテムポールは鮮やかに両方に翼を湛えている。 哀澤のトーテムポールは砂時計のような形状で真ん中がくびれた形。 どちらも特徴のある作り、 レミン「もうすぐだね」 哀澤「あぁ、もうちょっと」 ○ 哀澤の部屋・深夜
哀澤トーテムポールの目の部分を紙鑢で削っている。 オモチャのメガネをトーテムポールにかけて見る。 哀澤「ふん(クスッと笑う)」 ***第11話へ続く*** |
トーテムポールのメガネ屋さん
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***第11話*** ○ 教室 多少作業が遅れている生徒もいるが、みんな大体完成している。 哀澤とレミンも鮮やかに彩られたトーテムポールにニスを塗っている。 牧野「割華、綺麗に出来たなー遅くまで残って頑張ってたもんな」 レミン「はい、これで明日もう一度ニス、塗ったら完成ですよ」 哀澤「よっおめでとう」 哀澤「パチパチ」と拍手。それが呼び水となり教室中が拍手に包まれる。 笑顔のレミン。 一人、拍手をしない順平。 ○ 教室・夜 暗闇に並ぶトーテムポール ガラガラとドアが開く、人影。 ○ 教室・次の朝 一ヶ所を囲むようにみんな集まり、ざわついている。 その中心にレミンのトーテムポール。 翼が片方、折られている。 ○ 同日・教室
みんな鎮痛な表情で席についている。 レミン、放心状態。 A「誰がやったんだよ」 B子「やめなよ、はい、私がやりましたなんて、ここで言う訳ないでしょ」 C子「そうだよ、それに3年生がやったかどうかわかんないじゃない」 D「でも、困ったなー今からじゃ間に合わないし」 順平「別に翼が折れただけだろ、翼取っちゃえば、みんなと同じになるだけだろ、おかしくねーよ」 D「・・まぁ確かに・・そう言われればそうだな」 C子「そうだね、もう飾るの明日だし」 しばしの沈黙。 哀澤「いいのか、レミン」 順平「いいも悪いもないだろ、かっこつけんな」 哀澤、キッと順平を睨む。 レミン「(搾り出すように)やっぱり誰もみてくれない、割華なんて苗字いや、やっぱり誰もみてく れない」 哀澤「レミン」 レミン「私、今から作り直す」 B子「作り直すってレミン、いまからなんて無理だよ」 レミン「やるの」 ざわつく教室内。 哀澤「よし、じゃぁみんなでやろう」 B子「えっ」 哀澤「みんなでやれば、なんとかなるよ」 D「みんなでかぁ出来るか」 C子「やって見る?」 A「うーん、よしじゃぁやってみるか」 哀澤「よし、決まりだ、みんな各自作るパートを決めよう、レミンは顔を作ってくれ」 A「じゃぁ丸太探してこなきゃよ」 レミン「やめて、やめてよ、私が作らなきゃ意味ないじゃない、みんなで作ったって私のじゃない、 私が自分でやらなきゃ意味ないじゃない」 C子「レミン気持ちは、解かるけどさぁ」 哀澤「レミン、みんなでやるんだよ、お前、もうちゃんと作ったじゃんか、お前が頑張ってたのみん な見てたし、お前の作品のよさだってみんな知ってるじゃないか」 レミン「そんなのただの慰めじゃない、飾れなきゃ意味ないよ(涙)」 哀澤「だから、お前が立案した、あーいや、もっと中学生ぽい言葉ないかな、お前が創作した、うー んいや、お前が考えたトーテムポールをみんなで作るんだよ、ほらなんでもそうだろ、家作るのだ って設計する人がいて、大工さんがいて電気通す人がいて、あとほらそうペンキ塗る人がいてって、 ちゃんと役割分担があるんだよ、それでさ、完成した家には、最後設計者の名前が入るんだぜ、そ れがさレミンお前なんだよ」 レミン「・・・」 哀澤「一人でやれる事には限界がある俺はいままでの人生でそれをいやってほど経験したんだ、イイ 大学に入れば、イイ会社に入ればそれで道は開けるってそう思ってた、でも違った、会社のくだら ない派閥の争いに巻き込まれてリストラに会うし、カミさんだって俺が仕事仕事で体いっぱいの間 に男作って出て行くし、やっぱり大切なのは、ココだよ、ココ(胸を抑える)」 レミン「・・・」 哀澤「ハートさ、ハート、ココに訴えかければ、みんなの心は動くもんだ、つまり仲間だよ、辛い時 追い込まれた時、やっぱ信頼出来る仲間がさ、仲間が必要なんだ・・間違いないって。