ワーク・アウト BARONの戯言!!

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トレイルと富士山

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秋の白神山地・ブナ林の根元を彩る紅と黄色
撮影:2017年 10月16日
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開けた空間には、色んな種類の植物が混生している。

 白神山地のブナの原生林の中、ブナよりも背の低い植物たちが、しのぎを削って日光を求めている。上から見下ろすとブナ以外に生えていないのかと思われるが、ブナの原生林に足を踏み入れると、多様な植物が生えていることがわかる。

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コシアブラ

 1枚目のブナが生えていない空間には、ミネカエデやイタヤカエデ、オオカメノキ、コシアブラ、クロモジなどが密生して、生存競争を繰り広げていた。

 秋の多様な色の中では白っぽく黄葉した葉の植物はコシアブラ、新芽を天ぷらにすると極めて美味しい。僕の好物だが、東京では殆ど手に入らない。

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コシアブラの実

 学生時代から白神山地で日本猿の生態も研究していたガイド氏は、猿もコシアブラが大好きで冬場に木の実などの食料がなくなると、コシアブラの少し膨らんだ角芽や、コシアブラの枝の先端の樹皮を食べていると教えてくれた。

 猿が手折って食べた枝は、枝分かれを見れば素人の僕にも直ぐにわかった。奥多摩などで白っぽく黄葉した葉はよく見かけたが、いつも何の植物だろう?と思っていた。

 秋に特徴のあるコシアブラを見つけておけば、素人でもコシアブラの新芽を採ることができるが、木に登らなければ採れないような大きな木があった。

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色鮮やかに黄葉したクロモジ

 ツルアジサイはアイビーなどと同じく木の幹に着生して、初夏にアジサイに似た白い花を咲かせる。10年ほど前に谷川岳の湯檜曾川沿いで見かけたことがあり、写真を撮って帰宅後名前を調べたら、ツルアジサイと判明した。

 しかし、秋の黄葉した葉を見てもツルアジサイだとは、教えてもらわないと分からなかった。そして、ブナの枯れた木に多く着いていた。

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ツルアジサイ

 ガイド氏は自然観察歩道に足を踏み入れると「僕は秋になるとオオカメノキの葉の二つとして同じ色が無い綺麗な色の変化が大好きです。」と教えてくれた。

 オオカメノキを見つけるたびにその葉っぱの異なる色の変化と美しさに感心をした。ガイド氏は何故オオカメノキだけがこのように色んな色に変化をするのか、その原因は分からないと言っていた。

 オオカメノキも初夏にアジサイに似た白い花を咲かせる。

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オオカメノキ

 夕刻テレビを見ていたら、東京の大学が奥多摩のツキノワグマにカメラをつけて、熊の目線で見た映像を流していた。その中に木登りをしている映像があった。

 白神山地のブナの殆どの幹に古い熊の爪痕が残っていた。ガイド氏が教えてくれたが、熊は木登りが得意で、冬眠用の食料としてブナの実を食べるために木登りをした痕跡らしい。硬いブナの樹皮に痕跡を残すくらいに熊の爪は鋭く、また硬い樹皮に爪を食い込ませる力は相当なものだと類推できる。

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オオカメノキ

 そして、熊がブナの枝を折って実を食べた後の枝を棚のようにブナの木に残している写真を見せてくれた。熊棚というらしく、冬に熊を追いかけている時に見つけて撮影した珍しい写真とのことだった。

 ガイド氏の説明をメモしてくれば良かったと悔やんでいる。

 ザックから出して冬、焚き付けに使う樹皮の皮を燃やして見せてくれた。僕が知っている白樺やダケカンバではなかった。その木の倒木を見つけると、樹皮を剥がして薪ストーブの焚き付けに使うために、大量に保存しているらしいが、教えてもらった木の名前を忘れた。

