Don't来る、いまじねーしょん。

2013,7月現在 証拠隠滅するものが無かった

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第七話 それぞれの運命 後


---翌日
がばっと起き上がった。
布団の上にいた。ベッドの上ではない。
ここは畳の部屋だ。フローリング張りではない。
ようやく意識が覚醒した。ここは博麗神社、幻想郷である。
昨日、行く宛がなくなった俺は親切な霊夢の厚意で神社に一泊させてもらうことになったのだ。
そして、今日は紅魔館とかいう館に魔理沙が連れていってくれる。
布団からのそりと抜け、まだ温かみのある布団を綺麗に畳むと、外からがさがさと音が聞こえた。
寝間着を脱いで、少し臭いが気になる普段着に着替えると寝所を飛び出した。
洗濯はしてないが、二、三日くらいならどうにかなるだろう。
寝所を出て、鳥居のある方へと抜ける。
賽銭箱の近くまで来ると、音の正体が箒であることが分かった。
鳥居の近くを丁寧に霊夢が掃いている。
靴を履き、近付いた。
「やっと巫女らしいことを」
「あら、起きたの颯。というか、やっとって何よやっとって」
霊夢は怪訝そうな顔でじろりと見つめた。
突き刺さる視線が眠気を駆逐する。
「いや、なんでもない。魔理沙は来た? 」
「まだね。あと半刻もしたら来るんじゃない? 」
「はんこく? 」
「ああ、そういえば。一時間と言った方がいいかしら」
「一時間ね。一時間……何しよう」
「ルールブックでも読んだらどうかしら? いい暇つぶしにはなるんじゃないの」
「そうだな」
よいしょ、と社の段差に座り込み、ルールブックを開いた。
霊夢はその様子を見て、再びがさがさと音をたてはじめた。
こんなにのんびりとした時間は初めてだ。
それから半刻も経たない内に魔理沙は来た。
相変わらず颯爽たる動作で箒を降りると、手を振りながらこちらへ歩いてきた。
「よう、来たぜ」
「来なくていいのに」
掃き掃除を終えて、鳥居の根本でお茶を啜っていた霊夢がつぶやいた。
「おお、颯。早速読んでるな」
そんな霊夢を無視して、魔理沙が冊子を覗き込んできた。
「役に立つかもしれないからな」
「役に立つのは案外すぐかもしれないぜ? 」
「それはどういう……」
「私達は望まれない客人ってことだよ。吸血鬼相手に話が通じるかだな」
「…………」
魔理沙の言う通りだ。魔理沙が居たとしても相手は恐ろしい吸血鬼なのだ。
骨の髄まで血を吸われて喰われる自分しか予想できなかった。
「まあ、安心しろ。私がついてるんだ。骨くらいは拾ってやる」
「……おい」
「はは、冗談だよ。仮にも館のご主人様だ。そこらの妖怪よりは人間には理解があるだろうよ」
「そうだ、魔理沙。俺がその紅魔館ってところに行く理由ってなんなんだ? 」
「あそこには馬鹿でかい図書館があるのさ。図書館なら戻り方を記した本くらいあるだろう」
魔理沙の目が光り輝いた気がした。
「図書室でなく? 」
「あの大きさは館と言っても遜色ないね」
図書館と言うからにはそれがある紅魔館も、また馬鹿でかいのだろうか。
「相当大きいみたいだな」
「館はそうでもないんだがな」
「そうなのか? 」
「ああ、原理はよくわからんがどうやら空間をいじくってるみたいだな。あの大きさの図書館は紅魔館には入らないから」
そのあと、---空間をいじるか。興味深いな。しかし一体、誰があれをいじっているんだ? やはりパチュリー……いや、ああいう類の魔法は術式が……---と、一人で考察を始めた魔理沙を置いて、霊夢に尋ねた。
「霊夢、紅魔館にはどんな人がいるんだ? 」
「人、ねえ。人間は知る限り一人しかいないわ」
「あとは吸血鬼……? 」
「いや、妖怪もいたわ。ちなみに、魔法使いも妖怪扱いよ」
「魔理沙も? 」
「違う、あいつは職業としての魔法使い。紅魔館に居るのは種族としての魔法使い。種族の魔法使いのみが妖怪に分類できるわ」
「なるほど。その魔法使いはどんな人……妖怪なんだ? 」
「うーん。病弱の引きこもりね。けど、中々の魔法使いよ」
「いきなり濃いな……」
「あそこは濃い奴ばかりよ。あとは妖怪の門番とか悪魔の司書とか」
「喰われたりしないだろうか……」
「大丈夫でしょう。喰われたら喰われたで、運が無かっただけのことよ」
霊夢にばっさりと切り捨てられた。親切なのか無情なのか、掴み所の無い人だと、改めて感じた。