お前の作品 をさ、最後にみんなで作るんだよ、これがホントの卒業制作だろ」 レミン「・・」 D「・・でもさ、こんな小さいトーテムポールじゃぁみんなで寄って集って作るの大変じゃないか」 B子「それもそうねーじゃぁ、もっとデッカイの作っちゃう」 D「デカイのって、でも相当デカくなるぞ、それなら」 C子「じゃぁさぁもう、外で作っちゃうか」 哀澤「おーそうしよう、じゃぁ行こうぜ、レミンみんなに指示出してくれよな」 レミン「う、うん(笑顔)」 A「よーし。行こうぜ」 みんな教室から出て行く。 あっと言う間にガランとなる。 窓の外にみんなの姿。 裏山に走って行くのが見える。 牧野先生、入ってくる。 牧野「あら、みんなは?」 順平「外、見たいです」 一人教室に残る順平。 ***第12話へ続く*** |
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***第12話*** ○ 校舎裏 何処から持って来たのか4メートルほどの太い木柱の前にレミンのトーテムポールを置きそ れを見ながら、みんなで作業中。 哀澤ハシゴに上り柱のテッペンを削っている。 視界の先にこちらを見ている順平の姿。 順平、哀澤の目線に気付き去っていく。 哀澤ハシゴを降り、Aに声をかける。 哀澤「あっ悪い、ちょっと上頼む」 順平を追いかける。 ○ 校門 出て行く順平。 哀澤「順平」 無言で立ち去ろうとする。 哀澤「待てよ、お前がやったんだろ」 順平「(振り向く)なんだと証拠でもあるのか」 哀澤「証拠でもあるのか・・か、そう言えば、昔は、よくそんな口の聞き方してたよな、お互い証拠 って意味もよく解かってねーくせにさ」 順平「なんだテメェ」 哀澤「なんで、俺のをやらなかった。将来、村長になるお前が、なんでだ」 順平「・・」 哀澤「なんでレミンのを、アイツがんばってたの解かってただろ」 順平「俺じゃねーって、言ってるだろ」 哀澤「村長いい加減にしろ! お前、レミンが好きなんだろ」 順平「ふっふざけるな」 哀澤「俺の提案でレミンが翼付けたのが気に入らなかった」 順平「なんだと」 哀澤「翼が片方折れれば、もう片方を取れば済むと思った」 順平「・・」 哀澤「俺の案とは違う普通トーテムポールが出来上がる」 順平「・・」 哀澤「でも、レミンは作り直すと言い出した、しかもまた俺の提案が元でみんなが作業をはじめて」 順平「うるさーい、なに勝手に想像してんだ、お前頭おかしいんだよ」 哀澤「俺だって、だてに年食って来た訳じゃねーんだよ、それなりに人生経験重ねて来たんだ、中坊 の考え位わかるんだよ」 順平「ばっばか、お前は」 哀澤「レミン放って帰るのか、イイのか、もう卒業だぞ」 順平「うるさい、お前のをやろうと思ったら、間違えてレミンのになっただけだ」 哀澤「そうか、じゃぁレミンには黙っとくからさ、戻ろうぜ」 順平「そうじゃねー俺はまだ、お前のトーテムポールを飾るのを認めてねーんだぞ、ぜったいお前の なんか飾らせねー」 哀澤「順平(なに言ってるんだと言った表情)」 順平「俺と勝負しろ」 哀澤「はっ」 順平「ついて来い」 哀澤「・・・はぁ(ため息)」 ○ 山間のつり橋の上 哀澤の眼の前には広大な緑。 哀澤「ここって、まさかあの時の・・」 隣りに順平。 順平「壇、これを両足に巻け」 順平、哀澤にロープを渡す。 