|
今後、円安の効果で輸出業が好転するので強い日本経済を取り戻すと言われているが、実際に個々の業界を俯瞰してみると、安倍政権の強行的な外交政策が業績に影響を与えるという事も出て来るでしょう。
円安が追い風となるとされる自動車業界も、海外では欧米を中心に展開するトヨタとアジア戦略を重要視し始めている日産との差が出て来る可能性があります。
中国との関係で溝を広げつつある安倍政権では中国内での反日感情が継続して悪化したままだと、対中国への輸出に影響を与えるばかりか輸出が低調になると予想される。
安倍政権で円安が大幅に進めば今まで円高に苦しんできた輸出企業が再び息を吹き返し、中小の下請け企業も海外企業からの部品受注も増えるようになる。
家電メーカーは円高の影響で韓国の家電メーカーに価格競争では負けていました。其の分野だけを見たとき、円安が続きのであれば今まで価格競争で負けていた分を少し挽回出来るようになるかもしれません。
また、日本は医療機器やゲーム機も輸出していますし、そういった精密機器産業も円高の影響を大きく受けていました。
しかし、自動車も含めてですが、欧米の企業が些細な特許侵害を名目に常に自国で訴訟を起こし、数億円以上もの巨額を取ってきた経緯があるので、販売が世界的に拡大しても何かにつけて難癖を付けられてしまい社員への利益還元が抑制されてきた。
今年に入っては任天堂が米国人から約29億円もの損害賠償を求められている。いくら良い製品を開発し世界に向けて販売しても、すぐに不可解な難癖で足を引っ張られてしまう。
景気が上向いてくると言われていますが、業種によっては簡単には給与に反映しないと考えられます。特に製薬業や印刷関連企業は、株価や為替に左右されにくい業界であり、そんなに給与は乱高下してこなかった。
安倍政権が目指す円安と大規模な金融緩和とインフレ傾向化で景気を回復という号令の中、其の業績回復どころか円安と金融緩和とインフレが庶民の生活に波及するまで年月がかかるし、其の政策によって返って業績や給与が下がる業界も出て来る。
実際に、金融緩和政策によって投機マネーが石油や天然ガスなどに向かっており、更には穀物市場への投機マネーが流入している。
円安を進めれば進めるほど、輸入品の購入代金が高くなり、其の上、投機マネーが流れ込んで値段を釣り上げているのは本末転倒になる。特に食料を海外に大きく依存している日本としては、輸入代金の高騰は食料品価格の値上げに波及してくる。
穀物価格の上昇は食品加工企業にも大きく影響する。スーパーの他にもインターネット通販の急拡大によって百貨店やショッピングモールなど流通や小売業も大きな打撃を受け始めています。
今や大型専門店で現物を見て品定めし、実際に買うのはインターネットでという人が増えている。また、コンビニも5万店を突破し既に飽和状態であり、採算が取れないと直ぐに閉店する時代が到来している。
こうしてインフレが加速すると商品価格が上昇するので、かえって一時的に消費者が消費意欲を減退し販売低下を招いてしまう可能性もある。
円高のメリットを受けてきた外食産業であるが、円安とインフレが進めば其の利潤は減少し苦境に立たされると考えられます。
100円メニューや260円牛丼など超低価格競争を格安な輸入材料を背景にシェアを伸ばしてきた外食チェーンですが、円安とインフレが続くと今までと同様の価格で材料の仕入れが困難となり、割高で材料を仕入れなければならず、値上げをしなければ利益を圧迫します。
元々、ファーストフード低価格のイメージがあるので、10円や20円の値上げだけでも消費者を敏感に察知し利用頻度が減少します。
消費者の意向を汲んで価格据え置きを続ければ企業収益の悪化による店舗の統廃合や店舗削減の他、人員削減も行われるようになるでしょう。そうなれば給与の上昇どころか失業する人も増えます。
また、電力会社には更なる追い打ちがかかります。福島第一原発の事故後は東電を始め各電力会社は原料費の上昇など苦境に立たされているが、基本的に独占企業なので利用者に其の分の負担を上乗せしてしのいでいるのが現状。
また、原発の稼働が大幅に減少していることから、発電は液化LPガスや石油や石炭といった輸入燃料に頼っています。原発が全部停止した昨年は特に液化LPガスの輸入が増大しましたが、円安が進めば輸入コストも増えていまします。
これ以上、利用者に値上げそ強いれば大きな反発が起こることが予想される事から、収益では賄えない分は利益を削ったり人員削減などで補てんされていますが、特に東電は住民の損害賠償請求などもあり、今までの殿様商売から更なる意識改革が求められるでしょう。
国民の視点で考えた場合に心配な事は、多くの国民が「給与は上がってほしいが、物価は上がってほしくない」と思っていることです。
これまでのデフレで物価が安いことに慣れた人たちが、暫くの間は給与は据え置きのまま物価だけが上昇し続けるという状況が訪れるかもしれないのです。
これは既に欧州や米国で起こっている現象ですが、これから先にインフレになっても一部の業界だけ給与が上がり其の他の産業は給与据え置きのままインフレが加速すれば、実質的には1〜2割の収入減になる場合も有り得る。
其の一方で企業が国内の工場を閉鎖し、海外移転が加速度を増す事が懸念され、一時的に多くの失業者が出ることも増える。インフレで物価が上昇し、更には失業者も多く出るという時代の過渡期現象が噴出する事もある。
今回、インフレ傾向が進む中、消費の買い控えが徐々に進行中であり、結果的に給与の減額と来年早々には消費税の8%への増税が控えています。
経団連も国際競争上、給与や賞与の大幅な増額はできないとし、経費節減から非正規雇用も相変わらず多くなっている。
多国籍企業化しつつある日本企業が笑って日本国内の国民が泣く結果だけにはなって欲しくはないのですが、安倍政権は経済成長については明言しているが、国民1人1人の生活向上については約束することはない。
こうした政策の結果が出るのは2〜3年後だろう。円安、金融緩和、インフレ、といった政策を掲げるアベノミクスが、結果的には円安と金融緩和で欧米救済に終わり、私たち庶民の暮らしを無視した企業利益優先の政策にならないようにして欲しいものです。
|

- >
- 政治
- >
- 政界と政治活動
- >
- その他政界と政治活動



