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僕は無実だ!

[僕は無実だ!]   -1-       

前和歌山市長  旅田卓宗

平成十四年八月の和歌山市長選挙に落選して間もない平成十五年正月の事だった。落選直後から市民への感謝の思いを込めて続けていた幹線道路のボランティア清掃を、新年も今暫く続けようと友人達と相談し、一月六日午前十時市内のメーン通りの三木町交差点から和歌山駅に向かって清掃し始めた。
そこへ暴力団員風の男達が静かに近づいて来た。彼らは捜査二課の者だと名乗った。直ちに僕はその場から車に乗せられ和歌山西警署に逮捕されてしまった。
容疑は収賄。
市長在職中、万葉の地として全国的に名高い観光地である和歌浦の、近年目を覆うばかりの衰退ぶりに憂慮し、和歌浦湾振興ビジョンに基づいて、和歌浦を文化交流の舞台にして活性化すべく取り組んだ不老館事業(文化施設)に関し、純和風建造物の不老館を吉永建設から買収した際、僕が吉永建設の木下社長から三百万円の賄賂を受け取ったとされていた。逮捕状を見せつけられるなり心の中で
「クックックッ」と笑ってしまった。警察は何を血迷ってしまったのだろうか?と思ったのである。
ところがその日から延々と二年二か月もの間、獄中に閉じ込められようとはその時には夢にも思わなかった。警察は多分に政治的意図を秘めた噂話を信じ、強引な見込み捜査に踏み込んで来たのである。
警察は先ず吉永建設の木下社長と国定営業部長を国土法違反という形式犯で平成十四年十一月三日逮捕した。以後、彼等を中抜き詐欺、融資詐欺容疑と次々と別件で逮捕し続け、五十数日に渡り、連日深夜にまで及ぶ取り調べを続けた後、ついに標的としてきた僕への逮捕状へと結びつく彼らの供述調書を作り出すことに成功したのである。
しかし真実は全く違った。僕は吉永建設の木下社長から三百万円の賄賂を受け取った事も無ければ、その理由もなかった。個人的な交際も無かったし、そもそも嫌がる木下社長に和歌浦活性化の為に協力して下さいと僕から頼んだものであって、頼まれて買収したものでも無かった。
「なのに一体何故?」僕はまるでキツネにつままれているような気分で取り調べを受けた。
「まあやがて警察本部長あたりが間違ってましたと、お詫びを言ってくれて釈放されるさ!」そう呑気に構えていた。ところが一月二十八日起訴されてしまった。
「そんなアホな?一円のお金も貰っていないのに・・」三月十九日第一回公判が始まった。午前中の公判で吉永建設の木下被告が否認した。無かった事だから当然の事だった。午後の公判で僕も
「一円のお金も受け取った事は無いし、その理由も無い」と明言し否認した。
いよいよ本格的な審理が始まった。僕にとってはサスペンス劇場を見ているような思いで公判に臨んだ。何しろどうして逮捕され拘留されながら裁判を受けねばならないのかサッパリ分からなかったのである。
平成十五年七月九日最も重要な検察側証人として吉永建設の元営業部長国定証人が証言台に立った。国定証人は吉永建設社長木下被告と共に平成十二年八月三日午前十時三十五分市長室へ来た事に一件調書ではなっていた。そもそも国土法違反で木下被告と共に逮捕された彼の手帳の十二年八月三日の欄に
「十時三十五分、市四F野村」とメモされていた事から捜査当局によって事件が作られていったのである。言わば彼は贈収賄事件の鍵を握る存在であった。国定証人は証言台で幾分緊張気味に唇を震わせつつ重々しく口を開いた。
「私の手帳にメモしている日は木下社長が市長室へ行った日ではありません」彼は冒頭から宣言するように言い切った。検事の顔色が一瞬変わり立ち上がった。執拗に追求する鋭い検事の質問に対し彼の証言は揺るがなかった。
「どうして供述を翻したのか?」
「逮捕された当時、気が動転し思い出す事が出来なかったのです。その日市長室へ行ったのは私も一部出資し設立した朝日測量の長尾社長らが市長に表敬訪問した日です。私も一緒に行く予定でしたが行けなくなったのです。その日は旅田市長の後援者である白川さんにアポを取って貰った日です」彼は証言台で明言した。
後に彼の証言を裏付けるように長尾社長と白川さんが証言し国定証言の真実性を明らかにした。特に長尾社長は当日その時間に市役所へ行った証拠として市営駐車場の駐車券を証拠物として提出した。
しかも当初から検察が提出するのを拒否し続けていた野村秘書が当時作成していた日付毎の市長訪問者名簿のフロッピーディスクがついに公判の場に提出された。むろん問題の日に吉永建設木下被告の記録は無く、国定証人や長尾証人の証言通り、長尾社長と白川さんの名前が記録に残っていたのである。木下被告が物的にも科学的にも問題の日に市長室へ来ていなかったことが明らかになったのである。来ていない者から賄賂を受け取れる道理が無い。
 ここに来て明らかに贈収賄事件(不老館事件)は捜査当局の予断によって作られた事件であることが明白になった。ならばどうして例え瞬間風速のような形とはいえ、吉永建設の木下被告が贈賄を認める調書に署名したのであろうか?その事はやがて公判を重ねるごとに明らかにされていった。先ず捜査当局が
「旅田を潰してやる!」と方針を決めたのである。そして
「不老館買収の裏には必ず金が動いている」と予断したのに違い無い。その予断に基づいて強引に吉永建設の木下社長と国定営業部長を国土法違反容疑で逮捕した。実際には事後届出で済む形式事件を僅か二十日届けが遅れただけで、しかも既に届けを済ませ、県に始末書を提出して行政的には一件処理の終わっているものを強引に逮捕に踏み切ったのである。僕を狙う突破口として・・。

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