哀澤「(小声)マジかよ」 × × × × × 両足にロープぐるぐる巻きの状態で橋の淵に立つ、哀澤と順平。 哀澤「あの、黒い影、お前だったのか」 順平「なにごちゃごちゃ言ってんだ、ビビってんのか」 哀澤「ビビってねーよ、(小声)だってよ、この世界は現実じゃねーんだ(自分に言い聞かせる)」 下を見るとあの時と同じ激流。 哀澤「げ現実じゃぁねーんだよな、たぶん」 順平「早くしろ」 哀澤「うっ(声を押し殺す、覚悟を決めたのか勝負の目になっている)」 順平、哀澤の背中を「ドン」と押す。 落ちて行く順平。 追いかけるように順平もダイブ。 ○ つり橋・下 哀澤のロープがピンと伸びる、すぐ下は激流。 続いて順平のロープも伸びきり、哀澤と順平逆さ吊り。 ○ つり橋・上 ロープを巻きつけた、二人の木造手すり部分が、きしむ音。 ○つり橋・下 順平「俺が勝ったら、お前のトーテムポールは飾らせない」 哀澤「俺が勝ったら、レミンのトーテンポール手伝えよ」 順平「けっ」 順平ポケットから石を出す。 順平「これが川に落ちたらスタートだ」 順平、石を手から離す。 ストップモーションで落ちて行く石。 石が水面に落下「ボシャン」 思いっきり頭を起こす。 足首のロープに捕まる二人、 腕の力だけでロープを伝い上がって行く二人。 順平が少しリード。 哀澤追いすがる。 順平また少し離す。 哀澤また追いすがる。 追いつく。 ○ 同・上 ロープを巻きつけた木柱の片方に、メキとヒビがはいる。 ○ 同・中間点 少し動揺する順平。 二人、目が血走る。 哀澤少し前に出る。 ○ 同・上 ロープを巻きつけた木柱の片方、バリと「くの字」に折れる。 ○ 同・中間より少し上 残り2メートル、1メートル、哀澤勝利か! と順平のロープを巻きつけている橋の木柱が「バキッ」と折れる。 落ちる順平「わーーー」 哀澤「順平(絶叫)」 哀澤、慌ててロープから手を離し、落下、 ○ 同・下 宙吊りの哀澤。 順平を探す。 哀澤「順平ぇぇぇぇ」 下流で順平の顔が水面に出てくる。流されている。 哀澤、ロープをほどこうとするが、取れない、咄嗟にベルトを緩め、ズボンを脱ぐ。 激流に落下して行く哀澤。 ***第13話へつづく***
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***第13話*** ○ 下流・川原
水の流れは穏やか。 下半身パンツの哀澤、順平を抱え川を上がって来る。 順平を寝かせ、腰を降ろす。 哀澤「へぇ、あー疲れた」 気絶している順平を見て、 哀澤「人騒がせなヤツ」 哀澤、小石を川へ投げる。 「ボチャッ」 順平が目覚める。 順平「ううん」哀澤「お疲れ、村長さん」 順平「(体おこし)お前が助けたのか」 哀澤「この状況から見ると、それしか考えらんねーよな」 順平「なんだよ、オヤジ臭いイヤミなイイ方だな」 哀澤「そっかそんなオヤジ臭いかぁ」 順平「あぁ小5の時の担任の寺木見たいだ。あいついちいちムカツクんだよ。こんな問題も出来ねー のか脳ミソあるのか、とかよ、いちいち殴りやがるしよ」 哀澤「おーアイツ、気に食わなかったよな、俺の席来てよ、カバン勝手に開けてノートと教科書机に ぶちまけてさ、こんなノートの取り方で勉強なんか出来るのかとかよ、ホントあれムカツイタよ、 片付けもしねーでよ」 順平「おう、あれは酷かったよな、なんか俺も見てて頭来たよ。でもさ、お前泣かなかったよな」 哀澤「あぁ、あんな粗大ゴミ見たいな先公のせいで泣いてたまるかってんだ、まぁ今にして思えば、 寺木もあんときは、20代前半のただの公務員だからな、世間しらずのガキだったんよ」 順平「でさ、その次の日さぁ」 哀澤「あー正露丸な」 順平「そう、そう、正露丸」 哀澤「寺木の弁当に入れたよな」 順平「あの寺木が弁当箱開けた時の顔、傑作だったよな」 哀澤「そうだよ、教室中に正露丸の臭いが充満してな」 順平「寺木のヤロー、顔真っ赤にして吠えたよな、誰だーってよ」 哀澤・順平大笑い。 