日本バプテスト川越キリスト教会 Baptist Kawagoe

加藤享牧師,山下誠也協力牧師の礼拝説教・教会週報のメッセージ、イベント・行事案内

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201377日川越教会
        人を生かす言葉(後半)
              加藤 享

 
[2] 言葉かけの大切さ
 
 青年時代に、重い心身の障害児の施設「島田療育園」を見学しました。7才から13才位の子どもたちがベットに寝かされていました。自分で手を使えない。歩けない。しゃべることも出来ない。ただベットの上にごろんと寝かされているだけの子どもたちでした。部屋がシーンと静かで、子どもの部屋とは思えません。
 
 そこへ看護師さんがにぎやかに入ってきて、「○○ちゃん さあお散歩しようか」と一人の子をおんぶして、部屋の中を歩き始めました。すると今まで無表情だったその子が活き活きとした子どもの顔になりました。「今日は!お元気ですか」と看護師さんが、背中を傾けて、その子の顔を隣のベットの子の顔に近づけて、ご挨拶をさせました。すると二人ともニコッと笑うのです。
 
 看護師さんの話によると、いろいろ話しかけながら、ゆっくりご飯を食べさて上げるのを、子どもたちが一番喜ぶのだそうです。看護師さんの手記にこうありました。「この子たちでも、食欲だけでは満足しないものを持っている。この子たちが求めているのは、私たちの言葉かけ。心のこもったお相手なのだ。この子たちは人間らしく生きるために、この言葉かけを必要としているのだ」
 
 札幌の聾学校幼稚部の佐藤先生が「うちの子だって聞こえるよ」という本を出しました。それを読みますと、「同じ両親の許で育っている兄弟でありながら、耳に障害があって言葉の聞こえにくい子どもは、良く聞こえる子よりも知識が少ないばかりか、自分勝手で性格にゆがみのみられる場合が多い。どうして同じ親に育てられながら、そのように違ってくるのだろうか。大きな原因は、母親がどうせこの子は聞えないからと諦めて、言葉かけをしなくなってしまうからではないか」とありました。
 
 母親は、まだ言葉がよく理解できない赤ん坊に、おしめをかえ、乳を飲ませ、あやしたり、寝かせたりしながら、毎日何百回となく話しかけます。「育児とは、たゆまない我が子とのおしゃべり」と言われている通りです。赤ん坊は言葉を全く持たないで生まれてきます。しかし何かにつけて語りかけてくれる母親からの言葉が、体の中にどんどん注ぎ込まれることによって、やがて一杯になり、溢れ出るようにして、口から言葉が出るようになるのだそうです。
 
 こうして言葉を身につけていきながら知識を増やし、言葉で考え、言葉で自分の意志を伝え、言葉で決意して行動を起こすようになっていきます。そこで言葉が貧弱な人は、他の人とうまく交われないばかりでなく、思想も貧弱になり、実践力も乏しいと言われるようになっていくのだそうです。札幌聾学校幼稚部の先生は、「耳に障害があっても、耳のよく聞こえる子ども以上に言葉かけをして上げてほしい。そうしたら豊かな人格の人に育っていきます」と訴えていました。
 
[3]  神の口から出る一つ一つの言葉で生きる
 主イエスはおっしゃいました。「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」 そこで先ず、私たち人間の口から出る言葉であっても、私たちが人として生きていく上で、言葉がどれほど大きな素晴らしい力をもっているかを、身近な例からお話しました。次に神さまと私たちとの関係に於いて、言葉を考えてみることにいたしましょう。
 
「人は神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」――ここには、神さまは私たちに、言葉をもって語りかけてくださるお方だという信仰があります。今私たちが守っている礼拝を見てみましょう。賛美歌、祈り、聖書朗読、説教と、どれも言葉を媒介にした神さまとの交流で組み立てられています。特に聖書によって神の言葉が朗読され、その聖書の言葉の説き明かしとしての説教が、礼拝の中心にあります。皆さんは説教を通して、聖書の言葉を深く聞きとり、祈りや賛美歌で応答しつつ、この一週間を生きていこうとしておられます。
 
宗教によっては、荘厳な儀式供え物を捧げることを中心にした信仰とか、護摩をたいてお経を読みつつ祈りをささげる信仰、厳しい戒律を守り、修行善い行いを積んでいく信仰とかいろいろあります。その中でキリスト教信仰は、神さまが私たちにお語りになる言葉を、聖書から聞きとり、その言葉を食べて、養われ、生きていく 信仰と申せましょう。
 
これは「神は愛の神さまだ」という信仰に基づいているからにほかなりません。 
真実の愛は、愛する相手の自由・自主性をどこまでも尊重します。自分の思いを一方的に相手に強制し、自分の思い通りに相手を動かそうとする愛は、相手を真実に愛している愛ではありません。言葉で愛を伝え、言葉で愛の絆を結び、愛を育てていく――ここに真実の愛があるのではないでしょうか。
 
