日本バプテスト川越キリスト教会 Baptist Kawagoe

加藤享牧師,山下誠也協力牧師の礼拝説教・教会週報のメッセージ、イベント・行事案内

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[聖書]コリントの信徒への手紙一 2:1〜5
兄弟たち、わたしもそちらに行ったとき、神の秘められた計画を宣べ伝えるのに優れた言葉や知恵を用いませんでした。 なぜなら、わたしはあなたがたの間で、イエス・キリスト、それも十字架につけられたキリスト以外、何も知るまいと心に決めていたからです。 そちらに行ったとき、わたしは衰弱していて、恐れに取りつかれ、ひどく不安でした。 わたしの言葉もわたしの宣教も、知恵にあふれた言葉によらず、“霊”と力の証明によるものでした。 それは、あなたがたが人の知恵によってではなく、神の力によって信じるようになるためでした。

[序]神の知恵であるキリスト
パウロが有力な協力者たちと共に、2年近く腰を据えて伝道し、コリント教会が誕生しました。しかしコリント教会には、パウロが去った後で、一致を乱す様々な問題が発生しました。パウロは、生みの親として幾度も手紙を書き送ったり訪問して、健全な教会に成長するよう心を砕きました。

パウロは、コリント教会が現在どれほど問題を抱えていても、イエス・キリストによって召されて聖なる者とされた人々の群れ、神の教会であること、したがって神さまがしっかり支えて、非のうちどころのない教会にしてくださることを信じて、先ず感謝しています。その上で教会内の一致を勧めるにあたってパウロは、神の力、神の知恵である十字架のキリストを指し示しました。

TVの「水戸黄門」は40年経っても今なお毎週続いている人気番組です。悪人どもとの最後の大立ち回りの最中に、格さんが差し出す印籠に輝く葵の紋所。天下の副将軍水戸光圀公の前に一同がひれ伏して、良民を苦しめる権力者の悪が裁かれるどんでん返しの痛快さが、人気の秘密です。

ところがイエス・キリストの十字架は全く対照的です。ユダヤ教の権力者や野次馬たちが叫びました。「他人を救ったのに自分を救えないのか。イスラエルの王なのだろう。それなら今すぐ十字架から降りてこい。そうしたら信じてやろう」この場面でも、葵の紋所が求められています。しかしイエス・キリストは6時間にわたる断末魔の苦しみの果てに、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」と大声で叫びながら死んでいかれたのでした。ところが死刑を執行したローマ兵の隊長は思わず言いました。「本当にこの人は神の子だった」

水戸黄門が、副将軍の権威と栄光を現わすことによって、正義を打ちたてると考えるこの世の知恵。無残な敗北にしか見えない十字架のキリストから救いをもたらすとする神の知恵、神の力。十字架の死を愚かと見るこの世の知恵は、神を知ることが出来ないと、パウロは言いました。そして、十字架のキリストから、コリント教会の抱える問題の解決を、共に考えていこうとしたのでした。

[1]病弱を身に負いながら
パウロはギリシャの大商業都市コリントで伝道を開始した時の自分の状況をこう語ります。「そちらに行ったとき、わたしは衰弱していて、恐れに取りつかれ、ひどく不安でした。」(2:3)パウロは気力・体力ともに充実した状態でコリント伝道を開始したのではなかったと言っています。しかし心身が衰弱状態だったからこそ、「十字架につけられたイエス・キリスト以外、何も知るまいと心に決めて」宣教に打ち込んだのでした。

コリント教会への手紙兇諒では、パウロは自分の心身の状態について、このように語っています。「わたしの身に一つのとげが与えられました。それは、思い上がらないように、わたしを痛めつけるために、サタンから送られた使いです。 この使いについて、離れ去らせてくださるように、わたしは三度主に願いました。」(12:7〜8) 「とげ」とは杭とか鋭く尖った木の槍を指す語だそうです。激しい痛みを与える持病ではないかと言われていますが、病名ははっきりしません。サタンは人間を苦しめる働きをします。神さまの仕事をする上で、妨げになる苦痛にパウロは悩まされていたと言っています。

彼はその苦痛を去らせてくださいと、幾度も祈りました。しかし神さまの答えは「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」でした。彼は身のとげを取り除いていただけなかったのです。その苦痛を生涯背負って生きたのでした。しかしその病弱さの故に、十字架のキリストをしっかりと宣べ伝えることができたと言っているのです。

そうです。十字架のキリストは、イザヤの預言そのものの苦難の僕だったからです。
「彼は軽蔑され、人々に見捨てられ、多くの痛みを負い、病を知っている。」「 彼が担ったのはわたしたちの病、彼が負ったのはわたしたちの痛みであったのに、わたしたちは思っていた、神の手にかかり、打たれたから、彼は苦しんでいるのだと。」

