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朝、強風が窓を叩く音で目が覚めた。カーテンを開けると外は明るく時計の針は5時を少々過ぎていた。前夜は実家には泊まらず、仕事先の社長の昨年新築したばかりの瀟洒な自宅に泊まらせて貰った。 ゲストルームの部屋のテレビを点けて見ていたが、深夜に帰宅したので外の風景が気になった。階下に下りると奥さんが朝食の準備をしていた。 僕はカメラを持って朝の散歩に出た。昨夜車を降りた時に潮の香りがしたので、海の直ぐ近くだとは思っていたが、夜中に訪問したので正確な場所が判らなかった。 家の前の砂岩を切り開いた小高い山の間の狭い道路を右に30M程歩くと、右上に道路が走っていた。その道路で大体の位置が判った。海までは100Mもない。 細い道路を降ると目に前には漁業をしていると思われる民家が一軒建っていて、その後には朝凪ぎの田辺湾が広がっていた。庭先には小さな漁船が陸揚げされて置かれていた。 民家の脇を通り抜けると、民家の裏には小さな古びた波止場があり、そこにも小さな漁船が一隻陸揚げされていた。漁船はブルーシートがかけられており、ここ暫く使われた形跡はない。 波止場の付け根には、ピンク色の浜昼顔が群生しており、朝日に輝いていた。その手前には黄色い小さな花のミヤコグサの群生地があった。 波止場の先端から見ると、この小さな入り江にはもう一軒、海から直接漁船を自宅の倉庫に引き上げている家があった。この界隈は1960年のチリ津波の被害にあっている。 海辺に咲くミヤコグサの群生 この海辺の二軒の家も多分被害に遭ったのでは?と思いながら、もと来た小路を引き返した。また、東南海地震で津波が発生したらひとたまりもないだろうとも思った。 帰りに民家の前には耕作が放棄されたと思われる畑に群生した黄色いミヤコグサに気が付いた。その畑には、最近、雑草が刈られた後があったが、ミヤコグサの群生地は刈り取らないでそのまま残されていて、二軒だけの鄙びた漁村を初夏の色に染めていた。 社長のお宅に帰り着くと、食卓には紀伊半島特有の茶粥が食卓の上っていた。僕の大好物の美味しい水茄子、キュウリの朝漬けで久し振りに南紀の朝食を味わった。 美味しい空気を吸って、高価ではないが好きな地元の料理を食べる。実家ではなかったが、久々に忘れていた故郷の朝の味覚を思い出させてもらった。 観光地、白浜温泉の直ぐ近くに、このような静かな入り江が在ったのか?と思えるような場所だった。因みに、この場所は僕の実家から車で15分くらいの所にある。
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2011年05月15日
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