 神さまは、聖書の言葉に基づく私の説教を通して、今皆さん方お一人お一人に語りかけておられます。しかし皆さんはその語りかけを聞かない自由をお持ちです。また聞いても、それに応答しない自由をお持ちです。会社ではそうはいかないでしょう。上司の指示はしっかり聞かなければなりません。そして言われたことは必ず実行して、結果を出さねばなりません。
 
 しかし神さまは、私たちを真実に愛して下さっておられるので、私たちの自主性を尊重し、聞く・聞かない自由、応答する・しない自由という全き自由の中に私たちを置いて下さり、たとえご自分の期待とは違う行動をとったとしても、それなら勝手にしろと見限らず、変らない愛を持って、更に語りかけ続けて下さるのです。私たちを在るがままの私として受け入れて、愛して下さっているからです。そして私たちに正しい命の道を歩ませようと、語り続ける神さま。このように言葉をもって私たちと結びつこうとしておられる神さまこそ、真の愛の神さまではないでしょうか。
 
 その愛の神さまが私たちに語りかけてくださる言葉こそ、私たちに真実の道命の道を歩ませて下さる言葉です。パンだけで生きるのなら、他の生き物と同じです。神さまのお姿に似る者として造られ、この世界の管理を委ねられた人間として生きようとするのならば、神さまの口から出る一つ一つの言葉を聞いて生きていかなければなりません。
 
[] 神の言葉を食べて生きる
 預言者エレミヤ40年間にわたり、神の民に下される神の裁き、エルサレムの破壊、南王国の滅亡を預言し続けましたが、神の民は王をはじめ皆、聞きいれて悔い改めませんでした。そして紀元前597に、ヨヤキン王以下重立った人々が捕虜となってバビロン王国へ引き立てられて行きました。第一次捕囚です。その後に王にされたゼデキヤ王も、バビロンに反旗をひるがえして11年目の紀元前587に殺され、都のエルサレムは破壊され、王国は滅亡したのでした。
 
 エゼキエルはエルサレムの神殿に仕える祭司でしたが、第一次捕囚の一人として、バビロンへ連れて行かれました。そして5年目の年に、バビロンのケバル川のほとりで祈っている時、神さまから預言者として召されました。エゼキエル書12章に記されています。
 
 神さまはエゼキエルにお語りになりました。「人の子よ、わたしがあなたに語ることを聞きなさい。あなたは反逆の家のように背いてはならない。口を開いて、わたしが与えるものを食べなさい。」 エゼキエルの前巻物が差し伸べられました。その巻物には、表にも裏にも哀歌と、呻きと、嘆きの言葉が記されていました。「人の子よ、この巻物を食べ、行ってイスラエルの家に語りなさい。」
 
エゼキエルは口を開き、命じられるままに巻物を食べました。「人の子よ、わたしが与えるこの巻物を胃袋に入れ、腹を満たせ。」  彼がそれを食べると、それは蜜のように口に甘くなりました。 主は言われました。「人の子よ、イスラエルの家に行き、わたしの言葉を彼らに語りなさい。
 
 巻物とは、神の言葉が書き記されている巻物です。その神の言葉が、哀歌(悲しい言葉)と、呻きと嘆きの言葉だというのは、その神の言葉を聞いた者を、大きな悲しみと呻きと嘆きに溢れさせる厳しい言葉だという意味でしょう。しかし、聞く者をそのように苦しめる神の言葉を、残さずに全部胃袋に入れて腹を満たすと、不思議なことに蜜のように甘くなったのです。これは神さまの言葉を聞いて、悲しみ、呻き嘆いて悔い改めるならば、甘い蜜のような救いの喜びをいただけるということでしょう。
 
 こうしてエゼキエルは、祖国を失い、敵地で生きる同胞たちを、神の言葉を聞いて悔い改めさせ、蜜のしたたる人生へと導く預言者に召されたのでした。「人はパンだけで生きるのではなく、神の口からでる言葉によって生きる」 これは神さまがモーセに語られた言葉です。(申命記8:3) 神さまはその言葉を800年後の国が滅びるという危機のなかでエゼキエルを通して示されたのです。そして更に600年後にイエス・キリストを通して私たちに語りかけて下さいました。
人はパンだけで生きるものではありません。神さまの口から出る一つ一つの言葉を聞くことによって、生かされていくのです。私たちはこの大切な言葉を、今日新たな思いで聞きとりましょう。そして聖書を通して語りかける神さまの言葉を、しっかりと聞き、その命の言葉を食べて胃袋を満たし、今日を生きて参りましょう。            完
 

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