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「空想科学大戦」シリーズの老科学者猫柳田博士の青春を描く漫画。とありますが、僕は「空想科学大
戦」シリーズを読んだことは無く、たまたま見つけて面白いなと思ったので、これは独立した作品と考え
ていいでしょう。
本作品の由来はその辺にして内容ですが、これがとても楽しいのです。
舞台は昭和30年台前半でとある一家にの離れ物置に暮らす猫柳田という東京科学大学始まって以来の俊
英が、一家の人々に無理難題を吹っかけられて、科学的解決を目指し、受けてたつのです。しかし、話は
いたって荒唐無稽でアットホーム、彼への無茶振りも非常に日常的なこと。それを実に大げさな装置で解
決しようとする、しかし、奇想天外とは言え理屈上は納得いくように説明もある。
5巻完結なのだが、背景の昭和30年代の世相をたくみに取り入れているところもいい。町並みはこのこ
ろの方が好きだなあ。
この一家には妙齢の(結構おてんばですが)みちるという娘さんがいて、猫柳田君とはつかず離れずの微
妙な関係。ヒロインですね。彼女の婚約者のススムは官僚で事あるごとに対立する。しかし、時にはもち
つもたれつで協力することもある。
見かけにかかわらず、頼まれると断れず、と乗ってしまいがちな猫柳田君がいい(かなりワルノリ気味で
すが)。
「科学といってもそんなことも解決できないんじゃ」といわれると、科学者としてのプライドと科学の名
誉にかけてやって見せると、失敗作を含めてさまざまな装置を作り出す。不思議なのは失敗してもちっと
も落ち込まないこと。理論だけではだめでやはり作ってみないとわからないという感覚が好きです。
満員電車にどうやってうまく人を乗せるかとか、テレビをみんなで見るにはどうしたらいいかとか、眺め
のいい平屋を建てるとか、冷房の無い時代にみんなが涼しくなる装置とか、まあどうでもいいようなこと
なのだが、それは奇抜なアイデアで描かれている。
僕が好きなのは、雨の日に泥はね水はねを避けるというかそんな感じの装置。いろいろと話も面白くてア
イデアも出ているのでいいんですね。
三丁目の夕日のパクリじゃないのかなんていう人はいないでしょうが、念のため言っておくと、本書の方
が単行本でも2002年ですから先です。
こっちの方は当時の夢を科学を通じて描いた作品。特別なものを作るのではなく、今でも無茶振りできる
ようなものもあります。そう考えると日常的なものほど解決していないのかもしれません。
とてもお勧めなのですが、なかなか売っているところが無く、全巻欲しくてオークションで購入しまし
た。幸運だったのは、初版で新品同様だったこと。
おじいさんがスケベで笑えます。
幻冬舎コミックス
原作 柳田理科雄
漫画 筆吉純一郎
800円です。
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