一人考察が終わったと見えて、魔理沙が立ち上がった。
「颯、そろそろ行こうか」
「あ、ああ。霊夢は……」
「私は元から行く気ないわよ。面倒だし」
そう言って、霊夢は軽く手を振った。
さよならともとれるし、早く行けともとれる、曖昧な振り方だった。
「という訳だ。颯、乗れ」
箒の後方を指差して魔理沙が言った。
「乗れって、まさか箒にか」
「そりゃそうだ。紅魔館まで歩いて行く気か? かなり歩くぞ」
魔理沙のあの飛びっぷりを見た後だと、乗るのに抵抗がある。
情けないことだが、脚が震えていた。
そんな俺に業を煮やしたのか、魔理沙は俺を無理矢理箒に乗せて自分も跨がると「準備はいいか? 」と振り向いた。
「ちょっ、ちょっと待てって。ちょっと! 」
俺の必死の制止虚しく、箒は宙にずずずと浮かび上がった。
二人も乗っているからか、箒はゆっくりとした動きで空に上がり始めた。
恐る恐る下を向くと、鳥居の下で相変わらず曖昧な手振りをしている霊夢が見えた。
もう既に箒は鳥居の頂を越えていた。
手に力が入る。先程から無意識に魔理沙の肩をひしと掴まえていたのだ。
「お、おい。あんまり力をいれるな」
「だって……」
「だってってお前……。もしかして、高いのが苦手か? 」
顔を見るまでもなく、魔理沙がにやにやとしているのが分かった。
「いや、高いのが苦手という訳じゃないはずなんだが……」
「そのリアクションは明らかに高所恐怖症というやつだろ。よし、飛ばすぜ」
「ちょっと、やめ」
最後の言葉は風に掻き消された。凄まじい速度で景色が流れている。
顔だけ動かして後ろを向くと、神社がすっかり小さくなっていた。
雄大な山が周りの景色とは対称的にゆっくりと流れていく。
早過ぎだ。晩秋のひんやりとした空気が身体を貫いている。
我慢出来なくなって---もっとゆっくり! と言う前に、前方に霧の立ち込める池のようなものが見えた。
いや、この大きさは池というより湖だ。かなり大きい。
霧の向こう側にちらちらと紅色が見える。
もしやあれが紅魔館。
あれが……と感慨にふける前に、箒は霧に突っ込んだ。
冷たい空気が全身に張り付く。
風が吹き付けて目も開けていられない。前に跨がる魔理沙は大丈夫だろうか。
しかし、心配は無用だった。くるくるとまるで弾丸のように回転しながら霧をはらいながら突き進んでいく。
人を後ろに乗せているのをすっかり忘れているようだ。
ぐるんぐるんと回転する度に手に入れる力を強める。
頭も揺れて、頭の中を掻き回されている錯覚さえ覚える。
このままでは振り落とされてしまう。思わず魔理沙の背中を叩く。
「ごほごほ、なんだよ颯! 」
「いい加減曲技飛行はやめろ! 」
「悪かった悪かったから、叩くなって。霧を払うのに効率がいいんだ」
そのときだった。霧を突き抜けて、水面が視界に飛び込んできた。
ぐいっと箒を引き寄せて高度を上げる。
霧を抜けた先には、湖畔に佇む紅い館があったのだった。



---あとがき
俺的解釈。
約8000字? 俺にしてはよく書いた。

感想、ダメだし、誤字脱字等ありましたら、申し訳ありませんがコメントしてもらえると有り難いです。

---修正
さっそく脱字
ちゃんと見直してから投稿しろ俺

閉じる コメント(2)

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十分良い出来だな

俺これだけの話思いつかないしw

2011/7/22(金) 午後 3:08 [ 黒★星 ]

黒★星
ありがとうございます。
そう言って貰えると嬉しいです(*´ω`)
コメントありがとうございました。

2011/7/24(日) 午後 3:07 フリメルダ a.k.a. めだる


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