映画「桜田門外の変」を観た!
画像は本題とは関係有りません。 撮影場所:昭和記念公園 撮影日時:10月17日 17:13分
吉村昭氏の歴史小説を映画化した、映画「桜田門外の変」を、昨日、渋谷の映画館で観てきた。
ご存知の通り、筋書きは安政7年(西暦1860年)、時の大老・井伊直弼の暗殺を主題にして、暗殺計画の指揮をした水戸藩士を、映画では「大沢たかお」扮する関鉄之助を主人公に小説は書かれている。
この映画は、水戸藩開藩400年を記念、また茨城県や水戸市が地方振興の為に制作した映画らしく、映画化されると聞いた時から観たかった映画だった。
僕は吉村昭氏の原作を二度読み返している。また彼のエッセイの中にも「桜田門外の変」を書いた経緯や、調査のエピソードが書かれていた。その中で、暗殺が決行された安政7年3月3日(太陽暦 3月24日)の天候の調査について詳細に触れられていた。
暗殺決行当日の3月3日は太陽暦の3月24日で、当時の江戸では季節外れの大雪が降っている。その中で暗殺は決行されており、映画もこのシーンは原作を忠実に再現されていた。
暗殺は首尾よく成功、井伊直弼の首級を、薩摩藩から暗殺計画に唯一人参加した有森次左衛門が打ち取った。指図役の関と検視見届役の岡部が、品川鮫洲の待ち合わせ場所の妓楼に向うが、時間はまだ午の刻(12時)前、妓楼に登楼するのはまだ早い。
そこで時間潰しの為に、潮干狩りの屋形船で酒を呑むシーンがある。
原作には、
あたりには海の水が見えず、舟が砂地にのっているのに気づいた。雪が積もっていて、海面かと思ったが、海水がみえるのはかなり離れた場所であった。
「潮がひいているね、親父さん」
鉄之助は海面に目をむけて言った。
「卯の下刻(午前七時)からひきはじめて・・・。牛の刻(午前十二時)になれば、お台場の先まで干上がるよ」
漁師は顔を動かさず答えた。とある。
映画では舟で酒を呑むシーンはあったが、其処には雪の積もった遠浅の海は無く、舟は海水に浮かんでいた。吉村昭氏は当日の潮の満干の時間までを詳細に調べ上げて、それを小説の中に記述している。
吉村昭ファンとしては、調査の経緯を知っているだけに、このシーンは忠実に再現して欲しかった。
映画は大筋では理解できるが、やはり、映画は原作の詳細な描写がされている小説を超えることは、中々出来ない。特に原作の小説が大作であればあるほど、長編であるほどそれは難しい。
僕は何時も本を読んでいて感心させられるが、小説家、著述業の方の情景描写の文章は実に巧みだ。文章を読んでいてその情景がしっかりと浮かんでくる。
そして、同じ情景が有ったとしても、とても我々素人の写真ではそれを忠実に表現しきれない。
映画「桜田門外の変」は、映画としては137分の大作だが、この映画はあくまで原作小説のダイジェスト版でしかないような気がする。井伊直弼暗殺の良し悪しは別にして、映画を観られた方は、是非、何度読み返しても飽きない大作の史実小説「桜田門外の変」を読まれることをお薦めする。
映画で途切れている暗殺に至るまでの各藩への呼応要請の行脚や、暗殺後の逃亡生活での支援者からの援助など、詳細な筋書きが繋がります。
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