哀澤「でも、あの白いご飯の所にさ、隙間なく正露丸入れるの大変だったよな、時間もなかったし」 順平「ありゃ、中々芸術品だぜ」 哀澤「それから、しばらく正露丸攻撃続けたし」 順平「アイツの机の中だろ、あと車の中」 哀澤「あとほら、下駄箱」 順平「おう、靴の中な」 哀澤「寺木しばらく、引き出し開けるのも靴履くのも、ビビってもんな」 哀澤・順平またまた大笑い。 順平「腹、痛っ」 哀澤「あーもう、だめだ」 順平「結局、次の春、あのヤロー移動したし」 哀澤「ざまーみろって」 一頻り笑って、落ち着く二人。 軟らかく流れる川のせせらぎ。 哀澤「なんか懐かしいな」 順平「あぁもう4年前の話だもんな」 哀澤「ん! 4年(微笑)そうか4年か・・俺は何年前になるんだろ・・」 順平「・・レミン」 哀澤「ん? 」 順平「レミン、頼むぞ」 哀澤「はっ? 」 順平「俺、諦めるからさ」 哀澤「・・なんで」 順平「レミンは、まかせた、幸せにしろよ」 哀澤「あっそうだよ、レミンなんて子、ホントに居たか?」 順平「・・・なに言ってんだ、ここんとこ、ずっとイチャついてただろ、アホか」 哀澤「いや、そうじゃなっくってさ、その実際の話だよ」 順平「はっ? ん! あぁそう言うことか、転校生だった話だろ」 哀澤「転校生!」 順平「小6の時、寺木が消えた後」 哀澤「小6の転校生、居たかな、思い出せない」 順平「俺さ、実はその時からレミンに一目惚れでさぁ」 哀澤「へぇお前、そんな事、一言も言わなかったじゃねーか」 順平「・・レミンが、ずっとお前の事が好きだったのは解かってたからさ」 哀澤「そんな事、わかんねーじゃんか」 順平「バカ言うな、俺はずっとレミンを見てたんだ、そんな事位、解かるんだよ。この前もレミンが お前のカバンの中に手紙入れてるの見ちゃったんだ、どれだけショックだったか、お前に解かるか」 哀澤「・・・」 順平「解かんねーだろうなぁ」 哀澤「(小声)何処までが、ホントの世界の話なんだ」 順平「なんだ」 哀澤「何処までが、昔のホントの話で何処までが、空想の話なのか解かんないだよ」 順平「はっ?」 哀澤「まぁイイや(立ち上がる)学校、戻ろうぜ」 順平「・・あぁ・・」 哀澤、向こう岸に以前、無くしたズボンを発見。 哀澤「あー」 哀澤、慌てて川を渡り出す。 順平「おい、どうした」 哀澤「ズボンだよ、ズボン」 ○ 向こう岸 哀澤、中学生の自分よりもかなりデカい、ズボンを広げてマジマジ見る。 哀澤「あったよ」 ズボンのポケットをまさぐると、車のキーが出て来る。 哀澤「おし、おし、あっ携帯」 辺りをキョロキョロ探す。 向こう岸から順平が叫ぶ。 順平「おーい、なにやってんだ」 哀澤「ん! あーおー先に行っててくれよ」 哀澤、探し続けるが、携帯はない。 哀澤「はぁ」 順平の声「ところでよう、お前、なんでパンツなんだ」 哀澤「遅せーよ」 ***第14話へ続く*** |
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***第14話*** ○ トーテムポール店内 哀澤、大人の姿、手にはズボン。 おばさんがメガネを剥ぎ取っている。 哀澤「あっ」 おばさん「楽しかった」 哀澤「あぁかなり、でもレミンなんて子ホントに居たかな、居たような気もするけど」 おばさん「確かめて来れば」 哀澤「えっ」 おばさん「車のキーも戻ったんでしょ」 哀澤「あぁそうだな」 おばさん「あっと、それから、ハイ」 おばさん、哀澤が作ったトーテムポールを渡す。 哀澤「(驚き)えーなんでこれって、だって実際は・・」 おばさん「まぁイイからこれはあんたが作ったんだよ、ついでに学校に置いて来たら」 哀澤「おう」 ○ 現在の中学校校舎裏 哀澤、歴代の卒業生のトーテムポールを見上げる。 