芸術と教育の○

芸術と教育をめぐって、徒然なるままに

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自然、そして内面

 夏の雷雨。とくに夜の雷雨には凄まじいものがありましたが、ヨハネスにとってはそう嫌なものではありませんでした。そびえ立つ黒雲。突然、ピカッと湖面やその周辺の景色を青白く照らしつける巨大な稲妻。そんなまばゆい一瞬の雷光と雷鳴の衝撃。そして山脈を貫く突風。これらはヨハネスの眼前でひとつの壮大な音楽となっていました。自然の放つ暴力のものすごさに感動し、彼は窓ガラスに小さい鼻を押し付けたまま、時の過ぎ行くのを忘れていたのでした。

 アルプスの朝日や夕日のみせる表情。それは言葉にできないほど美しいものでした。そして、アルプスおろしの乾いた暖かい南風。この地方特有のフェーン現象は、ヨハネスの気持ちを沸き立たせ、心のなかのもやもやした黒雲までも吹き飛ばしてくれるようでした。はっきりとした理由は分かりませんが、彼は内面から、なんとなくやる気がでてくるように感じました。

 そして、そういうときには決まって、買ったばかりの絵の具と筆を手にしているのでした。風景も人物も、それを描くことで自分自身の世界になっていきます。それらが自分だけのものになっていくのです。生活はつらく、貧しいものでしたが、ヨハネスの心には確かに豊かなものが満ち満ちてきていたのです。

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