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「アメリカの逆説」by seimeiwada

 アメリカ側は通商拡大法232条によって、自動車を対象とした輸入規制を考えている。

  わが国は、かつて数量規制を押し付けられるなど、交渉は深刻さを帯びていた。
 今、かつてのような怯えは、全然感じられない。
 
 それもそのはずだ。自動車に関してはアメリカでの現地生産が進んでいるからだ。六割が現地生産となっている。たとえ25%の輸入関税をかけられたとしても現地生産を増やせばいいだけの話となる。一番困るのは、関税によって自動車の値段が上がるアメリカの消費者である。

  この8月の下旬に、アメリカとメキシコとの間での、関税に関する合意があった。
 
 自動車とその部品の輸出が、ある一定水準を超えた場合に、最大で25%の関税をかけるという、メキシコとの合意である。この意味するところは、現地生産へのこだわりである。

  関税に関してヨーロッパとの間ではどうなっているのか。
 
 7月に自動車を除く工業製品については、関税を撤廃するという合意がなされている。ただ、ヨーロッパ側は自動車税の撤廃を提案している。トランプは、この提案を拒否している。これに対してEU委員長は、EUの通商政策は他の誰にも決定させないと発言している。

  貿易関係では、なんといっても中国である。

  2000年当時、アメリカの対中貿易赤字は833億ドルであった。それが2017年には3752億ドルである。この数字はアメリカの貿易赤字5660億ドルの70%を占める数字である。

  この不均衡を関税によって改善することができるのか。はなはだ困難と考えられる。
 
 アメリカの貿易赤字は、一言で、ペダンチックに言い表すならば、貯蓄と投資の乖離に他ならない。なんということはない、アメリカは、生産する以上に消費をしているということにつきる。そのことは、一定の消費水準を維持するためには、他国からマネーを自国に還流させないといけない。発行通貨を握っているという世界銀行としてのアメリカということになる。このことがアメリカを支えるシステムであり、世界を必要とするアメリカである。一方、世界は、アメリカを必要としなくてもいいと気づき始めてもいる。その大きな証拠はGDPの推移である。
 
 戦後アメリカのGDPは、世界の二分の一あった。それが現在では四分の一である。今では、製造業は衰退の一途である。
 
 アメリカ中西部から北東部にかけて製造業は衰退し、労働者がラリっているような、社会問題が蔓延しているところに、はたして製造業を蘇らせることが可能なのか。今では、年収100万円の中国の労働者が生産する物の消費で、恩恵を被っているアメリカの現実がある。 中国に対抗して製造業復活に、果たして年収500万円のアメリカの労働は、立ち上がることができるのか。せめて、年収を半分の250万円まで耐え忍んで、製造業復活に精出せるかということに行き着く。
 
 アメリカが一定水準の消費を続け得るためには、世界を必要とし、覇権は手放せない。その意味するところは、ますますの軍備増強で世界に睨みをきかせることが必要手段となる

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