 マタギは山の中でも夜間歩くのに、ライトなどを使わないらしい。以前、テレビ局の取材クルーを案内した時に撮影が長引き下山途中に日没、クルーが歩けなくなった。有名なマタギの工藤光治氏は、クルーをまたしておいてその倒木の樹皮を剥がしてきて、持っている杖に樹皮を巻きつけて松明の代わりにして無事下山させた。とエピソードを話してくれた。

 ブナの空洞でしか育たない宿り木の名前も聞いたが、それも忘れた。メールで再度教えてもらおうと思っている。

 今回の白神山地は、ブナの自然林の素晴らしい黄葉を体験させてくれたが、帰宅をして記憶をたどって見ると、加齢とともに著しく記憶力が低下したと認識させてくれた山旅でもあった。





秋の白神山地・ぶなの巨木
撮影:2017年 10月16日
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 1、2枚目は白神山地にシンボルにもなっているブナのマザーツリー。白神ラインの津軽峠の駐車場から歩いて5分とかからない場所に生えている推定樹齢が400年と言われているブナの巨木。樹高30M、幹周り4,6M。

 マザーツリーまでの歩道はコンクリートで舗装されておりハイヒールでも歩ける。根本は踏まれないように浸入禁止のロープが張られ、木製のデッキが付けられている。

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 最近樹勢が衰えて来たので今夏、樹木医の診察を受けたようだ。根元の土壌が長い間踏みしめられて固くなっており、また土壌がブナが好むPHよりかなり酸性になっているらしい。

 近寄れなかったので、推定樹齢が400年と言われても巨木の持つ迫力は感じられなかった。マザーツリーの近くには樹齢が200年くらいのブナの巨木が多く生えており、それらに触れ合える散策路があった。

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 3、4、5枚目は、今回歩いた高倉森ルートの自然観察歩道の途中で出会った、長年厳しい風雪に耐えた巨大ブナ。マザーツリーよりは樹齢が高そうな気がする。理由は分からないが余り有名ではないらしい。

 3枚目の写真で人物と比較してもわかるように幹周りもマザーツリーの4.6Mよりははるかに大きく、6Mはゆうに越している。そして幹は空洞になっていた。

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3枚目と反対側

 4枚目の幹の右側に倒木が見える。この倒木は巨大ブナの折れて落ちた枝だった。折れた枝も中が朽ちて空洞になっている。ガイド氏の説明によるとブナの樹は樹齢が200年を越すと殆どが空洞になっているようだ。

 そして、白神山地にはこのブナよりも大きな巨木が存在するらしい。この老齢の巨大ブナには名前が無いそうだから「ファザーツリー」と名付けた。

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3枚目と反対側、4枚目の上部

 マザーツリーは尾根の窪地に生えており、比較的風雪は避けられる環境にあるが、ファザーツリーは片側が断崖になっており、生育環境の条件は厳しい。

 そして、ガイド氏の説明では、日本海側から風が吹くらしく、ブナの幹を見ると風に当たる側は幹が白い、逆の風下側は地衣類などが着生して幹が黒く見える。

 ブナに限らず我々の寿命よりは、はるかに長い年月を生きている威厳に満ちた巨木に接すると、その威厳に頭が下がり、その生命力を分けてもらいたいと、いつも勝手なお願いの手を合わせてくる。
秋の白神山地・ブナの黄葉
撮影:2017年 10月16日
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 晴れたり曇ったりの天候の中、白神山地の黄金色に輝くブナの自然林の黄葉に染まって来た。

 青森県と秋田県にまたがる白神山地の表玄関と言われている、青森県の南西部に位置する中津軽郡西目屋村を初めて訪れた。村は秋田県との県境にあり、弘前から路線バスで小一時間の距離、岩木川の上流域にある。

 勿論、白神山地も初めて。カミさんが白神山地を訪れるにつきガイドを地元の「白神マタギ舎」というガイドグループにお願いしていた。もう50年近く登山をしているがガイドを雇うのも初めての経験だった。

