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猫のつめあと

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バーリの犬

バーリって町、どの辺にあるかをまず説明します。

イメージ 1




南イタリアの玄関口、港のある町→バルカン半島からの移民の玄関口です。
ナポリ以上に危険とも言えるでしょう。
しかし南イタリアを旅行する為には必ずこの街を通過しないといけないのです。

ここで旅友がひっかかっちゃってねぇ〜。
私たちがイタリア語で駅の係員とお喋りしていたら不振に思われて駅の小部屋へ連行されました。


私は学生ビザで入国し、滞在許可証を真面目に更新していたので問題なかったのですが
旅友はもともとただの観光客として入国してそのまま居ついていたので、いわゆる「不法滞在者」になってしまうんですよ。彼女は当時既に、かれこれ2年近くモグリで滞在していましたので。
こういう人々を裏の俗語で「ネーロ(黒)」と呼ぶ。
(彼女はそういえばモロッコでも連行されていた 笑)


ところがバーリの駅員はとっても良い人でした。
見逃してくれたのです。

それどころかこれから南に下るという私たちを心底心配してくれました。
「シニョリーナ、これから南イタリアを夜行で移動するときは、絶対に男性と一緒じゃないとダメだよ。女性だけじゃ危なすぎるからね。」


更にその駅員はちょうどシチリアとカラブリアに帰る10代の若者を(勝手に)選定し、付き添い人として同行するよう段取りまでしてくれた・・・。しかし彼らは若いせいもあって、夜も延々ハイテンションのお喋りにつき合わされモンキーの如く大暴れ。お陰さまで一睡も出来なかった。
「Torno a paese.(国に帰るんだ)」
※ちょっと離れた故郷のことを日本と同じように「国」と表現することをここで学ぶ(イタリア語実践講座)。


バーリもちょっと観光しました。

今でも忘れない、駅前の閑散とした目抜き通りにあった寂れたバール。
パニーノを買う気力も失せるようなバールにイタリアで出会うことは珍しいのです。
パニーノってイタリアではそもそも食べる気を失せる食べ物に間違いはないのですけどね。いつ作ったのか微妙な干からびたやつがウインドウに陳列されているケースも結構多い。

南イタリアは大体旧市街ってのがあるんですが、バーリは怖い!
子供だって怖いんだから。
表情がないんですよね、みんな同じ顔で真っ黒に焼けていてやせっぽっちでジーッとこちらを見つめるあのまなざし。


ナポリは観光地だし活発だからまだマシ。
バーリは閑散としてるだけに同じ古さでも気迫が違う。

イメージ 2



「この船はこれからユーゴスラビアへ行くのだろうか。あの友人は元気にしているだろうか。」






バーリの駅で夜まで時間を潰しているとき、ホームに一匹の野良犬が。




その野良犬は白に黒のブチがついていて毛の長い犬で、うなだれながらとぼとぼホームを歩いている。
一番ホームの端から端まで歩いたと思ったら、クルリと踵を返してまた端から端まで歩く。
彼はそれをずーーーっと繰り返していた。
私はホームのベンチに腰をかけながら、その犬の行動をぼんやりと眺めていた。
やがて夜行列車が到着したので乗り込んでバーリを後にした。


その後何年かの月日が流れ忙しく日々に終われいろいろあって数年が過ぎる。
日本に帰国し、ある日何気に「世界の車窓から」を見ていたらバーリをやっていた。
旅友の事件やバーリの子供、寂れたバールのことやちょっと曇った空のことなどを思い出しながらみていたら・・・


私はハッと思わず息を飲んでしまった。


テレビの画面の奥で、あの犬がホームを歩いている姿が映っている!


感動してしまった。

あの犬はいつもあそこにいたのだ。

何年もの月日が過ぎて私はいろいろあったけど、遠い昔に一度だけ見たあの犬だけは変わらず毎日毎日あのホームを歩き続けている。

それに意味があるのかないのか私には分からないけど、なんかこみ上げてくるものがあった。


過去を振り返るなとか、前だけをなんちゃらってよく言うけど、
過去っていつもネガティブなことばかりじゃなくて、とっても癒されることだってあると思う。


チャオ 犬。
バーリの犬。

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    なんか騒いでたボスニア・ヘルツェゴビナって海向こうだったんですね!!!

    [ Jason Monk ]

    2008/9/23(火) 午前 5:47

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    竹さおさん、そうなんですよ!チュニジアも意外と近いですよね!

    beabea

    2008/9/23(火) 午後 5:02

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    ノラ犬が世界の車窓にでていたって面白い話ですね!
    無表情でじっと人を見ているって怖い状況だ!スリラーかなんか踊りそうですね(笑)チャオ!

    BANANAFISH

    2008/9/24(水) 午前 10:40

    返信する
  • バーリは行ったことがありません。
    軍港にもなっているのですね。
    南の方ではソレントあたりまでかな。
    おー、ここが「帰れソレントへ」への舞台かと思いましたが、それほど感激はなかったですね。

    Ming

    2008/9/24(水) 午後 6:58

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    bananafishさん、こういうのって切ない偶然です・・・(涙)。
    あ〜あの子供たちが赤い革ジャン着ていたら間違いなくスリラーのM・ジャクソンになってしまいますね!いっそジャクソン5になって歌でも歌ってくれればバーリも景気がよくなるのにね。チャオ!

    beabea

    2008/9/25(木) 午前 0:58

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    MINGさん、ソレントはポンペイの後に寄りました?私はポンペイ止まりなのでいつか行ってみたいと思っていたけど、大したことないんですね。歌なら「サンタ・ルチア」も好きです。このタイトルって港の名前ですよね。どこにあるんだろう、やっぱりナポリ周辺かしら。

    beabea

    2008/9/25(木) 午前 1:05

    返信する
  • ホームにいた野良犬は、ちゃんと生き延びていたんですね〜。おっしゃる通り、意味はないけどグッときてしまいそうです。
    バーリというのは、そんな感じの町なのですか。子供たちに表情がないというのは怖いですね。アルバニア難民が不法入国するところってバーリでしたっけ?

    りぼん

    2008/9/25(木) 午前 6:45

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    りぼんさんその通り!アルバニア難民の玄関口です。ここへ船でたどり着き各地へ散らばっていきました。今は取締りが厳しくなっていると思いますがバーリといえばそういうイメージなんですよ。
    そんな中で駅の野良犬・・・あのうら寂れた感じがまた胸を打つんです(涙)。

    beabea

    2008/9/26(金) 午前 0:34

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    最近のBari駅前はキレイなもんです。空港なんてピッカピカ!
    よっぽどナポリ中央駅前とかヴェスヴィオ周遊鉄道駅付近の方が恐ろしい気が。時代と共に南イタリアも変わりつつあるようですが、ナポリだけは依然取り残されたまま… 行く度にイヤな思いをさせられます。Citta di Merda!!!

    [ caprese ]

    2008/9/29(月) 午前 7:17

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    えええーcapreseさん、それは驚きました!!あの、あのバーリが生まれ変わっているなんて(号泣)。さぞかし誇らしいでしょうね!テルミニがリニューアルした時以来の感動です、一週間後には床のタイル剥がれてましたけど。それにしてもナポリはやはり未だにmerdaな町でしたか・・・citta niente esperanza...

    beabea

    2008/9/29(月) 午後 10:34

    返信する

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