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北京までは、飛行機で一時間。列車なら夕方に乗車すれば、早朝には着くほどの距離だ。
故郷を後にして、北京に向かうとき、夜行列車に乗ることにした。
学生時代、何度も利用した列車の線路沿いの景色、途中の小さな駅の一つ一つ、駅に止まるたびに、薄暗い駅の明かりの先から近付いてくる売り子達の元気な声、ゆで卵、ニワトリの丸焼き、焼トウモロコシ・・・売り子達は実に色々なものを売り歩いていたものだ。記憶が蘇って、無性に懐かしくなった。
ホームまで見送りに来てくれた友人達に手を振りつつ、目に映る故郷の街が段々小さくなっていく。ようやく振り向くと、昔と比べ物にならないほど清潔な車中で、ちいなさ出会いが待っていた。
偶然とはあるものだ。
帰省を終えて北京に戻る三人家族の大黒柱が、言葉を交わしたら、同じ小学校の同窓生で、友人のまた友人と分かった。今は北京のとある高校で教諭を務めているという。しばらく小学校の話や、子供の頃の話に花を咲かせた。
その一人娘が可心という。奇しくも私のいとこの一人と同じ名前だ。
PSPの最新機種を色違いで2台も所持しているという大のゲームファン。ちびまるこちゃんもクレヨンしんちゃんばかりか、私の知らないアニメの主人公の名前を次々と挙げて、驚かせてくれた。
お人形の着せ換えが楽しめるお絵描きノートを持ち歩き、オシャレなコーディネートをとっかえひっかえをしては、私のコメントを求めてきた。
おやつ代わりにキュウリをぽりぽり齧って、あっという間に2本もおなかに消えてしまった。駅に到着するたびに、駅名を一生懸命調べ、ノートに綺麗な字で書き留めた。
家にはいとこのお兄ちゃんを一人預かっており、そのお兄ちゃんと大の仲良しだということもこっそり教えてくれた。
とても可愛い女の子だった。
「阿姨再見!」
ピンクのカーディガンを羽織った可心は北京駅のホームで、手を振り振り、足早に歩くお父さんの後ろを追いかけていった。
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