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 宿泊先まで迎えに来てくれたガイド氏の車で、途中岩木川に作られた水位の低い目屋ダムを横目に、舗装が切れるとつづら折れの悪路に変わる。この悪路が白神ラインと呼ばれている。狭い山道の白神ラインの津軽峠から白神山地自然観察歩道・高倉森ルートを歩く。

 津軽峠の駐車エリアに車を駐めて、登山の準備をする。冬場はマタギもやっているガイド氏は、車から長靴と杖を出し、それまで履いていた靴を長靴に履き替えた。

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 カミさんがガイドを頼んだと言っていたので、今回の白神山地の訪問は予備知識無しで来てしまった。車の中でガイド氏の略歴を聞く。

 ガイド氏は弘前大学在学中は冒険部に所属、白神山地をフィールドワークとして動植物の生態調査をしており、白神山地の魅力にとりつかれてそのまま青森県に居ついたようだ。

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 また、マタギ文化が衰退するのをみて地元の目屋マタギに弟子入り、冬場は白神山地でクマを追いかけている。学生時代から足掛け34年間白神山地の隅々まで歩いており、世界遺産の監視員も務めている。

 最強のガイド氏の案内で白神山地自然観察歩道を歩く。津軽峠から初心者コースの高倉森ルートに足を踏み入れると、数分で推定樹齢400年のマザーツリーと呼ばれている巨木が出迎えてくれる。

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 自然観察歩道は尾根伝いにブナの自然林に踏み込む。ガイド氏の歩道脇に生えている樹木の説明や白神山地の地形、今は廃鉱になっている奈良時代に開発された尾太(オップ)鉱山の話やマタギの自然への接し方などの説明を聞きながら、ブナの優しい黄葉の自然観察歩道を歩いた。

 尾根を登りきると途中から右側が世界自然遺産のエリアだと教えてくれた。歩道の脇に鳥獣保護地域の看板があった。2004年以降、自然遺産エリア内は禁猟区になり、それまでこのエリアがフィールドだったマタギも狩猟が禁止され、それによって赤石マタギは廃業に追い込まれたようだ。

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 途中で葉が白くなっている木があった。秋に葉が白くなるのは「こしあぶら」だと教えてくれた。コシアブラの新芽を天ぷらにして食べたことがあるが極めて美味しい。コシアブラを山菜の女王だと長野の友人は言っていた。

 また、歩道脇に葉を黄色くした低木が沢山生えていた。枝を一本折って匂いを嗅がせてくれた。僕はすぐに名前が分かった。高級爪楊枝の材料クロモジの木だ。目屋マタギはクロモジの木で雪の上を歩くカンジを、山菜などを沢山採った時に容れるカゴを山で作るそうだ。

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 冬、熊撃ちなどで山に長期間入るときは、クロモジを歯ブラシがわりに使い、そして、クロモジの樹皮を乾かしてお茶にする。そのお茶を昼食の時に飲ませてくれたが、クロモジの爽やかな香りがして美味しかった。

 ガイド氏はホウ葉で包んだ大きなおにぎりを持っていた。青いホウ葉を採って干したのを水に戻して使うようだ。包んだホウ葉はそのまま捨てると土になってまた山に帰る。

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真ん中の山が岩木山

 持っていた杖もホウの木の枝、軽くて丈夫だった。これもマタギの知恵で白神山地のガイドはホウの杖とスパイク付きの長靴が正装らしい。そして、自然からの贈り物を効率よく、かつ無駄なく利用している。

 クマを撃つのも「クマを頂く」と言っていた。自然への敬虔の念がなければこのような言葉は出てこない。マタギ氏と話をしていると、物質文明に慣らされた我々が忘れ去ったものを呼び起こされた気がした。

