ドクターヘリパイロット(元)奮闘記

老いぼれドクターヘリパイロット(元)の繰り言

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 ドクターヘリが基地病院の屋上へリポートへ墜落と言う衝撃的な設定で昨日の記事を書きましたが、そもそもドクターヘリの基地病院のヘリポートが屋上にあるということは致命的な欠点があり、長期間にわたって使用することは絶対に止めるべきであると言うことを取り上げます。
 
 なぜか? 答えは簡単で、不安全であるからです。
 
 昨日も取り上げましたが、ヘリコプターの離着陸時に何らかの故障が起きたり、パイロットがビル風や強風などで操作判断を誤った場合に、何とかヘリポートの区域内にヘリが入ったとしても、その後に五十メートルも落下と言うような最大の危険性があるからです。
 
 そうなったら乗員の命はないでしょう。
 
 転落という事態は、離着陸だけではなく、大地震による建物の大きなゆれや、台風の強風に煽られて落ちる可能性もあります。
 
 そのほかにはヘリコプターは地上共振やダイナミックロールオーバーという、ヘリ特有の大きな地上事故が起こる可能性もあります。
 
 地震の揺れは急に起こるので、へりは避難するいとまがないばかりではなく、ゆれ始めてからではチェーンなどで固定するわけにも行かず、さりとていつも固定しておけば出動に遅れますし、長年に数多い出動に固定していたチェーンを一部分はずし忘れて、離陸するといきなり横転と言う事態もありえます。
 
 台風など強風が予想されるときには格納庫のあるところへ飛んで避難すればよいと、簡単に考えることも大きな間違いです。
 
 なんとなれば、風が穏やかなうちから誰も避難はしないのが普通で、だんだんと制限速度に近づくにしたがって、どこかで見切りをつけて移動ということになるのが普通で、移動の時にはほとんどが基準一杯の強風になっているのがよくあり、その様な強風状態で屋上へリポートから離陸することは安全であるはずがありませんし、移動の決心をしたときには、下手をすればすでに強風制限を越えていたとしても、飛ばないわけには行かないでしょう。
 
 つまり強風避難の時にはいつもこのような危険性が伴いますが、横に格納庫があればこのような危険性は全くありえない話で、5分で格納庫へ収納すれば済むことです。
 
 ドクターヘリは医療器材の重量や、搭乗人員の関係から総重量を搭載燃料で調整し、余分に長く飛べないことになっていることが普通です。
 
 ということは毎回飛行するたびに、正確な燃料搭載となるように給油するのですが、屋上へリポートは普通給油設備がなく、最寄の空港などへ飛び、空港から帰りの分を調整して給油してくることが普通です。
 
 ということは給油するたびに出動できない時間ができ、その分出動が遅れると言う致命的な欠陥が出来てしまいます。
 
 また20分程度の短時間の出動の後は給油をすることを止めて、ロスタイムを減らそうとして燃料搭載量が少ないまま待機して、そのようなときに限って一番遠方から出動要請が入ったりして、燃料ぎりぎりと言う事態にあうこともありえます。
 
 ヘリポートに給油施設が隣接していればこのようなことは絶対に起こりえないことですが、屋上へリポートに給油施設や格納庫を設置することは費用的にもスペース的にも大変困難なことです。
 
 さらにはヘリコプターの故障などの時の整備作業上、大変困難な問題が発生してくる場合があり、現実に、大阪市内中ノ島にあった、朝日ヘリポートで206Bが故障し、中型ヘリ204B吊り下げて移動させたことがありました。
 
 屋上へリポートに格納庫があったとしても、交換用の長いローターや重いエンジンなどを持ち込めなかったり、たまたま持ちこめたとしても、大型の作業台や、作業用の吊り下げクレーンなどがないと、現実的に修理作業が出来ない恐れが大きいでしょう。
 
 仕方なく大型のヘリで吊って出すとしても、へリポートの周りが民家などがあって、万が一落下しても被害が出ない地域でないと、航空局はつり出しのフライトの許可は出さないでしょう。
 
 またこのような作業中はドクターヘリは代替の機体があったとしても一切飛ぶことは出来ないでしょう。
 
 これだけあげればたぶん誰もドクターヘリの基地ヘリポートに屋上は設定しないでしょう。
 
 現実的に、高知県ドクターヘリなどは、屋上へリポートでスタートしましたが後に、地上ヘリポートを追加建設しましたし、このような例はほかにもあるようです。
 
 つまりは最初に造った屋上へリポートは大きな無駄使いとなってしまっていると言えるでしょう。
 
 しかし、無駄使いだからと言って屋上へリポートには無理があると認識しながら、地上へリポートを造らないで、長く使い続けることのほうがより危険性が高いと言うことになる恐れもあり、行政としては難しい判断を迫られることでしょう。
 
 誰かが10年前に屋上ヘリポートは絶対にだめだと声を大にして言うべきだったのですが、、、、、
 
 
 
 

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閉じる コメント(8)

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都会での用地不足や見栄えの良さで、屋上ヘリポートは続くのでしょうね。
事故が起きて犠牲者が出ない限り、変わらないと思います。 削除

2013/10/30(水) 午前 10:17 [ 恥の戸市民 ] 返信する

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131030-35039175-cnn-int

フライトプランは必要ないんでしょうか?

2013/10/30(水) 午後 2:10 [ punpun0461 ] 返信する

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アメリカなどでVFRは任意だと聞いたことがありますね。昔、」インドネシアでもそうでした。国際空港でもVFRは任意でした

2013/10/31(木) 午前 0:14 [ bel**14b*989 ] 返信する

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いつも興味深い考察に感心しきりです。
愛知(愛知医科大学病院)の場合珍しく?地上のヘリポートでまた、周りを芝生で囲まれており比較的恵まれた条件ということでしょうか、ロケ的に一方向からの侵入に限られるのが難点かな?とパイロットは言われていましたが。自分的には開かれた方向が池で、またすぐ後ろが病院であり冬場など風の影響が出ないかなと現場を見て思いました。

2013/10/31(木) 午前 2:33 [ wor**ito ] 返信する

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愛知のヘリポートは一方向ということですが、航空法上問題ないのでしょうか?一方向で許可されるのなら、殆どのところはクリアしているのではないでしょうか? 削除

2014/6/25(水) 午後 8:59 [ パイロット ] 返信する

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90度以上2方向だったと思います

2014/6/25(水) 午後 9:05 [ bel**14b*989 ] 返信する

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許可申請上は2方向と言うことにしておいて、運用時は1方向しか使わせないと言う手がありますね。安全上問題はありますがパイロットは飛ばないとは言わないでしょうね

2014/6/26(木) 午前 10:43 [ bel**14b*989 ] 返信する

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高知県の屋上ヘリポートは建設当時に高知防災の医療搬送等に主に使うために設計建設されたものです。 のちにドクヘリを行うことになり当初の予定から地上ヘリポート運用で計画されてましたが、建設が間に合わず。 開始時には病院屋上での待機・運用になり、そのため給油施設などは屋上には増設せず、高知空港で毎回燃料補給をする形です。したがってドクター・ナースも給油に同行し、時折高知空港から現場に向かうこともあります。「やってみて不都合なので地上に作った」という経緯はありませんので、経費的に無駄な事をしているわけでもありません。 誤解なきよう 削除

2014/7/22(火) 午前 11:54 [ FAL ] 返信する

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