|
☆☆☆ 初公開年月 2011年2月11日 鑑賞メディア;DVD 原作:高森朝雄、ちばてつや 脚本:篠崎絵里子2点 撮影:橋本桂二 視覚効果:松野忠雄 特殊メイク:松井祐一 美術:佐々木尚 編集:洲崎千恵子 音楽:高橋哲也、北里玲二 主題歌:宇多田ヒカル『Show Me Love(Not A Dream)』2点 ボクシング監修:梅津正彦4点 余りにも多くの人々が独自の思い入れを持った作品なので、だれがどのように作っても不満が残ってしまう。「あしたのジョー」という作品はそういう宿命を背負った名作のひとつだ。 私が中学から高校にかけての一番多感で繊細で傲慢で馬鹿な時期にこの作品をリアルタイムで読めたことを幸運だと思っている。毎週マガジンが出るたびにまず本屋で立ち読みし、友達の買ったやつを回し読みし、単行本が出るのを楽しみにして待った。 学校のいじめられっこから不良はもちろんガリ勉の秀才君まで読んでない男の子はいなかったと思う。俺の家の単行本を目当てに友達でもないいじめっこのボスが遊びに来ていたことを懐かしく思い出す。親戚の兄ちゃんやクラブの先輩はもちろん、あしたのジョーの明日はどうなるのかそればかりを語っていたように思う。 殴り合いの喧嘩など中学で一度しただけの弱虫の癖にクロスカウンターやコークスクリューパンチで相手を一発で倒せると妄想していた。漫画と現実を混同させるパワーがこの作品には宿っていた。 昭和40年代という時代も大きい。大阪万博(1970年)前後は、まだ日本全体がそれほど洗練されていない。戦後の高度成長の中の矛盾が目に見える形であった。ちばてつやは、そういう下町の人々を描ける天才だった。 矢吹丈の青春を平成の21世紀のジャニーズのアイドルが表現できるわけがない。というものの今やアニメの矢吹丈はあおい輝彦以外考えられないし、偏見を捨てて観て見るか。と、おっさんにはこれぐらいの儀式をもってして初めて実写版に向かうことが出来るのだ。 お話は力石徹との因縁の対決までを描く設定。確かに山下智久も伊勢谷友介も体を良く鍛え拳闘シーンもなかなかよろしい。香川照之の丹下段平もアニメからそのまま出てきたみたいで面白い。ドヤ街もリアルに感じる。 そうなると、結局もっとディーテールにこだわらなくてはならなくなる。白木葉子も原作に近づけて、孤児院出身や再開発問題と関係させないで欲しい。食堂の女将に西田尚美なんか出さずに林屋の看板娘紀子を出すべき。杉本哲太を安っぽいやくざで出すぐらいならゴロマキ権藤をストーリーに絡ませたほうが面白い。また倍賞美津子の役回りも不明。場末の飲み屋の女将か娼婦なのだろうが、ストーリーに何のいろどりも与えていない。
最後、力石を殺したというトラウマに悩むジョーが1年間放浪しただけですんなり泪橋に帰ってくるのは拍子抜け。原作は力石以後が本当に面白いのである。
|

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー



