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◆災害時に携帯電話はどう生かす?
2011年03月14日 http:// trendy. nikkeib p.co.jp /articl e/colum n/20110 314/103 4919/?S T=yahoo _headli nes&P=3 3月11日、三陸沖を震源地とするマグニチュード9.0という国内観測史上最大の東日本巨大地震が発生。多数の被害者を出し、大きな爪あとを残している。緊急時のインフラとしても欠かすことのできない携帯電話だが、その災害対策と活用の仕方、そして今後の課題などについて触れたい。 ーーーーーーーーーー ◆災害と停電などで、通話・通信は規制がかかる 3月11日14時46分ごろに起こった今回の地震により、被災の中心となった東北地方、特に太平洋側の地域は津波や火災により多くの町村が壊滅、甚大な被害をもたらしている。首都圏でもかなりの揺れを観測し、多くの帰宅難民が発生した。 福島に実家がある筆者にとって、今回の被災地とは非常に縁が深く、決して他人事ではない。なんとか家族とは連絡をとることができ、幸い怪我などがないことは確認できたものの、家具が倒れたり、屋根の瓦が落ちるなど多くの被害を受けているという。執筆時点でも余震が続いており、依然予断を許さない状況だ。 連絡手段として欠かすことのできない携帯電話だが、今回のように、大きな災害が発生した場合、安否の連絡で被災地への電話が殺到し、被災地以外でも通話・通信自体がしづらくなる「輻輳(ふくそう)」という現象が発生する。 そのため、キャリア各社は、インフラ全体への影響を抑えるため、一時的に現地への通話・通信規制を実施することとなる。今回も地震発生後、NTTドコモ(FOMA)とソフトバンクモバイルが東北・関東へ、KDDIが東北への通話・通信規制を実施した。規制の内容はキャリアによって異なるが、auなどは一時、Eメールの自動受信ができないという状況にもなっていたようだ。 さらに、12日12時時点での総務省発表によれば、NTTドコモ3961局、KDDI3800局、ソフトバンクモバイル2307局、イー・モバイル625局の基地局が停波しているとのことだった。災害時の基地局停波の要因として最も大きいのは、電力供給の停止による“停電”だが、特に今回の地震の場合、発電量の大きな福島第1・第2原子力発電所で大きな被害が発生しており、電力不足となっている。また、津波による被災の影響も甚大であることなどから、復旧には従来より長い時間を費やすものと考えられる。 加えて、同時点において、NTT東日本の加入電話約34万回線、フレッツISDN約5万5000回線、フレッツ光約16万2000回線などが使用不能、KDDIの陸上ケーブル断線により東北以北と関東以西との同社間通信が不可、KDDIをはじめNTTコミュニケーションズ、ソフトバンクテレコムなどの海底ケーブルが破損、損傷するなどの被害が報告されている。携帯電話のバックボーンとなる固定回線にも大きな影響を与えているようだ。 ◆安否確認手段として重要な「災害伝言板」 場所を選ばず利用できる携帯電話は、災害時の連絡手段として重要な存在となる。だが、通信規制が実施されている状況下では、連絡をとること自体難しい。それゆえ、災害時は、回線を占有しやすい音声通話よりも、パケット方式で回線占有率が低くなるデータ通信による連絡の方が有効だ。そうした中でも、確実性が低くなりやすいメールより、被災地外のサーバーに自主的にアクセスする、Web上のサービスの方が確実性が高い。 特に推奨されているのが、iモード、EZweb、Yahoo!ケータイなどで災害時に提供される「災害用伝言板」だ。この災害用伝言板に、自分自身の電話番号と安否情報を登録しておけば、相手は電話番号を入力するだけで、その人の安否情報を確認することができる。サービス自体はキャリア各社が独自に提供しているものだが、現在では相互に電話番号の検索が可能となっているので、どのキャリアの携帯電話・PHS番号であっても情報を探すことができる。 ただ、今回の地震は影響範囲が広く、想定以上の利用者が集まったためか、一時アクセスが難しい状況になった。今後はよりアクセス集中への対処が求められることになるだろう。 そしてもう1つ、今回の地震においては、スマートフォンへの対応も課題になった。スマートフォンからも伝言板の閲覧と検索は可能だが、登録することはできないのである。NTTドコモが3月下旬から、スマートフォン向け災害用伝言版の提供を開始すると発表するなど、対応は進められてはいるものの、今回の事態には間に合わなかった。 それゆえ、独自の対応を進めたキャリアもある。ソフトバンクモバイルは12日深夜、iPhone向けの災害用伝言板アプリを提供し、独自にiPhoneからの情報登録に対応させた。