「 彼が刺し貫かれたのは、わたしたちの背きのためであり、彼が打ち砕かれたのは、わたしたちの咎のためであった。彼の受けた懲らしめによって、わたしたちに平和が与えられ、彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた。」

「そのわたしたちの罪をすべて、主は彼に負わせられた。」「わたしの僕は、多くの人が正しい者とされるために、彼らの罪を自ら負った。」「彼が自らをなげうち、死んで、罪人のひとりに数えられたからだ。多くの人の過ちを担い、背いた者のために執り成しをしたのは、この人であった。」
パウロはコリントの町に入って行った時の「衰弱していて、恐れに取りつかれ、ひどく不安な自分の心身の状態」を、苦難の僕と重ね合わせて受け取り、十字架上のイエス・キリストを、この自分と共に居て下さるお方として、身近に覚えることが出来たのではないでしょうか。

神さまは、キリストに私たちの罪のすべてを負わせ、罪人の一人として死なせて、背いた者のための執り成しをおさせになりました。キリストが打ち砕かれたのは、私たちの咎のためでした。キリストの受けた傷によって、私たちは癒されました。そこでパウロは、「わたしは弱さ、侮辱、窮乏、迫害、そして行き詰まりの状態にあっても、キリストのために満足しています。なぜなら、わたしは弱いときにこそ強いからです」(コリント12:10)と語ることができたのです。

[結]十字架の弱さの中に働く恵み
民主党の小沢幹事長の秘書を勤めた3人が、政治資金規正法違反で逮捕されました。鳩山政権の屋台骨を背負って立つ実力者。自分にはやましい点はないと検察側と全面対決の姿勢です。彼の家には民主党の議員166名が新年の挨拶に集まったそうです。余ほどの能力のある人物なのですね。政治は力で動きます。力は人数、資金、頭脳、心身の強さ等の優れている者が生み出します。強さが鍵となる世界でしょう。

コリント教会の内にも、パウロ派・アポロ派・ペトロ派・キリスト派等と言う派閥が生まれて、互いに張り合い、一つに結ばれた交わりが崩れていきました。矢張り力のある人の名前を掲げて徒党を組み、強くなろうと競う動きが教会にも出てきたのです。そこで教会生みの親であるパウロは、十字架につけられたキリストに帰れと叫んだのでした。

人々の嘲りのなかで、激しい死の苦痛に耐えておられるイエス・キリスト。弟子たちは逃げ散ってしまいました。大勢の子分を従えて戦う勇ましさなど、微塵もありません。弱さと低さの極みにお立ちです。でもそれが、すべての人を差別なしに真実に愛し、赦し、受け入れる神さまの愛のお姿だったのです。このお方だけは、どんなことがあっても私を見捨てず、最後まで一緒に居て下さるのです。

医者になったTさんの経験を読みました。難病におかされて死を待つばかりのおばあさんが、診療にやってきて「私の介護のために仕事をやめた息子に申し訳ない」と涙を流し「死ぬのが怖くて仕方がない」と訴えました。Tさんは一瞬言葉を失い、「私も死ぬのが怖い。私だって同じなんです」と言葉を振り絞るように答えました。ところがその後で、おばあさんに大きな変化が起りました。

しばらくしてTさんが老女のもとを訪ねると、おばあさんが「死ぬのは仕方がないと思うようになりました」「今は私の世話をしてくれる息子や貴方への感謝の気持ちでいっぱいです」と答えたのでした。死を目前にしているおばあさんが感謝を口にしたのでした。新しい薬を飲んだわけでもなく、体調が急に良くなったわけでもなく、何一つ変わっていないのに、Tさんの共感の言葉が「死」でさえも受け入れる心を生み出したのでした。

十字架にかかり苦しむキリストは、体に刺さるとげの痛み、パウロの病弱を一緒に苦しみ、その痛みを耐えて下さっています。もっと良く働ける体になりたいと強く願うパウロの耳に「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ、十分に発揮されるのだ」という声が聞こえてきます。

パウロは悟りました。「あなたの力がわたしの病弱さの内に宿るために、大いに喜んで自分の病弱さを誇りましょう」「わたしは弱さ、侮辱、窮乏、迫害、行き詰まりを、あなたのために喜びます」これが霊と力の証明と言われるものです。

コリント教会の中にも、また川越教会の中にも、パウロが霊と力によって聞きとり、懸命に宣べ伝えている十字架のつけられたキリストの言葉が、はっきりと聞き取られていくならば、弱さの中に働く恵みを感謝し、「弱さ、侮辱、窮乏、迫害、行き詰まりを、あなたのために喜びます」という言葉が聞かれるようになるに違いありません。十字架のキリストのこの恵みを証する信仰生活を送って参りましょう。


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