 のんびりと立ち止まってはガイド氏の話を聞きながら歩いた。この日は念願のブナの自然林の黄葉に浸ることができて、充実した1日だった。


八甲田山の紅葉・ガスの中の彷徨
撮影:2017年 10月15日
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 僕は東北地方の山には殆ど登っていない。八甲田山は新田次郎の小説や岡田喜秋の紀行文などを読んで大まかなイメージを持って居るだけであった。

 カミさんが「今年の秋の紅葉は八甲田と白神山地にしない?」と、9月に相談を受けた。僕は単体する理由がないので即了解した。計画通りに14日の夜、青森行きの夜行バスに乗った。

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 青森駅から十和田湖行きの路線バスに乗り換えて山麓に入る。高度を上げていくと車道はブナ林の黄葉の中を分け入っていく。途中の茅野高原に着くと小雨がぱらついてきた。

 見えていた山頂のロープウェイ駅が目の前でガスに覆われて見えなくなった。小雨の降る中をロープウェイに乗る。晴れていれば素晴らしい眺望が眼下に広がるはずがそれもガスに巻かれて霞んでいる。

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 高度を上げるにつれて視界は殆どなくなった。標高1326Mの田茂萢(たもやち)岳山頂駅に着き外に出ると吹き付ける風が強くて寒い。ザックに常備して居る温度計で外気温を確認すると1.5℃。その内にミゾレが吹き付けるようになった。

 山頂駅のレストランでコーヒーを飲みながら様子見、少し視界が開けてきたので薄手のダウンの上にレインウエアを着用、持っていた全ての防寒具を身につけ外に出た。

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 ガスで視界は20Mくらいか?。田茂萢湿原の木道に出て、毛無岱を酸ヶ湯温泉への熊笹の間の泥濘んだ登山道を標識に導かれて降る。

 八甲田山という名前の山は存在しないが、この山塊には8つの峰がありそれを称して八甲田山と言われている。標高は尾瀬ヶ原より160Mほど低いが同じような高層湿原が存在する。

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 高層湿原は草紅葉が終わりを迎え色が濃くなっている。尾瀬と同じように濡れた木道は滑るので気を許せない。下毛無岱を見渡せる眺望の良い階段があるが、ガスが流れていて霞んで見えた。

 長くて急な木の階段を途中まで降りた頃、視界がひらけ周辺の山々、湿原の草紅葉が見えるようになった。落葉広葉樹の殆どが葉を落としてダケカンバなどは白い木肌を骸骨のように見せて冬の支度をしっかり整えていた。

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 高度を下げるに連れてどんどん視界がひらけて来た。湿地帯を抜けるとカエデ類、ナナカマドなどの最後の紅葉を見ることが出来た。

 酸ヶ湯温泉が眼下に見え出すとブナの林を左手にみながら酸ヶ湯温泉に辿り着いた。ブナの林は葉の大半を落とし梢は寂しくなっていた。

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 岡田喜秋の「日本の秘境」に酸ヶ湯温泉秘話という項があり昭和33年に取材されている。その中に有名な蕎麦屋の話が出てくる。

 十和田湖へのバスが運行される期間は、酸ヶ湯温泉での短い停車時間にバスの乗客が味の良さの噂に押し寄せて、1日1300食を売り上げていた。と書かれていた。

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 バスの乗客が押し寄せて1300食も出すとなれば、立ち食いそばと同じような製法か?。僕もバスを待つ間に蕎麦屋に並び入って見たが、申し訳ないが蕎麦は噂ほど美味しくはなかった。

 青森駅行きのバスに乗り高度を下げるに連れて天候が回復、ロープウェイ駅に着く頃には時間が許すならもう一度ロープウェイに乗りたいと思わせるような天候に回復していた。

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 バスが高度を下げるに連れて、ブナの黄葉も少し緑が混じる優しい色に変わっていった。山頂付近の紅葉の旬には十日くらい遅かったような気がする。
笛吹市上芦川の風景と車窓からの富士山
撮影:2017年 5月28日
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 すずらんの群生地をほぼ2周して、売店のベンチで休憩をした。スマホで河口湖畔の富士山のライブカメラの映像を検索、富士山は雲に隠れて見えなかった。

 このすずらんの群生地から小一時間歩くと、御坂山系の新道峠に登ることが出来る。河口湖を従えて、シンメトリックな富士山を望むことが出来る新道峠は、富士山の眺望が一番綺麗だと言われているらしい。

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茅場?