通常は時間がかかるアップルのアプリ配信審査も緊急事態であることから素早く認可されたようだ。 ・災害用伝言版サービスは災害発生時にiモードやEZweb、Yahoo!ケータイなどのトップページからアクセスできるようになる ・今回の地震を受け、ソフトバンクモバイルは12日にiPhone向けの災害用伝言版アプリの提供を開始した ◆スマートフォン向け対応が求められる緊急地震速報 スマートフォン向け対応が急がれる機能は他にもある。「緊急地震速報」もその1つだ。 気象庁が配信する地震速報を知らせる緊急地震速報は、テレビなどだけでなく、携帯電話にも配信する仕組みが用意されている。NTTドコモとauの携帯電話の多くがこの機能に対応している。直前とはいえ、事前に地震が来るのを知ることで、危険な場所から離れる、安全な場所に避難するなどの対応をとることができる。今回の地震においても、東北・関東を中心に、何度か緊急地震速報が配信されていたことから、ご存知の方も多いかもしれない。 だが、これに対応したスマートフォンは、auのスマートフォン数機種のみと数が限られている。また、ソフトバンクモバイルの場合、緊急地震速報に対応した端末自体が少ない。今回の地震では、スマートフォンを1台目として利用している人が急増している首都圏においても多くの被害が出た。そうしたこともあり、災害機能の対応はスマートフォンでも急務となってくるだろう。 同様に、今回の地震において首都圏で多く発生した「帰宅難民」を支援するサービスに関しても、スマートフォン向け対応が求められるところだ。例えば、auが提供している「災害時ナビ」の「避難所マップ」や、2010年9月まで提供していた「帰宅支援マップ」などだ。こうしたサービスは有事でなければ価値を見出しにくいが、積極的な提供も今後求められるところだ。 ・NTTドコモやauの携帯電話の多くが対応している「緊急地震速報」。対応しているスマートフォンはまだ少ない ・今回の地震では、首都圏で帰宅難民が多く発生した。それだけに、auが提供していた「帰宅支援マップ」のようなサービスも求められてくるだろう ◆携帯電話の持つ機能を災害に有効活用しよう さまざまな課題があるとはいえ、現在の携帯電話の機能で、災害に役立つ要素が数多くあることは確かだ。例えば、携帯電話カメラライトやディスプレイなどは、緊急時は懐中電灯としても役立てることができる。また、放送を利用するので通信回線に負担をかけずに情報を得ることができるワンセグ機能なども、災害時には大いに役立つ機能だ。 そして、今回、大いに役立ったのが、インターネット接続機能だ。災害用掲示板の利用や、情報取得手段として、有効な手段となったのはもちろんのこと、より注目されているのがソーシャルサービスだ。 テレビやラジオでも多く取り上げられたツイッターをはじめ、mixiやモバゲータウンといったSNS、各種ブログサービスでも、直接連絡のできない知り合いや、サービス利用者同士の安否確認、そして避難や安全に関する情報交換が積極的になされている様子をリアルタイムに見ることができた。 もちろん、ソーシャルメディアには、利用者層に偏りがある、また、デマや誤った情報が出回りやすいといった問題もある。だが、携帯電話やスマートフォンからのインターネット接続機能が、災害時の貴重な情報取得・発信手段として役立てられていたのは確かだ。ちなみに、現在では、義捐金募集を募るネットサービス事業者も増えてきている。「支援をしたい」という人は大いに活用するとよいだろう。 災害時は電力不足や停電が続くことから、特に被災地においては、充電手段が確保できず、携帯電話が利用できなくなるというケースも多い。こうした課題をどう克服するかも依然大きな課題ではあるが、いつでもどこでも利用できる携帯電話をはじめとしたモバイル機器と、そこに搭載されている機能やサービスは災害時に役立つものが多い。 執筆時点では、今回の地震災害の影響は今なお続いていおり、予断を許さない状況である。災害時の連絡や情報取得、さらには支援の手段として、携帯電話やスマートフォンなどモバイル機器でできることや活用方法を覚えておき、いざという時にぜひ役立てて欲しい。 ・携帯電話とはやや離れるが、Ustream、ニコニコ生放送で、NHKなどのテレビ放送がそのまま流されるという異例の措置がとられるなど情報手段としてネットの力が生かされたことが見て取れる ◆著 者:佐野 正弘(さの まさひろ) ゲームやWeb、携帯コンテンツなどのデジタル・コンテンツを開発するエンジニアを経て、現在ではモバイル・携帯電話に関する執筆を中心に活動している。近著に「GALAXY S 入門ガイド」(翔泳社)「今すぐ使えるかんたんmini Android[厳選]アプリ徹底活用技」(技術評論社)など。 |
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