段を登って行き、一番左に空いている自分のスペースにトーテムポールを置く、 心身ともに晴れやか、 ゆっくりと右に向って歩き出す、 右端に辿り着く、 一番右端にトーテムポールが置かれていない。 哀澤「レミン・・」 後から用務員のおじさんの声。 用務員のおじさん「すいませーん、どなたですか」 哀澤「あっ、おじさん、あーなんか老けて、あっごめんなさい、あっあのー十九年前の卒業生なん です。懐かしいなーって思って」 用務員のおじさん「なんだそうかい、そういう卒業生が着てくれるのが一番うれしいよなー」 哀澤「そうですか、そう言えば、そんな事、言われてましたね」 用務員のおじさん「えーそうだったかい」 哀澤「これ見るともう卒業制作のトーテムポールやって無いみたいですね、俺達の下は四段しかない から」 用務員のおじさん「うーん、もう最後のは十五年前だな、上の方のは結構傷んできてるし落ちて来たら かなり危ないんだこれが、まぁ今年でこの丘も取り壊し決まった事だし、でもそう思うと寂しいけど なぁ、」 哀澤「取り壊す? 取り壊すって、ここのトーテムポール達をですか」 ○ 現在・レミンの家・前 哀澤、表札の前、違う名字。 哀澤「やっぱ、架空の子」 ○ ドでかい門構えの家 表札には「司順平」 ○ 同・居間
大人の順平と哀澤、ソファーに腰掛けている。 順平、タバコに火をつける。 哀澤「なぁ村長」 順平「おい、その村長って言うのよせよ、俺とお前の中だろ」 哀澤「じゃぁ順平、なんでトーテムポール壊すんだ」 順平「ん! あぁあれな、もう老朽化して崩れる恐れがあるから、撤去するんだ」 哀澤「トーテムポールは処分するんだって」 順平「あぁ校舎裏の物置に押し込むって案もあったんだけどな、あの物置は物置で他が使いたいみた いだし、倉庫作るのもお金かかるしさ、それなりに維持費も居るんだぜ、色々みんなで検討した結 果こうなったんだ、地元の卒業生も納得してるんだぞ」 哀澤「でもよ、なんとかなんねーのか、トーテムポール達にだって魂宿ってるんだぜ」 順平「はっ? お前、大丈夫か、あっそれにお前トーテムポール作らなかったろ、覚えてるぞ」 哀澤「すっすまん、反省してるよ、だからさ、俺、今、作って置いて来たんだ」 順平「なにを」 哀澤「だからさ、トーテムポール」 順平「なに考えてんだお前」 哀澤「やっぱさ、俺達の代のが全部揃わないとカッコつかないと思ってさ」 順平「そっか、なんかよく解からんが、イイ話しのような・・・でもだ哀澤、お前が置いても、全部 揃った訳じゃないんだよ」 哀澤「どう言う事」 順平「一番、右端が開いてるんだ」 哀澤「レ、レミン」 順平「・・・そうレミン」 哀澤「あーやっぱレミン、本当に居たんだな、実在したんだな」 哀澤、順平に詰め寄る。 順平「なっなんだよ、あたり前だろ」 順平、哀澤を軽く払いのけ、ちょっと感傷に浸り気味に、 順平「じゃぁイイ機会だから、俺の初恋の話でもお前に聞かせようか」 哀澤「(またかよって感じで)レミンが好きだったんだろ」 順平「えっ(なんで)」 哀澤「小6の時、転校生してきたレミン見て一目惚したんだろ」 順平「えー知ってたのかよ、俺誰にも話してないハズだぞ」 哀澤「ホントの話なんだ」 順平「ん?」 哀澤「でもレミンは、ずっと俺の事が好きだった」 順平「あぁ」 哀澤「そして、中学の卒業まじかに、レミンが俺のカバンに手紙を入れたのを見た・・」 順平「なんだ、全部お見通しか・・・レミンがお前のカバンに手紙入れてるの見ちゃった時が、どれ だけショックだったかお前に解かるか」 哀澤「全部、ホントの話なんだな・・」 順平「解かんねーだろうなー」 哀澤「・・・」 ***第15話へつづく*** |