 その新道峠からの富士山を是非写したいと思っていたが、雲が邪魔をして富士山が見えないので、元来た道を引き返すことにした。カミさんにバスの時刻を確認すると15時6分のバスに乗れそうだった。

 帰りはひたすら下るだけなので楽勝、僕は道路ぎわに咲いている花や風景を写しながら歩く。群生地から1KMくらい降ると、茅が群生している平地があった。

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 昔は茅葺き屋根用の茅を刈る茅場の後か?などと勝手に想像する。それは、茅葺屋根の古民家が麓に在ったからだ。その古民家にはまだ人が住んでいる。

 舗装された道路から左右所々に進入路があり、道路の落ち葉があまり頻繁に車が通っていないことを教えてくれる。その先を覗くと別荘と思しき建物が樹間から見ることが出来た。

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 また、明らかに民家が立っていたと思える荒地が所々にあり、今や蕗や成長したワラビが主となっている。荒地の隅には場違いのように、ルピナスが数本咲いていた。

 道路脇の杉林に囲まれた山の斜面に、猪や鹿の獣食害対策用の柵に囲まれた小さな畑では、僕よりも少し年配の健康そうな男性が農作業に精を出していた。

 声をかけて何を植えているのかを聞いた。サツマイモを植えている最中だった。隣の畑には少し成長したジャガイモやトウモロコシが植えられていた。

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風格のある古民家

 「このような環境の畑で採れる野菜は美味しいでしょう?」というと、人里から少し離れているので病虫害も少なく、殆ど有機栽培に近い野菜が取れる。勿論美味しいと教えてくれた。

 この畑の野菜は上芦川の地元野菜の直売処にでも出荷して、売られているのかもしれない。この山村も過疎化が進んでいた。

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 出発地点の上芦川の農産物直売所にバスの出発時間15分前、予定通りに到着した。バス停の表示がないので直売所のオバさんに聞くと、道路に出て手を挙げるとバスは停まってくれますよ。田舎の路線バスらしくて長閑だ。

 定刻を10分過ぎてもバスが来ない。丁度逆方向に行くバスが通りかかった。朝乗ったバスの運転手さんだった。朝のお礼を言ってから、石和温泉まで戻りたいがバスが来ない旨を告げると、僕たちが乗ろうとしていたバスは「すずらん祭り」の開催期間中限定の運行で、僕たちは期間限定の時刻表を見ていた。

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サラサドウダン

 次のバスは、折り返し運転で2時間後の17時6分、この場所で2時間も時間を潰せないので、15時50分発の河口湖駅行きのバスに乗った。バスは御坂山系を若彦トンネルで潜り河口湖畔を経て、河口湖駅まで30分ほどで着いた。

 河口湖畔に出るとなんと富士山が雲を携えて目の前に聳えていた。一人なら途中下車をして富士山を写していたが、カミさんと一緒ではそうはいかないので、河口湖畔での富士山の撮影は諦めた。

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富士急行線の車窓から

 河口湖駅で5分ほど待って大月行きの電車に乗ることができたが、僕にとっては接続が良すぎ、富士山を写している時間がない。1本電車を遅らせようと提案したが、疲れ切ったカミさんは嫌だという。

 僕は渋々電車に乗ったが、確か車窓から富士山が綺麗に見える地点があったのを思い出し、車窓の窓ガラスの上半分を下ろして、その一瞬を待った。

 山村を自分の足で歩くと、その土地の人達と直に触れ合うことができ、その地域について色んなことを教えてもらえる。


 

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