芸術と教育の○

芸術と教育をめぐって、徒然なるままに

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牛の出産

 ヨハネスがそっとのぞいてみると、その母牛はすでに落ち着きがなく、興奮状態になっていました。もうお産が始まっていたのです。

 彼は、すぐに牛のほてった大きな胴体を両手で探ってみました。子牛の状態を確認してみるためです。どうやら子牛の前足は先に出てきそうです。それでも、そう簡単に生まれそうにはありません。その母牛はとても苦しそうな様子でした。ようやく足が少し出てきました。しかし、子牛がうまく産道を通って出てこれないのか、さらに苦しそうな母牛です。

 母子ともにこのまま力尽きてしまうのではと、ヨハネスはいても立ってもいられずになって、近くにあった縄を急いで持ってきました。そして、彼はちょこんと飛び出た子牛の前足に結びつけ、母牛のいきみに呼吸を合わせるかのように縄を引いて、少しずつ、ほんの少しずつ、子牛が出てくるのを手伝ったのです。まずは両方の前足が出て、続いてかわいい子牛の頭が出てきました。さらに子牛の胴体が現れました。その時間は、どのくらいたったのでしょう。最後は、プルッと子牛の体全体が母牛から飛び出してきました。ついに子牛が誕生したのです。

 新たな命がこの世に生まれました。ヨハネスは、子牛の口を開いて息を確認すると、すぐにへその緒を結んで切断しました。子牛を藁で軽く拭いてから、母牛に舐めてもらうことができるよう、近くに引き寄せてやりました。これでもう安心です。母牛は子牛をペロペロと舐めながら、時にヨハネスにも視線を向けているようでした。ヨハネスには、それが母牛の感謝の気持ちの表れであるかのように思えました。

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